女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズは、オーナーへの家賃不払い問題で破産。
シェアハウスの計画自体ががずさんであったことが、既にわかりましたが、そのシェアハウス投資のオーナーたちに、融資をおこなってきたのがスルガ銀行です。
一昨日には、改ざんの会社を紹介するとみられる、スルガ銀行員と不動産業者とのやり取りを録音したものの音声が公開されました。その後の動きと論調、いくつかの疑問点を検証します。
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融資の白紙撤回は同意せず
これまで、スルガ銀行は1棟で平均1億円の土地・建物の購入資金を約700人のオーナーに融資。融資総額は1200億円に上るとされています。
かぼちゃの馬車の破綻で家賃収入がなくなったオーナーのなかには、借金を苦に自殺した人や、自己破産を申し立てた人も出ています。
オーナーらの被害者弁護団は、融資の白紙撤回を求める方向ですが、スルガ銀行は「運営会社のかぼちゃの馬車が破綻しても、当行とオーナーの融資契約は有効」との認識を変えていません。
これまでのところ、金利や返済額など融資条件については相談に応じていますが、元本の減免には応じていないとされています。
不正行為にスルガ銀行が関与か
銀行の通帳のコピーなどの改竄や源泉徴収票の写しなどを偽造して年収を水増しし、実質、自己資金ゼロで購入する仕組みが作られるなどの不正が露見。
それらの不正行為にも、スマートデイズ他不動産業者だけでなく、スルガ銀行の役員や行員が関与していた可能性が浮上しています。
それどころか、不正を意図的に黙認したものとの、次のような見方も出ています。
「個人向け融資のプロであるスルガ銀行の担当者が、こんな初歩的な改竄に気付かないはずがない。銀行の役員・担当者が黙認の上で不正行為が堂々とまかり通った、との疑いが深まっている」(有力地銀の役員)
組織ぐるみの疑いが濃厚に
一昨日には、改ざんの会社を紹介するとみられる、スルガ銀行員と不動産業者とのやり取りを録音したものの音声が公開されました。
中古マンションの一棟売り、新築アパートでも同様の行為が新たに発覚し、「スルガ銀行の関東や東北の6支店や京都支店が融資していた」と朝日新聞が報道したことを当ブログでも掲載しています。
一支店だけの問題ではないということが既に明らかになっているということで、つまり、どう見ても「組織ぐるみ」であったのではないかという追及は免れなくなりそうです。
金融庁の調査については?
先月の13日にはスルガ銀行に金融庁の立ち入り調査が行われておりますが、それについては
「どの程度の処分にまで踏み込むのか。岡野光喜会長兼最高経営責任者(CEO)の責任問題まで持っていくのか、業務改善命令が出るのか、出る場合はどこまでの範囲か、が焦点となる」(金融アナリスト)
隠れたポイントであるトップ人事は?
金融庁の森長官が「優等生」と褒めたたえた手前、金融庁側も組織ぐるみとはしたくはないのではないか。あくまで銀行の一部の不始末として、米山社長が責任を取って解任となり、創業者の岡野会長は残るのではないかと取り沙汰がされていました。
しかし、もはやそのような忖度をしている場合ではないとする声もあります。
「個人向け融資に業務停止命令が出れば、業務のほとんどが個人向け融資なので、何も仕事ができなくなってしまう。一気に経営がガタガタになる可能性がある。こうなると、もはや、岡野CEOが残る、残らないは関係がない。踏み込み過ぎれば、経営破綻もありうる。金融庁に、その引き金を引く勇気があるのか」(関東地区の有力地銀の首脳)
そして今日の前記事では、決算では純利益の下方修正が行われたこともお伝えしました。株価は半値以下に急落。
ムーディーズ・ジャパンは4月25日、スルガ銀行の格付けを格下げする方向で見直すと発表しています。
銀行内の家計簿は数字が大きすぎて、判断がつきませんが、それらを見ていても、はたして「業務改善命令」程度のことで、立て直しが利くのかどうかが疑問です。
15日には決算発表の予定
銀行自体は、投資トラブルが広まった1月後半以来、それから3カ月以上経過しても、同行は一度も記者会見を開いていません。
そしてその状態で、18年3月期決算の発表を5月10日から15日に延期されたそうです。
つまり15日には決算の数字が発表となるわけで、その数字によっては、銀行内部はもとより、銀行の「外」からも今後の方針が決まってくるものと思われます。
スルガ銀行の責任を改めて問う
かぼちゃの馬車は、スマートデイズの借り上げ期間が30年間だった。これほどの長期にわたり、賃料を保証できるものなのか。このビジネスモデルは本当に大丈夫なのか。想定していた入居者の賃料は現実的なものだったのか。利益が出るように見せかけるために、架空の賃料を設定したのではないのか、などの疑念が生じている。(ビジネスジャーナル)
そもそも、銀行は融資のプロです。危ない橋を渡ってまで融資を行う理由はないはずです。
取引件数も1件や2件ではありませんし、膨大なお金の動きに気がつかない方が不思議ではないでしょうか。
音声が公開されたということは、誰が電話の話し手かはすぐわかるはずです。本当の主導が誰だったのかを知ることは、そう難しいことではないでしょう。