母が先月作成したばかりの公正証書遺言の謄本を私に渡しに来ました。
公正証書遺言だと、もし母が亡くなった場合、この謄本と、母の通帳と印鑑があれば、それ以外の手続きをせずとも預貯金を下すことができます。
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公正証書遺言の必要性と目的
不幸にして家族に音信不通の相続人がいる場合は、その相続人と連絡を取らなくても、亡くなった人の貯金を下ろしたり、不動産の登記ができるようにするには、公正証書遺言が必要です。
預貯金は子ども、マンションは配偶者へ
うちの場合は、母は再婚しているため、配偶者があり、私からすると義理の父ということになります。
ただし、父と私は養子縁組をしていないため、法律上は全くの他人となり、父の遺産についての相続権はありません。
それと、父はギャンブル依存があり、母と再婚後2千万近くを、株の投資で浪費したため、おそらく預金を譲ってもすぐになくしてしまう可能性が高い。
再々痛い目にあった母は、預貯金は、すべて私に譲りたいということになりました。
共有名義のマンション
そして、両親の住んでいるマンションは、父と母との共有名義となっています。
母が亡くなった場合、共有名義のマンションの父の持ち分2分の1は、そのまま父の名義のままですが、母の同じく2分の1の持ち分の権利を持つ人は、父と私と弟の3名となり、弟が連絡が取れない場合は、父の所有とすることができなくなります。
さらにマンションに関しては、売れないことが予想される地域にあるため、私は相続したくない、その場合は相続を放棄したいとあらかじめ申し入れました。
従って、今回の目的は、預貯金は私が相続する、マンションは父が相続する、そして、相続員の弟と連絡を取らずとも、その手続きができるようにするというものでした。
その場合の遺言書の文言
第1条
遺言者は、遺言者が有する次の不動産(不動産が共有持分である場合、遺言者が相続開始時に有する共有持分全部)を、遺言者の夫X田X夫(昭和XX年X月X日生)に相続させる。
そして、遺言執行者の指定があります。
第3条 遺言者は、第1条の遺言執行者として、次の者を指定する。
X田X夫(昭和XX年X月X日生)2 遺言執行者は、この遺言執行するために、遺言者が有する不動産についての名義変更、その他この遺言の執行に必要な一切の権限を有する。
3 遺言執行者は、前項の手続きを行うに当たっては、相続人の同意を必要としない。
預貯金についても同様です。
「遺言者は、前条に記載の、不動産を除く、遺言者の有する次の預貯金等のすべての金融資産、その他一切の財産を、遺言者の長女堀田七海(昭和XX年X月X日生)に相続させる。」に続いて「遺言執行者は、前項の手続きを行うに当たっては、相続人の同意を必要としない。」
遺言執行者の記載の重要性
「遺言執行者」を遺言書内に指定することについては、あまり知られていませんが、誰がその手続きを行うかの記載が大切なことがよくわかります。
公正証書遺言の作成にかかった費用
金額と項目の数によるようですが、母の場合は、マンションと預貯金とで合わせて47720円でした。
保証人代はそれとは別で、2人で15000円ということです。
これは頼みたいというと、公証役場で手配してくれ、司法書士の人が証人として二人、内容を読み上げる際に同席したそうです。
預貯金は銀行名と口座番号のみ 金額はなし
なお、公正証書内に、預貯金については金額の記載はありませんが、銀行名と口座番号はすべて細かく記されてありました。
例:〔金融機関の表示〕
① XX銀行 XX支店
総合口座 口座番号 12345678
② ○○銀行 XX支店
総合口座 口座番号 12345678
証人として、他の親類や友人などに依頼してきてもらったとしても、金額は書かれていないので、知られることはありません。
公証役場は、司法書士事務所に依頼するよりは安価でできます。
文言を見ると、用語が専門的でもあり、同じように自筆遺言書に書くとしたら、かなり知識のある方でないと無理だと思います。
法律的に有効であることが必要な文書ですので、やはり専門家に依頼するのが間違いないです。
母は作成が終わってほっとしたと言っていましたが、もちろん、遺言書は万が一の時のためで、これからもできるだけ元気でいてもらいたいものです。