スルガ銀行からの内部調査の結果公表に先立つ12日の朝日新聞記事では、ここへきて、行員から「不正抜きには考えられない融資だった」との声が出ているということです。
この記事は、当ブログの前の記事 シェアハウス問題 スルガ銀行実体調査を公表 融資2000億円1200人 個人向けの2割 の補足です。
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考えられない融資の指示はどこから
つまり、融資の専門家である銀行員から見ると、あり得ない条件の融資が、なぜか通されてしまっていたという内部事情がうかがえます。
今日15日の調査結果の公表では、融資の額、オーナーの人数、関与した不動産会社、それから融資を実行した支店名は明らかになりましたが、それらの支店を束ねるところの、いったいどこから、そのような考えられない指示が出ていたのかは、まだ明らかになっていません。
銀行の融資基準
銀行には融資基準というものがあり、その決まりは厳密に決められていて、行員独自の判断でできるものではないということです。
融資の金額が物件価格の9割が上限で、投資の金額の1割の手付金を払えるだけの貯蓄がなければ融資ができないということになっていました。
シェアハウスの多くは価格が1億円とされていましたので、ぎりぎりでも1千万円の貯金がなければ、融資はできなかったはずなのです。
1千万円というのは、一般的にいっても、若年のサラリーマンが用意するには、すぐには揃えられない金額です。
しかし、今回のシェアハウスの場合は「自己資金ゼロ」という投資者の状況も多く聞かれました。
融資額を増やすからくり
それを成り立たせたのは、物件の価格が虚偽の数字で水増しされていたからです。
実際の価格が1億円の建物が、融資の提出書類で1億1千万ということになっていれば、融資額は9割で9900万円となり、1億とした場合よりも、900万円多く融資額として受け取ることができます。
そして、投資者の通帳の残高は、数万円、数十万円、というものが、数千万円ということに数字が改ざんされていたのです。
そもそも不動産というのは、一生に人によっては一生に一度あるかないかの大きな買い物ですので、これは銀行員ならずとも、市井の人が聞いても不審に思うべきことでしょう。
たとえば、まだまだ若手のサラリーマンで、それほど収入もなく富裕にも見えない人がいきなり、「今度、1億の投資マンションを買いました」と言ったら、一体どうやって買ったのか驚かれて当然です。
融資の専門家である銀行の人が、それを成り立たせてしまう福の神であったなどとはついぞ聞いたこともありません。
銀行内にそのような「神」がいたとしても、神ではない元行員は「1千万円も持つ会社員がそう多いはずがない。自己資金ゼロを堂々とうたう業者も多く、改ざんなしに融資できないことは銀行員ならわかる」と話したといいます。
スルガ銀行内部の流れ
スルガ銀行が今回の調査結果公表に至るまでの流れは次のようなものです。
スルガ銀行は、朝日新聞が「資料改ざん」を初めて報じてから1週間あまり後の2月下旬、社員に対し、「知っている事実を隠した者は懲戒処分の対象となる。自己に不利でも正直に申告した者は相応の配慮をする」と通達したと言います。
そして、その時点では、行員による不正関与は認められないとの結論となりました。
ところがその後4月下旬、上とは別の調査においてシェアハウス関連の融資業務の経験者を対象にしたアンケートを行ったところ、多くの行員から不正を黙認していたことを明かす回答が寄せられたといいます。
そこでようやくさらなる調査と、今日の公表となったわけです。
今のところ速報で伝えられているのは、このブログの前記事、日本経済新聞の記事の通りです。
さらなる事実が早く明らかになることを望みます。