朝日新聞の特集記事「負動産時代」の3は所有者不明土地と登記についての内容でした。
それを読んでいて思ったのは、相続登記がやがて義務化されるのではないかということです。
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相続登記をしなくても違法ではない
法務局に行くと、「相続登記をしましょう」というポスターなどで呼びかけは行われているものの、現在は、相続登記はやらなくてはいけないと定められているわけではありません。
また、相続が発生して、いつまでに行わなければならないという決まりもありませんでした。
所有者不明土地の損失年1800億円
しかし、全国のの総面積が九州より広く、そして土地を有効活用できない損失は年1800億円、その上、管理されていない空き地のみならず、空き家問題と次々に相続登記をしないための不具合が浮上されるようになり、相続登記がきちんとされるようにしなければならないという認識が広まりました。
相続登記をしない土地は登記が勧められる?
対策としては、所有者不明土地でも5年間の公共事業への利用ができると定められ、同時に未登記の土地の調査が市町村で行われるという方針も定まりました。
後者は登記簿や戸籍などから法的相続人をたどり、見つかれば登記がうながされます。
相続登記の費用軽減も
それから、登記の促進のために、登録免許税が軽減されるということです。これは、来年度の税制改正とされています。
さらに、それだけでは不十分で、所有者不明土地の登記の義務化が議論され、来年度中に登記制度をめぐる方向性が打ち出されるということなのです。
売れる土地を相続する人にとっては何ら変わりはありません。
心配なのは、それらが売れない土地を所有する人、あるいはこれから相続する人にとって、どんな影響があるかということです。
「相続登記をしない」=消極的な土地の放棄
今までは、相続登記はするものとされていても、実質的に相続登記をするかしないかは土地の所有者の任意となっていました。
違法ではないので、しないままでおくということもできたのです。
所有者不明土地がそれだけに膨れ上がった裏には、何らかの事情で相続登記ができなかったという他にも、土地を相続したくなかった意向も見え隠れします。
今でもネットの売れない土地をどうするかのフォーラムの回答などでは、一般の人が「相続登記をしないままにする」との答えも、一つの知恵として伝授されていました。
売れない土地を相続したくない
つまり、土地を登記しないということは、消極的な相続放棄の一つの方法でした。
売れない土地を持つ人は、固定資産税を払ってはいても、とりあえず登記簿に自分の名前を載せずに済んだのです。
それは、当代はともかく、数代先には放棄の可能性を含むものでもありました。実際そのように所有者不明土地が増えていってしまった面も少なからずあり、これからはさらに、相続を避ける目的での未登記が増えていくかもしれません。
相続登記が義務化されたらどうなる
もし、相続登記が義務化されることとなったら、一方で土地の放棄をする制度がない今は、土地を相続したくないとしても、登記しないで済む手立てはまったくなくなります。
土地が要らなくても、時に数十万の登記費用をかけて、相続人の誰かの名義にしなければなりません。
もちろん、そうするのが普通のことなのですが、それは、今まで過疎地や山林はともかく、一般的な土地には資産価値があったからです。
土地に価値があった時代
私の親の代でもあれば、よもや登記をしたくないなどということが起こるとは、到底考えられませんでした。これまでなら土地のことで相続人同士がもめるという場合は、お互い土地が欲しくて争いになるというのが大半でした。
登記が義務化されるということは、逆に言えば、たった数十万の登記費用を上回るだけの価値が見込めないので、それだけ放置される土地が絶えないということなのでしょう。
不要の土地が売れない以上、登記費用はマイナスのままの経費でしかありません。
結局、相続登記をするかどうか迷うのは、土地や空き家があるからです。相続登記を考える前に、まず、土地が幾らで売れるのかを考えましょう。そして早めに売却することが、空き家の相続で悩みを抱えない一番の方法になります。