
「坂の上にある実家を相続したけれど、誰も住む予定がない」
「傾斜地の家は売れないと言われて、どうすればいいかわからない」
傾斜地にある家や土地は、造成費がかかる、車が入りにくい、生活が不便といった理由から、平坦な土地に比べて買主が見つかりにくい傾向があります。とくに親から相続した実家の場合、遠方で管理が難しく、売却を先延ばしにしているうちに建物の老朽化が進んでしまうケースも少なくありません。
ただし、傾斜地の家・土地でも売却する方法はあります。傾斜地や訳あり物件に対応する買取業者に相談すれば、解体や造成をしなくても現状のまま買い取ってもらえる可能性があります。
この記事では、傾斜地の家・土地に対応するおすすめの買取業者5選をはじめ、売れにくい理由、売却価格を左右するポイント、相続した場合の注意点まで、わかりやすく解説します。
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傾斜地の家・土地は売却できる?
結論からいうと、傾斜地の家・土地でも売却は可能です。ただし、傾斜の程度や道路との高低差、建物の状態などによって、売れやすさや売却価格は大きく変わります。
傾斜地の家・土地でも売却はできる
傾斜地の家・土地は、平坦な土地に比べて買主が限られるものの、売却できないわけではありません。眺望や日当たりのよさ、プライバシーの確保しやすさなどを評価して購入を検討する人もいます。
また、一般の買主に売れにくい場合でも、傾斜地や訳あり物件を専門に扱う買取業者であれば、造成やリフォームを前提に買い取ってもらえるケースがあります。
傾斜地とは?ひな壇・がけ地・道路との高低差がある土地
傾斜地とは、土地そのものが斜面になっている、または道路や隣地との間に高低差がある土地のことです。主に次のような土地が傾斜地にあたります。
| 土地の種類 | 特徴 |
|---|---|
| ひな壇の土地 | 斜面を階段状に造成した住宅地。擁壁で高低差を支えていることが多い |
| がけ地を含む土地 | 敷地の一部が急な斜面になっており、建物を建てられる部分が限られる |
| 道路より高い土地 | 道路から階段や坂を上がって家に入る土地。駐車場を作りにくい |
| 道路より低い土地 | 道路から下がった位置にある土地。日当たりや排水に問題が出やすい |
平坦地より売却価格は低くなりやすい
傾斜地の家・土地は、同じエリアの平坦な土地に比べて売却価格が低くなりやすい傾向があります。造成や擁壁の工事費、建物を建てられる面積の少なさ、生活の不便さなどが価格に反映されるためです。
傾斜の程度によっては、平坦地の相場より大幅に低い価格でしか売れないこともあります。そのため、売却を考えるときは、傾斜地の扱いに慣れた業者に査定を依頼し、適正な価格を知ることが大切です。
傾斜地の家・土地に対応するおすすめ買取業者5選
ここからは、傾斜地の家・土地や訳あり物件の買い取りに対応している買取業者を5社紹介します。全国対応の業者に加え、愛知県・関東や東京都内に強い業者も紹介するので、物件のある地域に合わせて選んでみてください。
| 業者名 | 対応エリア | 特徴 |
|---|---|---|
| アルバリンク | 全国 | 東証グロース上場、訳あり物件の買取再販に特化 |
| ラクウル | 全国 | 訳あり物件専門、匿名・最短30秒のAI査定 |
| 空き家買取本舗 | 1都3県を中心に全国 | リフォーム・解体・廃品回収をグループで対応 |
| ナカジツ | 愛知県・関東主要都市・福岡など | 新築・リフォーム部署を併設、土地造成販売まで対応 |
| ブリリアント | 東京都限定 | 権利関係が複雑な不動産や訳あり物件の買取に強い |
アルバリンク

・メール査定・リモート売却対応
・訳あり物件全般対応
・最短3日で現金化・即金買取可
・東証グロースの上場企業で安心
アルバリンクは、空き家や再建築不可物件、旗竿地、借地・底地など、売却の難しい「訳あり物件」を専門に買い取っている不動産会社です。2025年に東証グロース市場に上場しており、北海道から九州まで全国に支店を展開しています。
訳あり物件の買取再販を専門としているため、一般の不動産会社で断られた傾斜地の家・土地でも買い取ってもらえる可能性があります。地方にある相続した実家など、遠方の物件を売りたい方にも向いています。
| 運営会社 | 株式会社AlbaLink |
|---|---|
| 対応エリア | 全国 |
| 主な買取対象 | 空き家、再建築不可物件、事故物件、旗竿地、借地・底地など |
| 特徴 | 東証グロース上場、訳あり物件の買取再販に特化 |
こんな人におすすめ
- 他社で買取を断られた傾斜地の家・土地を売りたい
