夫の実家の相続について調べていた本に、欠陥住宅の相続についての興味深い記述を見つけました。
私自身の相続の際に知っておきたかったことでもあり、これから役に立つ方のために、記しておこうと思います。
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欠陥住宅だと買取業者が指摘
私が約10年前に父が亡くなった後の家を売却しようと、買い取りの業者に相談して初めて、家が欠陥住宅であるということがわかりました。そのため買い取ったあとリフォームをして売りに出すその会社の業者には買取を断られてしまいました。
業者が言うには「われわれはどんなぼろ家でも買い取りますが、お宅は買えない」ということでした。
欠陥住宅は一見してわからないものも
夫もその家には何度か来てくれましたが、その話を聞いたら「一体どこが悪いのかが見てもわからない。その人に聞けばよかったのに」と言われました。
夫は建築には素人ですが、その他に仲介を依頼して下見に来てくれた人には、木造だと説明しても「作りがしっかりして頑丈だから鉄骨ではないだろうか」と褒められる始末で、不動産屋の業者が見てもわからないもののようでした。
不動産屋さんというのは、売買を専門にする人で鑑定士ではないためでしょう。素人ならなおさらなので、いざ相続や売却などとなって、専門家が間に入った場合に初めて欠陥住宅と判明することがあります。うちの場合がその顕著な例です。
遺産の分割後に欠陥住宅と判明したら?
私の場合は、弟と私とどちらもその家には住まないで売却するということになっており、先に現金と有価証券は分割済みでしたので、家の場合は個別に負担とはなりませんでした。
しかしもし、私が家をもらうということになって、弟がが預貯金で1千万円というように分割をした場合は、ひじょうに困ることとなったと思います。
欠陥住宅はそのまま売却はできない
欠陥住宅と査定されてしまった、あるいは後から土台が白アリに喰われていることがわかったなどという場合は、修理費用をかけて修理をしなければ、売却はできませんし、そのまま住むことさえも難しくなります。
個人間売買のインスペクション
建物の場合には、そのような隠れた瑕疵(かし)と言われる傷があるリスクがあります。
これからは中古住宅の個人間売買には、インスペクターという調査士が入ることが推奨されることになり、事前にそのような傷が発見されることは多くなることが予想されます。
しかし、売買ならともかく、兄弟間の相続の際、実家をわざわざ調査してもらうなどということは、そうそう思いつかないかもしれません。
相続でも適用される法律がある
もし、相続の分割が住んでしまった後でも、実家が欠陥住宅だったとわかったら、その場合は「共同相続人間の瑕疵担保責任」というのが適応になります。
民法911条(共同相続人間の担保責任)
各共同相続人間は、他の共同相続人間に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。
これは法律できちんと決められているもので、要するに家屋の売買の時の瑕疵担保責任というのと同じようなものです。
その建物の価値が1千万円ということで相続分割に合意をしていれば、その建物に瑕疵が見つかった場合は、担保の責任を負うこととなり、マイナスとなる部分については、他の相続人も補償をしなければなりません。
上の場合、兄が相続した実家に、気がつかなかった瑕疵があり、300万円の修理代が必要になった場合は、兄は妹に150万円を請求できるというわけです。
その他評価の誤り
その他にも、記載していた土地の坪数が実際よりも少なく、評価額がそれによって下がることになったというような場合も同様、他の相続人に対して相続分に応じた損害賠償が請求できます。
損害賠償請求の期限
この損害賠償請求には期限があり、「隠れた瑕疵を知ったときから1年以内」となっていますので、気がついたことがあったら、早めに調査を依頼し、請求の手続きを取るようにしましょう。
法律的には、上の通りですが、しかし、遺産分割が過ぎてしまってから、兄弟に請求して気持ちよく支払ってもらえるかというと、そういう時ばかりではないと思います。他人であれば簡単なところでも、むしろ兄弟であるために話がこじれることもあります。
相続が起こる前に調査も
トラブルを経験したものとしては、地積の測量や、家屋の状態とその評価などは、むしろ、相続の前に一度見ておいてもらった方がいいと思います。
または、売却を予定しているなら、親の生前に売却をすることをお勧めします。仲介を依頼して売りに出してもすぐに売れるとは限らない。間が長くなればなるほど、その間の経費を誰が払うかが必ず問題になります。
あらかじめ親のお金をそのために残しておいたとしても、年数が長くなればいずれは尽きることになります。松本明子さんの場合が良い例です。
接道も視野に
それと、調査を依頼する際には、家屋と敷地だけではなく、接道も確認してもらってください。
持ち分なし私道であった場合や、後から増築をして、建築基準に合わなくなっているなどという場合も、売却が困難になることがあります。
持ち分なし私道で最も困ることは、建て替えをする時、または誰かが買う時にも、銀行ローンが組めないということです。
家の価値を下げるのは、必ずしも建物だけはありませんので、家や土地に付随するものにも注意を払う必要があります。
まとめ
実家とはいえ、自分の家でなければ、予想外の問題が判明することがあります。
実家だからといって甘く考えずに、新しい家を一軒買うつもりになって、客観的に見分を進めるように考えた方が、後の問題を未然防げると思います。