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行政代執行を受けた空きビル 外壁のみ2500万請求 水戸市

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「外壁、今月下旬に代執行で撤去 水戸の空きビル」

今日1月12日のニュースより。ついに空き家かと思ったら、町の中の空きビルだそうです。

外壁、今月下旬に代執行で撤去 水戸の空きビル

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記事の内容

 水戸市南町3丁目の空きビルで、外壁がはがれ落ちて近隣の建物に被害が出ていた問題で、市は今月下旬に危険建築物について行政代執行を実施する。10日の市議会都市建設常任委員会で説明した。
建築物は8階建てで、1972年に建設された。近年は空きビル状態が続いている。2011年の東日本大震災や台風が通過した際に外壁の落下が相次いだため、市は15年7月に所有者に対し危険な外壁の撤去に関する命令を行っている。しかし、現在までに命令に基づく措置は履行されていない。市によると、所有者は経済的理由で「撤去は困難」としているという。
市は16年12月末に足場を組み、防護パネルでビルを覆って対応している。今回は近隣住民の安全確保、人命優先の観点から、建築基準法および行政代執行法に基づき、危険な外壁の撤去を決めた。---1月12日朝日新聞より

 

所有者判明するも放置状態

 

以前から取り上げられていたビルで、所有者不明なのかと思ったら、判明はしているようです。
2016年の台風のあと、落下した外壁が、隣の花屋さんのガレージの屋根を突き抜けたということで、大通り沿いのビルですので、歩行者にとっても危険と判断されたのです。

所有者は解体費用が都合できないという理由で、勧告に従わず、今回代執行の運びとなりました。

もっとも、代執行でなされる部分は、建物全体の解体ではなく、外壁の撤去、おそらくタイルのような外装部分ということなのですが、それだけでも費用は2500万円だそうです。

 

所有者はペーパーカンパニー

 

厳しい沙汰だと思われがちですが、該当ビルは2003年までに外務省と地元銀行に差し押さえ、その後競売となり、現在は有限会社が所有。

所有者も判明しているものの、実体のないペーパーカンパニー、所有者がいても事実上は放置されている状態だそうです。

市の方も長年勧告や見守りを行った末と思われます。

 

代執行の手順

一般的な空き家の場合、行政代執行は、いきなり行われるわけではありません。
個人の持ち物ですから、自治体が勝手にすることはできず、その点自治体の方も苦慮しています。

自治体によって違いはありますが、最初に空き家がどの段階化を自治体側で把握することから始まります。

「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態他」の査定を受け、もっとも程度の高い「特定空き家」と認定されると、代執行の対象となるのです。

そのあとは、おおむね、指導・勧告・命令・代執行の順序で行われることになっており、今回のように、勧告をしたものの所有者が応じず、危険が大きく放置ができない場合に、自治体が所有者に代わって必要な措置を行います。

 

費用請求は所有者に

 

代執行で、解体が行われたとしても、その費用は自治体が負担してくれるわけではありませんで、請求は所有者に対して行われます。

支払いが拒否されたとしても、自治体ですから、差し押さえなどの措置を取ることは容易でしょうが、それにしても、空き家ならまだしも、外壁だけで2500万円という空きビルの費用の大きさには驚きます。

相手に支払い能力がない場合はどうなるのか。そしてこのような空きビルが増えた場合の、市の財政はだいじょうぶなのでしょうか。

これは戸建ての場合でも同様です。そもそもが自治体が空き家の管理にまで目配りしなければならない。さらに一時的にではあれ、個人の資産の管理に市が費用を負担するというのは大変な手間です。

 

相続人が解体する場合も

 

 

これからは、建物を建てる時や、相続の際は、売れないときのこと、解体するときのことも必ず考えておかなければなりません。

今の解体は、相続後に必要となることが大半なので、そもそもの所有者本人ではなかった人が、費用を負担することにもなります。

相続が発生してしまってからでは遅いのです。
そして、今の空き家問題は既に個人の問題ではなく、社会問題です。

少なくても私たちの代は、子供にも、それから社会にもいたずらに負担を負わせないように、不動産の購入にも思慮深くあるべきでしょう。

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