スマートデイズ社が運営するシェアハウス「かぼちゃの馬車」で、700人ものオーナーが破産の危機に面することになったトラブル。手持ち資金が全くないオーナーも銀行から全額融資を受けていました。
その場合、銀行側に審査の手落ちはなかったのでしょうか。
シェアハウス投資 スマートデイズが破綻したサブリース契約家賃保証のトラブルとは
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ここまでに判明したこと
問題となっているのはスマートデイズ(東京都中央区)が運営する女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」。
タレントのベッキーさんが、シンデレラに扮して、コマーシャルに出演もしていました。
家賃の支払いを30年間保証とうたわれ、勧誘された会社員らが1棟当たり約1億円の融資を受けて、一括借り上げ(サブリース)契約を締結。
ところが昨年10月に突然家賃が減額。今年の1月からは、家賃がまったく支払われない事態に陥りました。
一部のオーナーがローンの支払いを銀行に交渉に行ったため、そこで書類の改ざんも発覚。
不正があったことがわかると同時に、銀行側にもオーナーが支払い能力がないということが明らかになりました。
書類の改ざんは誰が
これまでの調べで、書類の改ざんを受けたのは、70人中62人だということも明らかになりました。
ただし、誰が改ざんを行ったのかは、今のところはわかっていません。
しかし
誰の手で不正が行われたかは不明だが、もし与信の可否を左右する信用力を確認する書類に改ざんがあったのならば、誤った判断で融資が実行された可能性がある。
という点は既に指摘されています。
オーナーに返済能力があるかどうかを決めたのが預金高を示す通帳のコピーだったわけですが、 その数字は、実際の数字ではなかった。それに基づいて審査が行われてしまったことになります。
その上、銀行はオーナーに融資の条件として、フリーローンの契約を求められました。借入の期間は少なくとも2年、その際の金利は7.5%というものでした。
現在のスルガ銀行の調査は
スルガ銀行は2月22日に顧客にアンケートを送付その回答を待っている状態のようです。
今はまだ、シェアハウス向けの融資がどれだけあったのかすら、わからないと伝えられています。
シェアハウストラブルに対する反応
東洋経済のこの記事にはネットでコメントが寄せられました。
当然ながら、投資者の「自己責任」という意見が多いながら、「金融機関はこういう経験の浅い投資家を悪徳業者から守る最後の砦となるべきところを、評価が出ない物件に高金利で融資した責任は重い」と銀行の道義的な責任を指摘する声もありました。
そして「ゼロ金利政策で苦しい地方銀行が怪しい不動産融資に乗り出した図式」地方銀行の衰退を指摘する意見もあります。
確かに、2億円を超える借金を抱えた30代のオーナー男性は「スルガ銀行の融資判断自体を一つの信用と受け止めていたのに」とも言ったそうです。
オーナーは、無理強いの上で契約をさせられたわけではありませんので、もちろん、自分の責任ではあります。
しかし、破綻までがあまりにも早過ぎる。これはいわゆる投資の失敗と言えるでしょうか。
そうではなくて最初から成り立つはずもなかったビジネスモデルだったとすると、そのやみくもな計画を成り立たせてしまったことに手を貸してしまった銀行がいたのは確かです。
銀行の審査はあくまで自行のため
そもそも銀行の審査というのは、投資者の利益と一部かぶるところはあっても投資者のために行われるものではないということを忘れない方がよさそうです。
そのビジネスが成り立つかどうかを判断して、それを教えてくれることが銀行の仕事ではありません。投資をする際のよりどころとなるものが欲しければ、それは自分で専門家を依頼するほかありません。
時には自分で第三機関を依頼する
たとえば、空き家の売買の際には、買い手と売り手の間に仲介業者が入りますが、その値段が適正かどうかを知りたければ、やはり第三者であるインスペクター等を依頼することがベストな方法となります。
今は中古住宅を売りに出す際ばかりでなく、新築の購入の際も、インスペクターを依頼する場合も多いのです。
万が一欠陥や不都合がある場合の費用は莫大です。大きな買い物なら、そのくらいの調査は必要です。
売買で利益を受ける人の意見は、決して公正ではありません。不動産の購入の際にも、自分自身での調査は慎重に行わなければならないと心しておきましょう。