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スルガ銀再建 有識者談「銀行の体さえない」「銀行が率先して責任追及」刑事責任と民事両方の可能性

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スルガ銀行(静岡県沼津市)のシェアハウス投資向け融資で多数の不正があった問題で、同行の第三者委員会(委員長=中村直人弁護士)は7日、調査報告書を公表しました。

不動産投資向け融資で資料改ざんなどの不正が横行し、役員や支店長、多くの行員が関与したことが第三者委員会の調査で明らかになり、その実態に驚きが広がっています。

スルガ銀行の今後はどうなるのか、朝日新聞に掲載された有識者の意見から考えます。

 

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スルガ銀の第三者委の報告書骨子

・件数を数えるのは不可能だが、不正は不動産投資向けローン全般に蔓延(まんえん)
・多くの営業職員が関与。支店長レベルの一部や執行役員1人も直接関与
・極端なコンプライアンス意識の欠如が認められ、企業風土の著しい劣化があった
・会長や社長ら経営陣には善管注意義務違反や経営責任が認められる

「件数」と「蔓延」についての補足

これについては、わかっているものだけで、2014 年以降で 795 件と報告されています。

さらに、第三者委員会が実施したインタビュー「収益不動産ローンにおいて偽装が行われている案件の割合がどの程度あると思うか」の回答例は「10件くれば、10件はどこかしらに不正」「不正が全くない案件など、全体の1%あったかなかったかそのレベル」「100件中95-99件程度は何らかの不正が存在する案件」「偽装が一切ない案件は、100件中、あって、1件か2件、そのような状態なので、自分以外が知らないなどということはあり得ない」で、その程度がわかります。

有識者2名のインタビューから

それら事実を踏まえて、元東京地検検事の落合洋司氏、マネックス証券チーフ・アナリストの大槻奈那氏は、それぞれ次のように発言しています。

元東京地検検事の落合洋司氏

今回の不正は、デタラメぶりがすごすぎて、コンプライアンス(法令や社会規範の順守)を論じる以前のレベルだ。もはや銀行の体さえなしていないのではないか。

第三者委が認定した不正行為だけでも、多くの行員が私文書偽造や詐欺、背任などの罪で刑事責任を問われる可能性がある。これから信用を回復していくには、まずは銀行が率先して責任追及する姿勢を示し、刑事告訴や告発にも踏みだすべきだ。スルガ銀が捜査に非協力的なようだと、構図が複雑なだけに事件化が難しくなるおそれがある。

貸し倒れのリスクで銀行業績は大幅に悪化し、株価の暴落で株主にも大きな損失を与えた。不正を許した経営陣も含め、民事上の責任を明確にすることも避けて通れない。これだけ悪質で組織的な不正をうやむやにしようとすれば、銀行として再建することもままならなくなるだろう。

マネックス証券チーフ・アナリストの大槻奈那氏

多くの不正が融資全般に広まっていると認定されたことは驚きだ。スルガ銀は利益率が高く、株式市場でも「優等生」と評価されてきた。厳しい経営環境にさらされるなか、一つの地銀だけが突出した利益をなぜ上げられるのか。もっと注意深く見るべきだったかもしれない。

スルガ銀は1990年代から顧客のデータ管理で独自の審査ノウハウを確立するなど、地銀として先進性や革新性が圧倒的だったのは間違いない。新しいものに積極的に取り組む姿勢まで否定する必要はなく、悪い部分を徹底してそぎ落として再建を図ればいい。

ただ、不正で支えられた融資をやめ、残る部分でなお利益を上げられるかは不透明で、今後の経営のかじ取りは難しい。他の地域金融機関も、スルガ銀の問題を他山の石として、現場で無理な営業が行われていないか、しっかり点検しておく必要がある。

下線部分は、暗に金融庁の監査機関への批判でしょう。

貸し倒れリスクについての補足

これについては、今日のニュースでさらに、開示されなかった「住宅ローン」の項目の中に、不動産投資向け融資が含まれていたことがわかり、損失はその焦げ付きでさらに膨らむことが予想されています。

スルガ銀が今年2月に公表した2017年4~12月期決算では、融資残高3・3兆円のうち、住宅ローンが2・1兆円、個人向け有担保ローンが6400億円。
17年12月期は融資全体の3分の2近くを住宅ローンが占めたが、第三者委の調査では、18年3月期は同じ3分の2近くを不動産投資向けが占めている。
こうした状況についてスルガ銀の担当者は、以前の「住宅ローン」には、一部の不動産投資物件が含まれていたと明らかにした。貸し倒れリスクの低い住居は投資用でも住宅ローンに入れていたという。以前も質問されれば説明していたといい、問題はないとしている。
ただ、市場では「多くの投資家は『住宅ローン』に投資物件が含まれるとは思わず、誤解を与えるのでは」(アナリスト)と指摘する声がある。

 

経営陣の刷新についての疑問も

有国新社長と並んで会見した社外取締役の木下潮音氏は、

「岡野家と断絶をはかる。経営陣に岡野家は一人もいない。新しい会社になるよう自分たちの責任でやっていきたい」

また、有国社長は「調査結果を真摯(しんし)に受け止め、企業風土刷新に努力していく」と語りましたが、有国氏も第三者委に「経営責任は免れない」と指摘されており、一方では疑問の声が上がっています。

「パワハラで知られた人や不正への関与が疑われる人が経営幹部に残った。彼らに何を言われても全く響かない」(中堅行員)

これを読むと、対外的にはともかく、行内では、新しい人事についても、まったく希望が持てない状態のようです。

第三者委の報告書では、既に次のように記されています。

 「企業風土がここまで劣化し改善の希望もない状況だと、通常の対策では回復は困難だ。他の企業と統合するか、経営層の総退陣等で、新しい人材が新しい風・価値観を持ち込まない限り自力では変われない」

 

まとめ

実際問題として、これまでのトップたちは「(経営陣は)雲の上で下界を見ていた」(第三者委)であって、不正やパワハラに直接かかわっていたのではないのではないか。

そういう意味では「岡野家」だけが現在のような態勢を作ってしまったとは言えないのではないかとの疑問が残ります。

ガバナンスが欠如して、好き勝手に暴走を進めてしまったものは何なのかを見極めない限り、行内の人事を取り換えてみたところで、本当の意味での「再建」になるのでしょうか。

そして、トップばかりではなく、行員のインタビューにあるように、「偽装が一切ない案件は、100件中、あって、1件か2件、そのような状態なので、自分以外が知らないなどということはあり得ない」という、末端にまでそのような手法が行き渡っていた以上、実務上のやり直しがきくのかどうか。

判明はしていないまでも、業者から何らかの報酬を受け取っていた行員もいたはずです。

昨日のテレビ番組「バイキング」では、真面目な行員の良心をつぶして洗脳するために、強度のパワハラが行われていたとの解説がありました。

行った方も、また行われて実行を続けていた人の方も業務を続けているとなれば、とても利用者は安心できないとも思われます。

利用者の利益は考えなくていい、とにかく業績を上げようというのが、銀行一丸としての考えだったとしたら、トップの辞任はそれほど意味のあることではない気がします。

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