- 上場企業の安心感を重視したい
- 地方や遠方にある相続した実家を売りたい
ラクウル 相続登記当社負担

・相続登記無料サービス
・立合いなし査定・リモート売却
・相続の無料相談
ラクウルは、株式会社ネクサスプロパティマネジメントが運営する訳あり物件専門の買取サービスです。個人情報を入力せずに匿名で使える「不動産AI査定」を提供しており、最短30秒で相場の目安を確認できます。
傾斜地の家・土地は相場がわかりにくいため、「いきなり業者に連絡するのは不安」という方は、まずAI査定で目安を知ってから相談するとよいでしょう。
| 運営会社 | 株式会社ネクサスプロパティマネジメント |
|---|---|
| 所在地 | 東京都港区赤坂 |
| 宅建業免許 | 国土交通大臣(1)第10311号 |
| 対応エリア | 全国 |
| 特徴 | 訳あり物件専門、匿名・最短30秒の不動産AI査定 |
こんな人におすすめ
- まずは匿名で相場を知りたい
- 営業電話を受けずに検討を始めたい
- 傾斜地以外にも老朽化などの問題を抱えている
空き家買取本舗 即日価格提示

・どんな立地でも買取
・概算価格を申込当日通知
・査定は家の内見不要
空き家買取本舗は、お家の診療所グループが運営する空き家・訳あり物件の買取サービスです。グループ内でリフォーム・解体・廃品回収まで対応できる体制を整えており、建物や家財道具を残したまま現状で買い取れるのが特徴です。
東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県の1都3県を中心に全国に対応しています。傾斜地の家は解体や片付けの費用が割高になりやすいため、そうした作業をまとめて任せたい方に向いています。
| 運営会社 | 有限会社マツドホーム(お家の診療所グループ) |
|---|---|
| 所在地 | 千葉県東金市堀上488 |
| 宅建業免許 | 千葉県知事(1)第18397号 |
| 対応エリア | 1都3県を中心に全国 |
| 特徴 | リフォーム・解体・廃品回収をグループで対応、現状のまま買取 |
こんな人におすすめ
- 首都圏(とくに千葉県)の傾斜地の家・土地を売りたい
- 家財道具が残っており、片付けをせずに売りたい
- 対面で相談したい
ナカジツ(愛知県・関東主要都市・福岡におすすめ)

・仲介売却と買取両方に対応
・全国44店舗・愛知県最大
・無料で売却相談・査定
・訳あり物件も相談可
ナカジツ(株式会社不動産SHOPナカジツ)は、愛知県岡崎市で創業した不動産会社です。愛知県を中心に、岐阜県・静岡県のほか、千葉県や神奈川県など関東の主要都市にも店舗を展開しています。
仲介だけでなく、新築・リフォームの部署を併設しており、「新築建売」「中古+リフォーム」「土地造成販売」など幅広い販売方法を持っているのが強みです。傾斜地の家・土地も、造成や建築まで見据えた活用方法を検討してもらえるため、地域の事情を踏まえた提案が期待できます。即金買取のほか、買取保証やリースバックなど、売却方法を比較しながら相談できる点も魅力です。
| 運営会社 | 株式会社不動産SHOPナカジツ |
|---|---|
| 本社所在地 | 愛知県岡崎市羽根東町三丁目3番地9 |
| 対応エリア | 愛知県を中心に、岐阜県・静岡県・関東主要都市など |
| 主な売却方法 | 即金買取、仲介、買取保証、リースバックなど |
| 特徴 | 新築・リフォーム部署を併設、土地造成販売まで対応 |
こんな人におすすめ
- 愛知県や関東主要都市で傾斜地の家・土地を売りたい
- 買取と仲介を比較しながら売却方法を決めたい
- 地域に店舗のある会社に対面で相談したい
ブリリアント 都内限定・資金力トップクラス

・残置物処分無料
・築50年超買取
・出張査定無料明記
ブリリアント(株式会社ブリリアント)は、東京都中央区日本橋に本店を置く不動産会社です。借地権・底地をはじめ、空き家、共有持分、再建築不可物件など、一般の不動産会社では扱いにくい訳あり物件の買い取りを得意としています。
東京都内は土地の価格が高く、傾斜地でも造成や建て替えをして活用できるケースがあります。相続した実家が兄弟姉妹の共有名義になっているなど、傾斜地以外に権利関係の問題を抱えている場合も、まとめて相談できる業者です。
| 運営会社 | 株式会社ブリリアント |
|---|---|
| 所在地 | 東京都中央区日本橋蛎殻町1-29-4 |
| 対応エリア | 東京都を中心とした1都3県 |
| 主な買取対象 | 借地権・底地、空き家、共有持分、再建築不可物件など |
| 特徴 | 権利関係が複雑な不動産や訳あり物件の買取に強い |
こんな人におすすめ
