スマートデイズ社運営の女性専用シェアハウス、融資を受けたスルガ銀行への提出書類の改ざんの方法と様子が、「ガイアの夜明け」で放映されました。
銀行への提出書類がこれで通ってしまったというのが驚きですが、この書類の改ざんについて、独自取材を続けていたおなじみ朝日新聞の藤田知也記者が、改ざん業者へのより詳しいインタビューを掲載していますので、さらにそちらをお知らせします。
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改ざんを請け負う業者とは?
犯罪同然の不正行為を行っている業者とは、表向きは「不動産業者」であるようですが、宅建業の免許はなく、不動産会社に客をあっせんして手数料を受け取る、そういう人たちだといいます。
難しくはないパソコンでの改ざん
改ざんの方法は預金通帳の数字分をスキャンして、画像修正ソフトで数字を切り取って、コピーを貼り付けるだけ。
貼り付けをした以下の行はすべて残高の数字が変わってくるので、電卓で利息も計算して足していく。所要時間はどの位かかるかというと、慣れても1ページが30分くらいはかかると言います。
改ざんとはいえ、多少の技術とミスなくするには注意が必要で、改ざんを始めた最初の頃は、源泉徴収票の改ざんの際に、名前を間違えて入力してしまい、あやうく改ざんがばれそうになって、怒られたこともあったといいます。
その業者に改ざんの手ほどきをしたのは、昔の職場の先輩だと言いますから、このようなことをしているのは、ひとりだけではなく、おそらく部分的には日常的には行われていたのでしょう。
シェアハウス投資に改ざんが必要だった理由
この業者が始めた通帳コピーの案件は、中古1棟マンションのスルガ銀行融資でした。
1億を超えるシェアハウスの代金の1割を手持ちの自己資金に所有しているということを証明するために、通帳のコピーが必要だったわけですが、1千万円を超える自己資金をもあっているオーナーはほとんんどいない。
そのため融資の金額を増やす方法に次のような手順が必要でした。まず、建物の金額を実際の取引金額よりも、高い値段の売買契約書を偽造する。そして、その1割分の自己資金があるかのように、客の通帳コピーを改ざんする。
客本人には、告げずに融資の契約を進めた例も相当あるようです。実際よりも高い金額の9割ということで、融資される額が、偽造する前よりも多く受け取れることになります。
あえて見逃した不正
多くの銀行では、通帳の残高の提示による自己資金の証明は、通帳のページのコピーではなくて、通帳そのものの原本を提示させるのが鉄則だと言われてきました。そもそもネットバンキングを利用する人も多い昨今では、パソコン上でデータを示させることも可能です。
それなのになぜ、原本確認を怠り、自己資金のないオーナーに融資の審査が通ってしまったのかというと、「不正があるとわかっていて、あえて見逃した可能性が高い」と他のスルガ銀行員はいいます。
それどころか番組内では、行員がLINEで改ざんを指示したと思われる場面もありました。主と従として作業を進めているうちに、相互が入れ替わったのか。それとも、主は最初から主だったのか。
先入観を持たずに物事をみる目が必要です。
リスク承知のスルガスキーム
改ざんを行った業者は「スルガ銀行はおおらかで不正資料でも簡単に通す。担当者もわかっていると思いますけどね」と憶測を述べています。
築数十年経過の中古物件に30年の返済期間で億単位の融資を行うのは、スルガ銀行以外にはないと言うのが、業界の通念でした。
そのようなリスクを伴う融資も積極的に進めてきたのが、スルガスキームであったのです。正当な融資で回収が不能になったというのなら仕方がありませんが、最初から改ざんとわかっていながら、行員のノルマ達成のためにあれもこれもと融資を通してしまったのでしょうか。
そして、このような業者ともいえない業者も巻き込んで三つどもえで進めてきてしまったのがシェアハウス投資であり、当然、今にしてそのつけが回ってきてしまったことが歴然としています。
まとめ
問題は、銀行内部よりも知らない間に改ざんを受けて、無理な融資が可能になってしまったオーナーたちです。
投資はオーナーの事故責任とも言われますが、業者と銀行だけが不正を知っていながら、素人を巻き込んだシェアハウス投資。
第三者委員会の調査は進んでいるのでしょうか。その後の報道が待たれます。