シェアハウス投資問題で、被害者オーナーらに融資を行ったスルガ銀行社長の米山氏が、15日に初めて会見を行いました。今後は第三者委員会が、公正な調査を続けるとされています。
一方、これまで独自の取材を続けてきた、朝日新聞の記者がスルガ前支店長の音声と思われるデータを入手。内容を読む限り、発言の主の関与に疑いの余地はなさそうです。
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スマートデイズ社長が録音した音声データ
この音声データはスマートデイズ元社長の大地則幸社長が、10月下旬に録音したものです。
話している音声の主は、スルガ銀行横浜東口支店の前支店長とされています。
会話の内容は
その内容の一部。
ガヤルド、サクトの問題が金融庁で尾を引いている。役員が2回、3回と説明したが、納得してくれない。金融庁って顧客目線になっちゃうんで、ガバナンスがどうとか、なぜ見抜けなかったかとか、ああだこうだとあるんですよ
前支店長とスマートデイズ社長の会話の内容は
「ガヤルド、サクト」というのは、それぞれ不動産会社の「ガヤルド」社と「サクトサクトインベストメントパートナーズ」社のことです。
スマートデイズ社と類似の方法で、シェアハウス投資を運営していました。
二社の扱った人数は100人超と言われていますが、昨年前半に破綻。
その問題が明らかになったため、スマートデイズ社の進めていた「簡易宿所」投資への融資の継続が、話し合われた際の録音だそうです。
「支店長」が、スマートデイズ社の大地社長に話しているのは、今後の融資の打ち切りを示唆するような内容ですが、実際は10月末に、スルガ銀行側から「簡易宿所の融資は続けると決めた」と伝えられました。
肩を叩かれたスマートデイズ社長
大地社長は、東京支店に呼ばれた際、担当専務から「頑張れよ」と言われて、肩を叩かれたと明かしています。2月のインタビュー時とありますから、朝日新聞の取材でしょう。
スルガ銀は取材に対して、冒頭の支店長発言について「把握していない」としていますが、この案件は、「支店長」の発言では実際に行内でも話し合われており、「営業担当専務が意欲的だが、経営企画部や監査部の担当役員には反対された」というのが、音声データの内容です。
さらに、「取締役会で岡野光喜会長兼CEOの判断を仰ぐことになった」と伝えられ、再度、10月末に融資が継続になりました。簡易宿所の融資での改ざんもすでに明らかになっています。
金融庁は知っていたのか?
この音声データから生じる疑問は二つ。銀行内で、上に名指しされる人物たちの間で、実際そのような話があったかどうかということ。
そして、支店長の話が本当なら、話に出てきている金融庁が、どの程度シェアハウス投資とその問題について把握していたかということです。
この続きをできるだけ早く明らかにしてもらうよう望みます。
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以上の内容はAERA2018年5月21日号の記事を元にしています。
執筆している藤田知也記者は、これまでずっと朝日新聞紙面のシェアハウス関連の記事を書き続けている方です。
紙面を見ていますと、朝日だけの独自取材とされているものも多いです。
それにしても、不動産会社だけならともかく、銀行が関与するとなると、問題が大きくなることに驚くばかりです。