被相続人、すなわち亡くなった人が遺言を書き残し、一人の人に遺産を与え、他の人には与えないと書き残したとしても、遺産をもらえなかった相続人は遺留分の請求をすることができます。
手続きに沿って請求をすれば、相続の欠格事由に該当する人、相続人を排除された人以外は、法律で認められた遺留分は受け取ることができると法律で認められています。
たとえば、親が兄弟のうちの1人だけに遺産を与えようとした場合、たくさん与えられた人の方が渡さないと言い張ったところで、受け取れるというのが確かなところなのです。
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遺留分の請求を調停で行った母の場合
うちの母の実家では、祖父が4人兄弟のうち、心身に障害を持つ一人の叔母に遺産を全額与えようとして、そのように遺言を書きました。
しかし遺留分請求をした他の兄弟に対しては、親の希望も、障害を持つ兄弟の世話をしていたもう一人の叔母の言い分も通りませんでした。
請求された叔母の方も弁護士を頼んだが
調停の際は必ずしも必要ではありませんが、請求した母の側は弁護士に調停を一任したので、叔母の方も弁護士を頼むこととしました。
しかし、遺留分は、条件を満たしている側は請求できますし、請求をされた側の方はその分は必ず分けなければなりません。
請求された世話人の叔母の方は、費用をかけて弁護士を頼んでも、遺言書の通りに遺産を渡さないということはできませんでした。
調停が3回に及び、費用以上に、つその間の心労は大変だったと思います。
調停になるとは思っていなかった叔母
叔母の方は、たぶん他の兄弟が請求をするとは思ってもみなかったのだと思います。
祖父が生前に兄弟皆を呼んで、遺産を誰に渡すかは了解を取っていたからです。なので葬式までは何の問題もありませんでした。
しかし、それは表だけのことで、葬式が終わるなり、母の夫が遺留分を渡すようにと言い、口論になったわけです。
叔母が取り合わないので、母の夫が調停を申し立てて、調停をすることになったのです。
自分の兄弟なら、良く知っていることもあって予測がつきますが、叔母は姉の配偶者の言動までは思わなかったのでしょう。
円満に分けた方が費用も心労も少ないことも
相手が遺留分の請求を行う場合は、弁護士を頼んだとしても、渡さないということはできないので、それは一応念頭に置く必要があります。
寄与分や特別受益などが複雑でなければ、遺留分の計算は難しくありません。
請求を起こしそうな相手なら、円満に分けた方が両方とも、特に請求をされた方の費用や心労は少なくなるかもしれません。
遺留分が相手の権利として保障されているという法律的な知識を正しく持って、できるだけ無益な争いは避ける、それが自分を守るひとつの知恵だとも思います。