「レオパレス銀座」という言葉が知られるようになったのはどのくらい前からでしょうか。
田園地帯にアパートが立ち並ぶ三重県津市の「レオパレス銀座」の光景から始まるNHKBS1「あなたのアパートは大丈夫?~岐路に立つ投資用不動産ビジネス」から、レオパレス施工不良のその後とサブリース契約の問題をアパートオーナーの談話からお伝えします。
「レオパレス銀座」三重県津市の衝撃

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目次
レオパレス銀座というのは、賃貸大手レオパレス21とその他のアパートが立ち並ぶ地域を指します。
そこにアパートを建設したオーナーが、揶揄を込めてそのように呼ぶようになりました。
アパートオーナーにとっては、厳しい状況が一目でわかる光景に、大きな衝撃を受ける場所となっています。
サブリースの問題やアパートバブルの話題には、このエリアは必ず取り上げられます。
というのは、アパートの建設をすすめた賃貸運営会社のずさんさと、顧客の事を考えない利益偏重のあり方が一目でわかる状態だからです。
NHKBS1のサブリース問題を取り上げた特集番組「あなたのアパートは大丈夫?~岐路に立つ投資用不動産ビジネス」に一人のオーナーが登場して、その現状を語りました。
「あなたのアパートは大丈夫?」これまでの記事
同じ番組の茨城県水戸市の羽石さんの家賃減額部分の記事はこちら
アパート経営のトラブル”家賃減額”の例「あなたのアパートは大丈夫?」
アパートを売ろうとして売れない渋谷さん
空き室だらけのアパートが売れない実例
「あなたのアパートはだいじょうぶ?」番組概要
あなたのアパートは大丈夫?NHKBSでサブリース投資用不動産特集
三重県津市のアパートオーナーの例
三重県津市のレオパレス銀座、ここはかつては一面に田んぼが広がっていました。
このエリアにアパートが建ち始めたのは2000年代中頃のこと、電気メーカーで働いていた大崎さん(仮名)の元にも複数の営業マンがやってきました。
当時はサラリーマンおんぶに抱っこ、肩車の状態で儲かるならラッキーっていう感じですよね
定年間近で老後に不安を抱えていた大崎さん、営業マンの言葉に飛びついたと言います。
それが、アパートを丸ごと借り上げて家賃を保証するというサブリース契約のアパートだったのです。
「30年を約束します」の文句にひかれて
魅力に感じたのはこのフレーズ、
確かなアパート経営がその先の30年を約束します
と書かれていました。
そして示された賃料は、1,552,200円という数字。
これに騙されたと大崎さん。「30年入ってきます」と言われたわけなのです。
自己資金は100万円で2億2000万円を借り入れ
アパートの建設費はおよそ2億2000万円。自己資金は100万円。
それ以外は、ニューセンチュリーファイナンス株式会社から借り入れました。
アメリカの投資銀行リーマンブラザーズのグループ会社です
リーマンショックでサブリースに陰り
リーマンブラザーズは、サブプライムローンの債権を金融商品にして販売していました。
2008年にそのサブプライムローンの焦げ付きが発端となり、リーマンブラザーズが破綻、いわゆるリーマンショックが発生したのです。
日本でもそれまで増え続けていた賃貸アパートの着工数が減少していきます。
さらに人口も少子高齢化の影響で下落を始め、地方では空き家が社会問題に。
アパートの入居者が確実に見込める時代は終わり、サブリースに陰りが見えてきたのです。
リーマンショックで肝を冷やした大崎さんですが、融資はレオパレスが紹介した地方銀行に引き継がれることとなりました。
それどころか、数年後には他の業者からも、今なら銀行が融資してくれるという勧誘が相次いだのです。
普通のサラリーマンで、土地さえあれば3億でも4億でも貸します。家の価値とか関係ない、アパートを建てる土地があればいい。
だから僕も3棟も4棟も建てられた。
(そんなオイシイ話があります?とインタビューアーに問われて)あったんですよ。だから僕が飛びついたんです
レオパレスの施工不良問題
専門家は、地方銀行が融資を積極的に行ったこと、住宅の規制緩和が行われたこと、また、相続税の改正などで、サブリース契約が増加したとみています。
ところがその後で、レオパレスの施工不良問題が起きました。
問題が明るみになったのは、2年前です。
大崎さんのアパートは入居者の募集を停止、
今ちょうど入居の募集をやめているので、ほとんど空っぽです
建物に重大な欠陥がある可能性があり、入居者に出て行ってもらったというのです。
レオパレスアパートの手抜き工事が発覚
問題が明るみになったのは2年前。手抜き工事による大規模な違法建築でした
屋根裏を仕切る壁の界壁がないなど、施工不良が見つかったのは13603棟。
レオパレス21の利益最優先の企業体質が生んだとされています。
レオパレスが補修工事を行うとして、実際補修工事が始まったのは、大崎さんのアパートの補修が始まったのは1年以上経ってからでした。
番組の最後の方で、大崎さんのアパートでも施工不良が見つかりようやく改修工事が始まったことが伝えられましたが、その間は家賃は全く入らないことになります。
大崎さんが家賃減額を受けたのか、どのくらい収入が減ったのかということは、番組では放映されませんでしたが、現在もアパート経営をしている様子はわかりました。
三重県津市の田園地帯が、なぜアパートの過密エリアになってしまった直接的な原因は放送されませんでしたが、関連した業者が一社ではないこと、それと、大崎さんのような土地を持っている地主さんではなく、ランドセットでの不動産投資でアパートを建設した人がいることが、以前の番組でも放送されています。
ランドセットについては下の記事に
ランドセット不動産投資と大東建託サブリース問題【クローズアップ現代】
大崎さんが
「レオパレスもレオパレスだけれども、オーナーもバカだ」
といったのが印象に残りました。
レオパレスは、去年10月までに改修を終えるとしていましたが工事が完了したのは現在全体の7%。
工事は大幅に遅れており、改修がいつまでに終わるのか、また、この後入居率が回復するかどうかにも心配はありますが、やはり、サブリース契約が10年を超えても継続されるのかどうかというところが、サブリース契約のアパート経営の一番の懸念でしょう。
サブリース問題の本質
「30年間安心」と言われて、アパート経営に乗り出した人がほとんどです。
しかし現実には、10年の家賃保証期間が過ぎると、補償されていたはずの家賃は減額されます。
なぜかというと、契約書に但し書きがあるからです。この部分については、同じ番組内の最初の方に放送された、アパート経営のトラブル”家賃減額”の例「あなたのアパートは大丈夫?」よりをご覧ください。
それにしても、三重県津市のレオパレス銀座は、今はまだしも、今後はどのようになってしまうのか。
”レオパレス銀座”、あのアパートが立ち並ぶ光景に危機感を覚えないアパートオーナーさんはいないでしょう。
番組の続き、別なオーナーさんの話は、また後ほどお知らせします。
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