相続に際し、法定相続分通りに分けるということで相続人同士が同意すれば、問題は起こりません。
おそらく争点となるのは、遺留分、寄与分、特別受益の3つで、これらが俗に「争族3兄弟」と呼ばれるものです。
その内、遺留分を除いた2つは、主観的な部分もあり、基準が曖昧なので、双方の主張するところが一致しない。
それで多くは争いになるのです。
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寄与分は金額で算出されるものでないと認められにくい
寄与分とは、被相続人(親)の介護や世話をした分を相続分に加えて受け取れる制度のことです。
世話をした人にとっては、ごく当然にも思えることですが、寄与分というのは相手に、あるいは法律的にも認められるかどうかとなると、大変難しいのです。
主張として十分なものとするには、裁判となった場合に金額として換算できるものが必要です。たとえば、介護ですと、一日付き添っていくらの費用分というように算出されるものが対象です。
単に「世話をした」だけでは、他の相続人が認めないので、争いになるのです。
意識していなくても若い頃の学費は特別受益
特別受益とは、被相続人(親)から亡くなる前に贈与を受けていたら、その分を相続財産として差し引くというものです。
生前贈与、学費、土地を上げたり貸した、または家を買うための資金援助、生活費援助などがそれに当たります。
上記に比べると、金額の想定はある程度は容易かもしれませんが、どちらにしても、さかのぼっての話となると、意識しないものや、はっきり金額が出せないものも出てきます。
世話をした分を受け取るには遺言書
寄与分については、亡くなってから相続人が主張したとしても認められにくいため、やはり生前に遺言書を書いてもらっておく方が良いようです。
あるいは「特別受益」として差し引かれたくない場合は、その分の「持ち戻しを免除する」という文言を遺言書に入れておいてもらえれば、生前に遺贈があったとしても、その分は引かれずに均等に分けることもできます。
私と弟の場合---帰省は7年間に一度切り
両親が離婚した父親と行き来ができて自宅に通うことが数年、そのあと入院と施設を移りながらが2年以上ありました。
その間は、病状が悪い時はほぼ毎日、施設に居る間は週に二度定期的に通いました。
弟の方は大学を出てからあと、父が亡くなるまでに父に会ったのは、たった一度だけで、介護には一切関与していませんでいた。
特別受益については、弟は大学院を4年かけたので、私よりも4年は多かったのですが、通常は大学4年間で1千万円ともいわれます。
なので、明らかな特別受益があったことになりますが、私は当時も多少の知識はありましたが、一切問わないことにしました。
弟もそれらについては知っていたと思いますが、自分からは何も言いませんでした。
そして、葬式の日にだけ来て、二等分の相続財産を受け取ったにも関わらず、弟とは連絡が取れないまま、9年後に相続登記と土地の売却となったわけなのです。