- 東京都内で傾斜地の家・土地を売りたい
- 共有名義など、傾斜地以外の問題も抱えている
- 他社で買取を断られた物件を相談したい
傾斜地の家・土地が売れにくい6つの理由
傾斜地の家・土地が売れにくいのは、買主にとって費用や生活面の負担が大きいためです。主な理由を6つ見ていきましょう。
① 造成や擁壁の工事に費用がかかる
傾斜地に家を建てるには、土地を平らにする造成工事や、土砂の崩れを防ぐ擁壁の工事が必要になることがあります。こうした工事には数百万円以上かかることも珍しくありません。
すでに家が建っている場合でも、建て替えの際に擁壁の造り直しや地盤の補強を求められることがあり、買主はその費用も考慮して購入を検討します。擁壁がある場合の注意点については、擁壁のある土地の売却について解説した記事で詳しく紹介しています。
② 道路との高低差で駐車場や車の出入りが難しい
道路との間に大きな高低差がある土地では、駐車場を作るのが難しかったり、車の出入りがしにくかったりします。車が生活に欠かせない地方では、駐車場がないことが購入を見送る大きな理由になります。
駐車場を作るために掘り込み車庫などを設けると、さらに工事費がかかります。
③ 坂道や階段が多く日常生活が不便
傾斜地の家は、玄関までの階段や周辺の坂道が多く、毎日の買い物やゴミ出しに手間がかかります。とくに高齢者や小さな子どものいる家庭にとっては、大きな負担になります。
実際に、坂道の上り下りがつらくなったことをきっかけに、高齢の親が住み替えや施設への入居を選び、実家が空き家になるケースも少なくありません。
④ 土砂災害など災害リスクを心配されやすい
傾斜地は、大雨や地震の際に土砂崩れやがけ崩れが起きるおそれがあるため、災害リスクを心配する買主が多くいます。近年は豪雨による土砂災害が各地で発生しており、購入前にハザードマップを確認する人も増えています。
土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域に指定されている場合は、売却時に買主へ説明する必要があり、購入をためらう要因になります。
⑤ 建て替え時にがけ条例などの制限を受ける
一定の高さを超えるがけの近くに建物を建てる場合、自治体の「がけ条例」によって、建物をがけから離して建てる、擁壁を設けるといった制限を受けることがあります。対象となるがけの高さや規制の内容は、自治体によって異なります。
また、土砂災害特別警戒区域内では、建物の構造に一定の基準が求められます。こうした制限によって希望どおりの家を建てられない可能性があるため、買主に敬遠されやすくなります。
⑥ 重機が入りにくく解体や工事費が割高になる
傾斜地や道路から階段で上がる土地では、解体や建築に必要な重機やトラックが入りにくく、手作業や小型の重機での作業が増えます。その結果、平坦地に比べて解体費や工事費が割高になりやすくなります。
古い家を解体して建て替えたい買主にとっては、この追加費用が大きな負担になります。
傾斜地の家・土地の売却価格を左右するポイント
同じ傾斜地でも、条件によって売れやすさや売却価格は大きく異なります。自分の物件がどのような条件にあたるのかを確認してみましょう。
傾斜の角度と方角(南向きの傾斜地は評価されやすい)
傾斜が緩やかであれば、造成の負担が少なく、価格への影響も小さく済みます。反対に、傾斜が急なほど工事費がかかり、評価は下がります。
また、傾斜の向きも重要です。南向きの傾斜地は日当たりや眺望がよく、評価されやすい傾向があります。一方、北向きの傾斜地は日当たりが悪くなりやすく、売却価格が下がる要因になります。
道路より高い土地か低い土地か
道路より高い土地は、日当たりや眺望、水はけがよい反面、階段や坂が必要になり、駐車場も作りにくくなります。道路より低い土地は、出入りはしやすいものの、日当たりや排水、浸水リスクの面で不利になることがあります。
どちらの場合も、高低差が大きいほど工事費がかさみ、価格への影響も大きくなります。
実際に家を建てられる面積(有効宅地面積)
傾斜地では、登記上の土地面積が広くても、斜面部分には家を建てられないことがあります。売却価格に大きく影響するのは、実際に建物を建てられる平らな部分の広さです。
斜面部分が大きい土地は、面積のわりに評価が低くなりやすいため、査定時には有効に使える面積を確認しておくとよいでしょう。
擁壁や地盤の状態
高低差を支える擁壁がある場合は、その構造や状態が売却価格に影響します。鉄筋コンクリート造で検査済証がある擁壁であれば安心材料になりますが、古い擁壁やひび割れのある擁壁は、補修や造り直しの費用が価格から差し引かれます。
また、盛土で造成された土地は地盤が弱いことがあり、地盤改良が必要になる場合もあります。
