西武信用金庫が今日24日、金融庁に業務改善命令を出されました。
落合寛司理事長は引責辞任、後任の高橋一朗常務理事が記者会見を行い、「お客様に多大なるご迷惑とご心配をおかけし、心から深くおわび申し上げます」と陳謝しました。
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西武信金に金融庁が業務改善命令
金融庁は、東京の「西武信用金庫」に、反社会的勢力との関係が疑われる相手に融資するなど、内部管理体制に問題があったとして、抜本的な改善を求める業務改善命令を出しました。
金融庁によりますと、西武信金では、投資用不動産向けの融資で、不動産業者が改ざんした顧客の預金通帳の残高などの書類を見過ごして融資を行う事例が多数あったということです。
さらに本部で反社会的勢力などとの取引防止を担うコンプライアンス担当者が1人しかいないなど、体制が不十分で、反社会的勢力との関係が疑われる相手に対し、十分な確認なく融資していたこともわかったということです。
西武信金に業務改善計画の提出を求める
こうしたことから金融庁は、審査などの内部管理体制に問題があったとして、24日付けで業務改善命令を出しました。
責任を明確にするとともに、抜本的な改善策を講じて来月28日までに業務改善計画を提出するよう求めています。
西武信金、反社会的勢力への融資の状況
金融庁によると下のようなこと事実が指摘されています。
反社会的勢力チェック担当職員は1人
西武信金では反社会的勢力との取引排除を担当する職員は1人だけであり、そのため、一部の営業店幹部は、同勢力とつながりのある周辺者に関する十分な確認を怠り、準暴力団幹部の親族に融資を実行していたことがわかりました。
監査担当役員の要請を落合理事庁が拒否
暴力団関係者への融資に関しては、懸念を抱いた監査担当役員らが調査を再三要請したものの、理事長が拒否。
金融庁は、強い発言力を有する理事長に対して十分なけん制機能が発揮されず、「内部統制が機能していない」と断定しました。
西武信金への金融庁業務改善命令内容
西武信金に対して、実行が求められたことの概要です。金融庁のHPから。
1.本処分を踏まえた責任の所在の明確化と内部統制の強化
2.融資審査管理を含む信用リスク管理態勢の強化
3.反社会的勢力等の排除に向けた管理態勢の抜本的な見直し
・上記(1)業務の改善計画の提出と実行
・上記(2)の改善計画の改善状況の報告すること
西武信金の行政処分の理由
・業績優先の営業で、内部管理態勢の整備を怠った
・不動産業者の偽装文書、改ざん文書を看過して融資した
・偽装や改ざんの疑いは127件。うち73件(139億円)で不正を確認。28店の45人が関与
・建築士や不動産鑑定士らに耐用年数を長くするように指示・示唆する不適切な行為(258件)
・反社会的勢力との関係が疑われる人物の関係者に融資。支店長が自ら関与
・反社会的勢力との取引を排除する態勢が不十分。本店はわずか1人で対応していた
・反社会的勢力への融資を心配した監事や監事会の調査要請を理事長が拒否。強い発言力をもつ理事長への牽制(けんせい)が不十分で内部統制が機能していない
融資の127件で書類改ざん
投資用不動産融資では、仲介業者が持ち込んだ融資案件のうち、127件で書類改ざんの疑いがあり、西武信金は24日までに73件について改ざんを確認したといいます。
職員が外部専門家に建物の耐用年数の引き延ばしなどを指示・示唆する不適切行為も、融資対象となった258の物件で見つかったということです。
西武信金の落合寛司理事長が引責辞任
業務改善命令を受けた西武信用金庫は24日夕方、記者会見を開き、経営責任を取るため24日付けで落合寛司理事長が辞任し、高橋一朗常務理事が後任の理事長に就任したと発表しました。
後任は高橋一朗常務理事に
高橋理事長は記者会見で、「お客様に多大なるご迷惑とご心配をおかけし、心から深くおわび申し上げます」と陳謝しました。
そのうえで、「改善命令を真摯(しんし)に受け止め、地域に密着した経営と顧客を重視した営業活動に徹し職員一丸となって信頼の回復に努めたい」と述べました。
西武信金に業務改善命令が出された今日のニュースと、記者会見の様子は以上です。