去年の12月、年度末ぎりぎりに、相続した土地と空き家の売却が終わりました。
父が亡くなって9年目でした。
一時は手離すことが絶望的であった土地が売却できて、今ではほっとした毎日を送っています。
固定資産税の支払いなし
うちの場合は、年間で5万円位、都市計画区域外だったからなのか、わかりませんが、比較的負担の少ない方だったと思います。
それでも、今住んでもいない土地のために、税金の支払わなくてはならないというのはたいへんなことです。
12月分は、日割り計算で、超過して支払った分は、買い取った不動産屋さんが、その場で渡してくれました。
それ以来、通帳からの引き落としはなくなったわけです。今はその同じ通帳に、家計で余った分を貯金しています。 マイナスされるものは何もありません。
庭木の伐採、草取りの手間なし
最初の年には、チェンソーを買い、高さの高い木は自分で根元から切りました。
他の木の伸びた分は訪問の度に、鋏で切り落としていましたが、背丈が高くなると届かないということになりました。
その度に隣の家にはみ出はしないかと、気が気ではありませんでした。
雑草は山の林に面した家だったので、通常とは違う生え方でした。業者を頼んだら、蔓性の植物が多いということで、機械に絡まってそれもたいへんだったようです。
坪数が100坪以上ありましたので余計でした。後半数年は放置しましたので、下見に行った業者に「草がすごい」と必ず言われました。
たぶん服に種がつく草が山側とは反対側の入り口付近に生えていたためでしょう。山側の庭部分の方は、踏み込めないほど育っていました。
が、幸い、うちの場合は、団地の一番端で、しかも隣の家とは高低差があり、道路からは全く見えないところでしたので、その点は楽でした。
自然災害の危険なし
離れていても、台風と地震がある度に、空き家のどこかが壊れたり、雨漏りしたりするのではないか、それも必ず心配になりました。
あるときは、敷地内でガス漏れがあったということで、自宅に電話が来たことがあります。ガス会社からで、事後報告で申し訳ないが、敷地内のガス管を撤去したということでした。
ある日、突発的に、敷地内で何事かが起こったという電話が来るのではないか、そう考えるたびに電話を取るのも嫌になりました。
毎夜眠る前に、土地のことを思い出して、眠れないこともありましたし、状況が悪い時には、街を歩いて、不動産屋の看板を見るだけで、つくづく憂鬱になったものでした。
兄弟の不和からの解放
うちの場合に不幸だったのは、土地が売れないことよりも、土地があることで面倒を恐れた弟が身内との一切の連絡を絶ったことでした。
もちろん、それで相続登記ができず、私の方はたいへん迷惑したわけで、その軋轢を残念に思う気持ちは変わりませんが、極力気にしないことにしました。
親の方は子どもを不幸にするために、わざわざお金をかけて家を建てたわけではないのです。
死後の騒動は何も知ることなく、その家で最後まで寿命を全うしました。
子どもに家土地を遺そうとしたその志を思いますと、今ではただ、親の居た家を懐かしむ気持ちだけがよみがえります。
大切なところだけを守っていきましょう。有形の財産だけが、財産ではありません。
いくらのお金にもなりませんでしたが、それでも良い。
最後には皆、土より出て土に還るのです。
子供に空き家を継がせない
自分の場合は、再婚で自分の子どもはいないため、いずれ夫の子どもとの養子縁組を考えています。
家と土地がある間は、それもできないと考えていましたが、土地を手離した今では、これから身内にマイナスの資産を相続させなければならない心配はなくなりました。
自分にとってはそれがもっとも安心なことでした。 今でも土地の売却に関して関わってくれた人皆に感謝の気持ちでいっぱいです。
これをお読みくださった皆様にも、できるだけ良い条件で心労なく、大切な土地をより良い方法で手離せる日が近づきますよう、心よりお祈りいたしております。