建物の築年数と状態
建物がまだ十分に使える状態であれば、「造成済みの家付き土地」としてそのまま住みたい買主が見つかる可能性があります。傾斜地は建て替えに費用がかかるため、建物を活かせるかどうかは大きなポイントです。
一方、築年数が古く傷みが激しい場合は、解体や大規模なリフォームが前提となり、その費用分だけ売却価格は下がります。
売却前に確認したいこと
傾斜地の家・土地をスムーズに売却するためには、事前に物件の状況を確認しておくことが大切です。
ハザードマップと土砂災害警戒区域を確認する
まずは、自治体が公表しているハザードマップで、物件が土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域に入っていないかを確認しましょう。国土交通省の「重ねるハザードマップ」でも確認できます。
区域に指定されていても売却はできますが、買主への説明が必要になり、価格にも影響します。事前に把握しておけば、査定や交渉をスムーズに進められます。
擁壁の有無と状態を確認する
高低差を支える擁壁がある場合は、ひび割れや傾き、水抜き穴の状態を確認しておきましょう。あわせて、擁壁の確認済証や検査済証などの資料があるかも探しておくと安心です。
擁壁の種類や確認すべきポイントについては、擁壁のある土地の売却について解説した記事で詳しく紹介しています。
境界と測量の状況を確認する
傾斜地では、斜面部分や擁壁の位置によって、隣地との境界がわかりにくくなっていることがあります。境界がはっきりしないまま売却すると、隣地所有者とのトラブルにつながるおそれがあります。
法務局で公図や地積測量図を取得し、境界標が設置されているかを確認しましょう。境界が不明確な場合は、土地家屋調査士に測量を依頼する方法もあります。ただし、買取業者によっては測量なしで買い取ってくれる場合もあるため、先に相談してみるのもよいでしょう。
接道状況と再建築できるかを確認する
建物を建て替えるには、原則として幅4m以上の道路に2m以上接している必要があります(接道義務)。傾斜地では、道路との間に階段や通路しかなく、接道義務を満たしていない土地もあります。
接道義務を満たしていない土地は再建築不可となり、一般の買主にはさらに売れにくくなります。自治体の建築指導課などで、再建築できるかどうかを確認しておきましょう。
相続した傾斜地の家・土地を売るときのポイント
傾斜地の家は、親から相続した実家であるケースが多くあります。相続した傾斜地の家・土地を売却する際は、次のポイントを押さえておきましょう。
まずは相続登記を済ませる(2024年4月から義務化)
相続した不動産を売却するには、まず相続登記をして名義を相続人に変更する必要があります。亡くなった親の名義のままでは売却できません。
2024年4月から相続登記は義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記をしなければなりません。正当な理由なく登記をしない場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。手続きに不安がある場合は、司法書士に相談するとよいでしょう。
兄弟姉妹で共有名義になっている場合の注意点
相続した実家を兄弟姉妹で共有している場合、家・土地全体を売却するには共有者全員の同意が必要です。1人でも反対する人がいると、売却を進めることはできません。
売却の方針について早めに話し合っておくことが大切です。全員の合意が難しい場合は、自分の持分だけを買い取ってもらう方法もあるため、共有持分の買取に対応している業者に相談してみましょう。
空き家の3,000万円特別控除が使えるか確認する
相続した実家を売却する場合、一定の条件を満たせば、売却益から最大3,000万円を差し引ける「空き家の3,000万円特別控除(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除)」を利用できることがあります。
主な条件として、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家であること、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することなどがあります。また、家を耐震リフォームするか解体する必要があります。相続人の人数などによって控除額が変わる場合もあるため、適用できるかどうかは税理士や税務署に確認しましょう。
相続土地国庫帰属制度は傾斜地だと利用が難しい
2023年4月から、相続した土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」が始まりました。しかし、この制度には厳しい要件があり、傾斜地では利用が難しいケースが多くあります。
