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シェアハウス投資 スルガ銀行の問題点 金融に不可欠な「顧客本位」とは

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HCアセットマネジメント株式会社代表取締役社長、森本紀行さんが「スルガ銀行の何がいけないのか」というタイトルの文章で、金融機関としてのスルガ銀行の責任について書いておられます。

スルガ銀行の問題の本質とは何だったのか。かなりの長文なので要約します。

 

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金融の本来の目的とは

森本さんは、シェアハウス問題におけるスルガ銀行の問題点とは、金融の本来の目的を逸脱している点にあると言います。

金融というものに必要不可欠なことは、以下の2点に集約されます。

銀行本位ではなく顧客本位
目的に対しての受動的な姿勢

顧客本位ということ

不動産投資の場合、融資の依頼を受けた銀行は、物件の調査をし、借り手の収入、不動産の担保価値等を総合的に検討し、取組み可能と判断できれば融資を実行するというのが役割です。

しかし、それは単に貸したお金が返せるものか、あるいは、返済能力のある借り手なのか考査するだけではなく、「銀行が社会的機能を十全に発揮するためには、金融庁がいうところの顧客本位に徹しなければならない」といいます。

森本さんの言うのは、ローンの返済ができるかでどうかを決めるための様々な調査は、あくまで銀行がお金を貸した時に損をしないためのものであって、顧客のためではなく銀行の保身のためでしかない、というものです。

要は、金融における「顧客本意」ということは、一種の高いモラルだといえます。

ローンの本来の目的は借金そのものではない

「単に融資可能かどうかの判断をするだけではなく、顧客の目的に真に適うように無理のない弁済になるように、事業計画にも適切な助言をするなど、顧客との協力が求められる」---

これは、金融庁が「共通価値の創造」と名づけているところのものです。

ここで顧客の目的は、不動産投資で副収入を得るということです。

例えば、ローン返済のために、昼夜を問わず働かなくてはならなくなったとしたらどうでしょう。

銀行の目的はそれでも達成できますが、それは投資者の望むところではないはずです。

あるいは、住宅ローンを借りて、借金返済のために自宅を手離すことになったとしたらどうか。

銀行はそれでお金を返してもらえればいいかもしれませんが、それでは住宅ローンを借りた意味がなくなってしまいます。

融資を受ける目的が、借金を返すことだと借り手が取り違えるということはまずありませんが、当事者である銀行が取り違えたのが今回の状況だといえます。

シェアハウス投資の場合はどうか

これを改めて、シェアハウス投資に当てはめて考えてみますと、借り手は、賃貸物件の利益が上がらず返済不可能なために、自己破産しなければならない事例が多く起きてしまいました。

しかも、物件の価格が水増しされて、融資額が実際より多くなっている。さらには、通帳の改ざんを受けて返済能力もない。

通常の住宅ローンなら、払えなくなれば、担保物件である自宅を売れば清算できますが、シェアハウスにおいては難しくなっている状況です。

銀行員の関与がどこまでかは、いったん置くとしても、そうした危険を回避できるように適切な事業計画を提案しなかったということは、どうみても顧客本位ではなかった、森本さんの言う「逸脱」ということに当たるでしょう。

 

金融に必要な受動的姿勢とは

顧客の効率的な資産管理という上位の目的に対して金融は、目的に対して受動的でなければならないと言います。

朝日新聞の連載記事「スルガバブル」においては、

東京支店は、中古1棟マンション向け融資にとくに積極的だった。地方の業者への営業電話に加え、行員をホテルに滞在させて地方の投資物件を探すこともあった。「客は業者がすぐ見つけるが、売り物件のほうは枯渇した」(元行員)からだ。

という部分もあり、銀行員が、「全国の都市圏で高金利の個人向け融資を手がける『カネ貸し』」として、融資を受けるべき案件の創造に積極的に関わっていたことが知られることになりました。

目的を創造するというタブー

融資をするということは銀行にとっての利益でありますが、融資を受ける、借金をするということは、顧客の本来の目的ではないのです。

「目的を実現する手段が金融であって、金融が目的を創造するような積極的な姿勢は厳に慎まなければならない」というのが森本さんの意見です。

それを取り違えるとすると、たとえば、医師が患者が来てほしいために、ウィルスを蒔いて新たな患者を作ろうというような話になってしまうかもしれません。

病気と同じように、借金は本来ないほうが良いものなのです。

ただ、金融においては、借金をすることでそれを上回る利益がある、という場合において、借金には、それを上回る別な意味が付与されます。

住宅ローンや学資ローンなら、生活の質を上げるということができますし、投資なら、最終的には投資した金額を上回る収益を得ることができるのが理想です。

その場合に限って、投資者自らが借金することを、目的達成の手段として希望するということになります。

対して、貸し手である銀行の方は、融資を授ければそれで終わってしまいます。だから尚更、顧客本位である必要があるのです。

まとめ

森本さんの文章にはないことですが、シェアハウスのオーナーには、「スマートデイズよりもスルガ銀行が憎い」という人がいました。
「インサイダー取引と同じ」「一言危険だと言ってくれれば」という、銀行全体よりも直接相対した銀行員への感情もあるようです。

融資を受ける方にとっては、ローンは生活に直結する問題です。

担当者は借り手の不利益を考えることはなかったのか。そもそも、なぜ個々の銀行員がそのような逸脱に走ることになったのか。銀行としてのそのような背景はどの程度だったのか。

第三委員会の調査発表は、2〜3か月かかると言われています。それによって、銀行の処分も決まることでしょう。

より良い調査結果の発表が待たれます。

 

 

 

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