週刊現代1月20日号において、不動産業者の違法ではないが詐欺まがい商法についての記事を読みましたので、それを皆様にもお知らせしたいと思います。
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転売に似た手法で高額の差額を稼ぐ
以前ネットのオークションで、手芸品の販売をしたことがあります。
趣味で作ったものなので、その程度の値段をつけて市販品よりかなり安い価格で出品をするわけですが、売ったものが他のサイトで販売されているということが時たまあります。
しかも自分がつけた値段よりも高い価格でです。いわゆる転売という方法です。
それが日用品よりもはるかに高額な千万単位の不動産でも、転売に似たやり方があるということで、その場合の差額はたいへんな金額になります。
ネットに出ている転売品は、本などの中古品もおおむねがそうです。ただし、本の場合は、業者が一度買い取ったものに、さらにその価格より上乗せして売りに出すというのが通常の方法です。
しかし土地の場合は、業者が物件を買い取るわけではありませんで、手元にあるものをAさんからBさんへ譲り渡すのに、両方から手数料を取る「両手仲介」と言われる方法を取ります。
両手仲介と囲い込み
私が不動産屋に土地を依頼したとします。誰かがそれを買った場合は、売り手の私が業者に成功報酬として、売却価格の3%プラス6万円を払います。これは法律で決まっている手数料です。
その会社に同時に、A町に100坪くらいの宅地が買いたいという依頼の購入希望者がいたとします。私の土地がそれに合致していれば、その場合は、購入の依頼や相談をしていた人からは、売買が成立すれば、私と同様に3%プラス6万円が請求されることになります。
同じ売るなら、そのように自社の顧客に売った方が倍になるのです。そのため、ネットの土地の提示を見て、問い合わせをしてくる人がいても不動産屋は断ってしまうということなのです。
もっとも私の方は誰であっても、売れればかまわないのは当然です。ところが、その場合は業者の方は「売れない土地なので、もう少し値段を下げてみましょう」と持ちかけるというのです。
「3千万円のところを2千万円に下げましょう」と言って、もちろん買いたい人の方には、3千万円で売るわけです。差額は業者に入るという仕組みになっています。
買いたい人は一般の人ではなく、買い取り業者への転売ということが多いようですので、既に業者間でその仕組みが出来上がっているということでしょう。
買い手を限定して価格を操作する「囲い込み」というやり方です。
被害に合わないための注意点
記事の中には、その被害に合わないための注意点が載っていますので、それも書いておきますと
見積もりは複数業者で取る
これはほとんど常識かなとも思います。ただ、当ブログで書いているような物件は、優良物件とはほど遠く、売れない地方の空き家の場合は、不動産屋に持ち込んでも断られることが多いので、必然的にあちこちに依頼をすることになるかもしれません。
多少値が付きそうな場合なら、もちろん積極的に最低でも2箇所、できればそれ以上問い合わせだけでもしてみましょう。
電話あるいはネットでも十分
初回だけなら、最初は電話で、業者がその足で見に行って、電話で査定額を告げてもらうだけで十分です。
私の場合は、ほとんどがそれで済みました。同様のものにネットの査定もあります。その際の感触で、依頼先を決めるとよいでしょう。
ホームページが高額物件ばかりかどうかも注意
自社の物件ばかりを載せている会社は「両手仲介」をしているも同然だといいます。
高級そうな家や高額のものばかりが並んでいる場合も注意が必要です。
しきりに値下げを提案してくる
その通り書きますと
当初は好条件を出しておきながら、しばらくすると大幅値引きを提案する行屋がいますが、能力がないと言わざるを得ない。
短期間に一割以上価格を下げるよう求めてくる業者は、絶対に信頼してはならない。 --アレース・ファミリーオフィス江端吉昭
以上、不動産業者に仲介を依頼する際の注意点です。私もこれから夫の家を依頼することになると思いますので、やはり気を付けておきたいとは思います。
売れない物件の場合について思うこと
このブログで対象としているのは、仲介に出せばすぐさま問い合わせのあるような都会の優良物件ではないのです。
だまされるほど高額の物件どころか、多少の出費があろうが、タダでも譲りたいというのが地方の空き家の現状です。
その場合は、値下げはむしろ当然のことで、逆に業者との間では、こちらが値下げをしたいという要求があっても、地方の地価の維持のために業者の方が下げたくないということの方がよく起こります。
そして、こちらとしては多少の出費があろうと、どんなやり方をしようと、空き家をさばいてくれるならありがたいというのが本音です。
そして、実は空き家の売却の際に力になってくれるのは、必ずしも、正当な方法で細々と営業している町の不動産屋さんではないのです。
粗大ごみ同然のどうやってもお金になりそうもない空き家を安く買い取って売りさばく、そのノウハウを持っていて、業者間での転売ルートも知っている、実際私が出会った業者さんはそういう人たちだったと思います。
競売で他の業者が驚く高値で落札し、新築と見まごうようなリフォームを施して売る業者、流血の事故物件をアパートぐるみ扱うのが専門の会社、共有物分割請求のリスクを負っても相続登記以前の土地を扱う業者、ローンの払えなくなった自分の家を競売にかけられてのち任売専門をうたう業者---
家を売るにあたって、実際に助けになったのはそういう業種の業者たちでした。
それでなければ、単に空き家というだけではない、うちの実家のような、私道、建屋未登記、欠陥住宅、そして相続登記もできない物件を売ることはできませんでした。
逆に言えば、高額な資産となる土地や家ではない以上、空き家を処分するのに取られるもの、失うものは何もありません。
守るべきものは、空き家以外の自分の資産、自分の心の安定と時間、それだけなのです。
恐れずに進みましょう。