たとえば、建物がある土地は対象外のため、事前に解体して更地にする必要があります。また、勾配が30度以上かつ高さが5m以上のがけがあり、管理に過分な費用や労力がかかる土地は承認されません。承認された場合でも、原則20万円の負担金がかかります。
こうした点を考えると、傾斜地の家・土地は国に引き取ってもらうよりも、買取業者に売却するほうが現実的な選択肢になることが多いでしょう。
放置すると固定資産税や管理の負担が続く
相続した傾斜地の家を空き家のまま放置すると、毎年の固定資産税に加えて、草木の手入れや建物の管理などの負担が続きます。傾斜地では擁壁や斜面の管理も必要になり、崩れて隣家に被害が出れば、所有者として責任を問われるおそれもあります。
さらに、管理が不十分な空き家として自治体から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、税負担が増える可能性があります。建物の老朽化が進むほど売却も難しくなるため、早めに売却を検討することが大切です。
解体・造成してから売るべき?
傾斜地の家・土地を売却する際、「家を解体したり、土地を造成したりしてから売るべきか」と迷う方も多いでしょう。
結論:多くの場合は現況のまま売却するほうが合理的
結論として、多くのケースでは解体や造成をせずに、現況のまま売却するほうが合理的です。
傾斜地の解体や造成には高額な費用がかかるうえ、工事をした分だけ売却価格が上がるとは限りません。とくに地方や郊外の傾斜地では、工事費が土地の価格を上回ってしまうこともあります。
まずは現況のままで査定を受け、工事をした場合との差額を比較してから判断するのがおすすめです。
傾斜地の解体・造成費用が高くなりやすい理由
傾斜地の解体や造成費用が高くなりやすい主な理由は、次のとおりです。
- 重機やトラックが入りにくく、手作業や小型重機での作業が増える
- 廃材を運び出すのに手間と時間がかかる
- 造成の際に擁壁の新設や地盤改良が必要になることがある
- 工事中の土砂崩れを防ぐための対策が必要になる
そのため、同じ規模の家でも、平坦地に比べて解体費が高くなるのが一般的です。工事を検討する場合は、複数の業者から見積もりを取りましょう。
更地にすると固定資産税が上がる場合がある
住宅が建っている土地には、固定資産税を軽減する「住宅用地の特例」が適用されています。家を解体して更地にすると、この特例が使えなくなり、土地の固定資産税が上がる場合があります。
解体してから売却までに時間がかかると、その間の税負担が増えてしまいます。傾斜地は更地にしてもすぐに売れるとは限らないため、解体のタイミングには注意が必要です。
工事費と売却価格を比較して判断する
解体や造成をするかどうかは、次の計算で比較するとわかりやすくなります。
工事後の売却価格 −(工事費+工事期間中の税金などの費用) > 現況での売却価格
この式が成り立つ場合は工事をする価値がありますが、成り立たない場合は現況で売却したほうが手元に多くのお金が残ります。工事にかかる時間や、工事後も売れ残るリスクもあわせて考えておきましょう。
傾斜地の家・土地を売却する3つの方法
傾斜地の家・土地を売却する方法は、主に次の3つです。
| 売却方法 | 売却価格 | 売却までの期間 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 不動産仲介 | 高くなりやすい | 長くなりやすい | 傾斜が緩やかで、建物の状態もよい |
| 買取業者 | 仲介より低めになりやすい | 短い | 急な傾斜地や老朽化した家、相続した実家 |
| 隣地所有者への売却 | 相手次第 | 相手次第 | 隣地所有者が土地の拡張を望んでいる |
① 不動産仲介で一般の買主に売却する
不動産会社に仲介を依頼し、一般の買主を探す方法です。市場価格に近い金額で売れる可能性がある一方、傾斜地の家・土地は買主が限られるため、売却までに時間がかかることがあります。
傾斜が緩やかで、駐車場があり、建物の状態もよい場合は、仲介での売却を検討するとよいでしょう。売却が成立した場合は、仲介手数料がかかります。
② 傾斜地や訳あり物件に対応する買取業者に売却する
不動産買取業者に直接買い取ってもらう方法です。買取業者は、解体や造成、リフォームを自社で行ったうえで再販するため、急な傾斜地や老朽化した家でも買い取ってもらえる可能性があります。
買取価格は仲介での売却より低くなる傾向がありますが、次のようなメリットがあります。
- 解体や造成をせず、現況のまま売却できる
