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土地が売れない!自治体の宅地造成事業に損失補填1.3兆円つくば市含茨城1823億 

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相続した個人の土地が売れないと同様に、地方自治体の造成した宅地が売れないという4月2日のニュース新聞記事を読みました。

考えてみれば、売り手が誰でも、土地が売れないのは同じになるため、それも当然のことなのですが、そこまで土地が売れないのかと聞くと、とても残念な気持ちになります。

自治体が一体どの程度の損害を抱えてしまったのでしょう。
借金となってしまったものは、返済やこれから挽回もできるものなのでしょうか。

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土地が売れないため自治体が借金

地方自治体が造成した土地が売れないため、住民サービスに使われるべきお金がその穴埋めに使われていました。その総額が過去10年間で1兆3億円にのぼることがわかりました。

不動産事業で自治体が損失を出す事例は、20年ほど前から土地開発公社が問題になっていました。当県の公社も倒産したところがあることも知られています。

造成しても売れない

これまでは土地を造成すれば売れるとされていました。

実際、中古住宅が増え続けていても、古い団地の隣にまた新しい宅地が出来て、家が建っているという眺めも見かけます。

しかし、一部の土地に関しては、造成後、または造成される前に荒地として取り残されているところがあり、その分の損益が発生しているのです。

また、売れた土地であっても、地価が下がったため想定通りの価格に届かないということもあり、売れてはいても収益にはなっていないのだそうです。

つくば市の例

新聞には、茨城県つくば市の例が載っています。
つくば市はそもそも、住みたい町として人気が高い状態を保っているところです。茨城県と都心を結ぶつくばエクスプレスの開通で、都心まではわずか40分の立地の良いところです。

そのつくばエクスプレスの万博記念公園駅から1キロほどの場所に、県が1993年から「土地区画整理事業」として整備を進めてきました。

沿線という立地の良いところで、宅地化して分譲する予定なのですが、宅地化までの工事費が確保できず、いまだに造成に取り掛かれていない土地が残っています。
さらに2019年に終了するはずが、大幅に遅れて2029年の予定となっています。

売れても損失100億

同地域で売れた土地に関しても想定通りの価格にはならず。10年間で390億円の損益が出てしまいました。それを一般会計から補填しても、借金の残高が1490億円。

それを売って整理をしたくても、時価評価相当額は1370億円なので、全部が売れたとしても100億の損失と借金が残るという八方ふさがりの事態です。

さらに悪いことに、補填をせずに放っておいたとすると、それを次世代がこれから負担して返していかなければなりません。

茨城県はこのほかにも工業団地造成等の事業に手を出してきましたが、いずれも取得の時期がバブル期で、高値で買ったということが、マイナスの原因です。

地価が下落したため、売れても赤字が残るという結果になってしまいました。
10年間で1800億円超の借入額だといいます。

全国に441の自治体が同様の事態

他の自治体はどうしているのかというと、北海道岩見沢市が12億、福島県本宮市が85億、新潟県98億、神戸市629億、奈良市51億、岡山県156億と高額です。

いずれの地域も、分譲地や工業用地が売却できたとしても、上の例と同様に、借金が返しきれないところが多く困った事態となっています。

北十州港周辺の企業用地造成事業の借金返済は不可能ということが既にわかっているということです。最終的には市が借金し、一般会計から404億円を借り入れして穴埋めすることとなりました。
その後は30年の分割払いにして、独立採算が崩れたほか20年先の世代もそれを負担し続けるという結果になっています。

そしてこのような「宅地造成」に関する借金とその補填を行った自治体の数は、441に上ることもわかったのです。

有識者は「こうした事業を自治体が手がける意義は薄れている」と見ます。
仮に造成を終えたとしても、利益が上がらず借金を返せないどころか、費用だけをつぎ込み、さらなる借金が増えるだけとなります。

それならば、荒地のままに放っておく他はありません。

個人所有の土地も

今までは、個人の所有の土地が売れないということの他、国や自治体が所有する土地が売れないということを考えたことはありませんでした。自治体所有の土地もまたこれほどまでに売れないということを聞いて驚きました。

自治体の開発の場合は、個人の所有する土地よりもはるかに立地もよく、周辺環境も整備されるにかかわらず、「売れない」。
しかもつくば市のように、住みたい町ランキングに上がるような街でさえもです。

古い団地の売れにくさ

しかしながら、自治体の場合の「売れない」とうのは、現在の相場の価格での買い手が現れないということですので、真新しい団地であれば、価格を下げれば買い手はいると思うのです。

しかし、それとひきかえ郊外型戸建ての場合、周辺も古びた団地であり、立地も悪く駅より遠い、しかも取り壊し間近の古家つき。

隣に、取引にも安心な自治体が売り手の新しい団地が、軒並み安値で売りに出されているとすれば、値が付かなくても手放すしかないのです。

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