- 家財道具を残したまま売却できる場合がある
- 買主を探す必要がなく、短期間で現金化できる
- 業者が直接買い取るため、仲介手数料がかからない
- 契約不適合責任を免責とする条件で契約できる場合が多い
遠方にある相続した実家や、仲介で売れなかった傾斜地の家・土地は、買取業者への売却が現実的な選択肢になります。
③ 隣地の所有者に売却を相談する
隣地の所有者に買い取ってもらう方法もあります。隣地所有者にとっては、土地を広げて庭や駐車場として使える、斜面の管理を一体的に行えるといったメリットがあるため、一般の買主より前向きに検討してもらえることがあります。
ただし、個人間の売買はトラブルになりやすいため、価格の決め方や契約手続きは不動産会社や専門家に依頼するのが安心です。
傾斜地の家・土地を買い取る業者の選び方
買取業者によって、傾斜地への対応力や査定額は大きく異なります。業者を選ぶ際は、次のポイントを確認しましょう。
傾斜地や難しい土地の買取実績がある
まず確認したいのが、傾斜地や再建築不可物件など、売却の難しい土地の買取実績です。実績が豊富な業者ほど、造成や活用のノウハウを持っているため、買い取りを断られにくく、適正な価格を提示してもらいやすくなります。
業者のホームページで買取事例を確認したり、査定時に同じような物件の買取経験があるかを尋ねたりするとよいでしょう。
造成・解体費用を踏まえて査定してくれる
傾斜地の家・土地の査定では、造成や解体にかかる費用をどのように見積もるかが重要です。工事費を過大に見積もられると、その分査定額が下がってしまいます。
査定額の根拠を聞いた際に、工事費をどの程度見込んでいるのかを具体的に説明してくれる業者は信頼しやすいといえます。
建物や残置物を現状のまま買い取ってくれる
相続した実家には、家具や家電、衣類などの家財道具が残っていることがよくあります。傾斜地の家は荷物の運び出しにも手間がかかるため、片付け費用が高くなりがちです。
残置物をそのままにして買い取ってくれる業者を選べば、片付けの手間や費用を抑えられます。どこまで残したまま引き渡せるかを、事前に確認しておきましょう。
契約不適合責任を免責にできる
契約不適合責任とは、売却した不動産に契約内容と異なる不具合があった場合に、売主が負う責任のことです。傾斜地の家・土地では、売却後に地盤や擁壁、建物の不具合が見つかるリスクがあります。
とくに相続した実家は、売主自身が建物の状態を詳しく知らないことも多いため、契約不適合責任を免責とする条件で買い取ってくれる業者を選ぶと安心です。
複数の業者に査定を依頼して比較する
傾斜地の家・土地は、業者によって査定額に大きな差が出やすい物件です。1社だけで決めず、複数の業者に査定を依頼して比較しましょう。
比較する際は、査定額だけでなく、次のような条件もあわせて確認することが大切です。
- 解体や残置物の処分費用をどちらが負担するか
- 測量や境界確定が必要か、その費用をどちらが負担するか
- 契約不適合責任の扱い
- 引き渡しまでの期間や支払い時期
査定額が高くても、売主の負担が大きければ手元に残る金額は少なくなります。総合的な条件で判断しましょう。
傾斜地の家・土地の売却で注意したいこと
傾斜地の家・土地を売却する際は、売却後のトラブルを防ぐために、次の点に注意しましょう。
災害リスクや地盤の情報を買主に伝える
土砂災害警戒区域に指定されている、過去に斜面が崩れたことがある、雨のあとに地面がぬかるむといった情報は、売却時に必ず買主へ伝えましょう。知っていた不具合を隠して売却すると、売却後に契約不適合責任を問われ、損害賠償や契約の解除につながるおそれがあります。
こうした情報は、売買契約書や物件状況報告書に具体的に記載しておくことが大切です。
契約不適合責任の範囲を契約前に確認する
一般の買主に売却する場合、売主は一定期間、契約不適合責任を負うのが一般的です。傾斜地の家・土地では、売却後に地盤や擁壁の不具合が発覚するリスクがあるため、責任を負う範囲や期間を契約書で明確にしておきましょう。
買取業者への売却では、契約不適合責任を免責とするケースも多くあります。売却後の不安をなくしたい場合は、免責で買い取ってもらえるかを事前に確認しておくと安心です。
遠方の物件は現地確認や手続きの進め方を相談する
相続した実家が遠方にある場合、何度も現地に足を運ぶのは大きな負担です。買取業者のなかには、現地調査や査定を業者だけで行い、契約手続きも郵送などで対応してくれるところがあります。
査定を依頼する際に、立ち会いの必要性や契約手続きの進め方を確認しておくと、遠方からでもスムーズに売却を進められます。
傾斜地の家・土地の売却でよくある質問
急な坂の上にある家でも買い取ってもらえますか?
はい、買い取ってもらえる可能性は十分にあります。一般の買主には敬遠されやすい物件でも、傾斜地や訳あり物件を専門に扱う買取業者であれば、造成やリフォームを前提に買い取ってもらえるケースがあります。まずは複数の買取業者に査定を依頼してみましょう。
車が入れない傾斜地の家は売れますか?
売却は可能ですが、一般の買主には売れにくく、売却価格も下がりやすくなります。とくに車が生活に欠かせない地域では、駐車場がないことが大きなマイナス要因になります。一方で、買取業者であれば、駐車場の有無にかかわらず買い取ってもらえる場合があるため、相談してみるとよいでしょう。
土砂災害警戒区域にある家・土地は売却できますか?
土砂災害警戒区域にある家・土地でも売却はできます。ただし、売却時には区域に指定されていることを買主に説明する必要があり、売却価格にも影響します。土砂災害特別警戒区域の場合は、建物の構造に制限がかかるため、さらに売れにくくなります。区域の指定状況を確認したうえで、訳あり物件に対応する買取業者に相談するのがおすすめです。
相続した傾斜地の実家を兄弟と共有している場合はどうすればいいですか?
家・土地全体を売却するには、共有者全員の同意が必要です。まずは兄弟姉妹で売却の方針を話し合いましょう。全員の合意が難しい場合は、自分の共有持分だけを買い取ってもらう方法もあります。共有持分の買取に対応している業者に相談してみるとよいでしょう。
傾斜地の土地を国に引き取ってもらうことはできますか?
相続した土地であれば、相続土地国庫帰属制度を利用できる可能性があります。ただし、建物がある土地は対象外で、勾配が30度以上かつ高さが5m以上のがけがあり、管理に過分な費用がかかる土地は承認されません。承認されても負担金がかかるため、傾斜地の場合は買取業者への売却を先に検討するほうが現実的です。
まとめ|傾斜地の家・土地は状態に合った売却方法を選ぼう
傾斜地の家・土地でも、売却は可能です。ただし、造成費がかかる、車が入りにくい、生活が不便、災害リスクがあるといった理由から、一般の買主には売れにくく、売却価格も下がりやすくなります。
売却を成功させるためのポイントは、次のとおりです。
- 傾斜の角度や道路との高低差、有効に使える面積を確認する
- ハザードマップや擁壁、境界、接道の状況を確認する
- 相続した場合は、相続登記や共有者との話し合いを早めに進める
- 解体や造成は費用対効果を比較してから判断する
- 複数の買取業者に査定を依頼し、査定額だけでなく契約条件も比較する
相続した傾斜地の家を放置すると、固定資産税や管理の負担が続くだけでなく、建物の老朽化が進んで売却がさらに難しくなります。売却を考えているなら、早めに行動することが大切です。
傾斜地の家・土地の売却で悩んでいる方は、まずはアルバリンクやラクウルなど訳あり物件に対応する買取業者に無料査定を依頼して、自分の物件がいくらで売れるのかを確認してみましょう。愛知県や関東主要都市ならナカジツ、東京都内ならブリリアントにも相談してみるのがおすすめです。

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