千葉県と茨城県の県境は、千葉でも茨城でもない「チバラキ」と呼ばれます。この地域は首都圏のおすすめの移住エリアとして、「NHK首都圏情報 ネタドリ!」で紹介されました。
このエリアの住み心地はどうなのか、不動産価格はどのくらいで住まいが手に入るのか。また、最近話題のCCRC(「継続的なケア付きの高齢者たちの共同体」)とは、何のことなのかをご紹介します。
大洋村や鹿嶋市が移住先として人気
今首都圏では、千葉県と茨城県が新たな移住先として人気を上げており、注目されているそうです。
海に近い風光明媚な土地ながら、鹿嶋市には鹿島臨海工業地帯があるため、交通の便や、生活に必要な施設など、そこで働く人のために環境や交通が整えられています。
東京から高速バス90分という距離にありながら、田舎暮らしが満喫できる。
そして、首都圏に比べたら、不動産物件が破格の安さで手に入ることも理由の一つです。
65歳以上の転入者が300人に及び、さらに高齢者の移住だけではなく、子育て世代、さらには若者たちにも人気の移住エリアとなっているそうなのです。
別荘の空き家をリフォームして販売
物件の販売価格は、1千万を超える質の良いものもありますが、100坪の土地付きが580から780万円くらいと破格の安さです。
というのは、元々は大洋地区から鹿島にかけてのエリアは、別荘地として開発されましたが、バブル崩壊後に手離す人が急増して地価が下落。
安く買い取った業者がリフォームして販売を始めたところ、首都圏から移住したいという思わぬ反響があったというのです。
CCRC構想「なごみの郷鹿島」
そこに移住者が急増したのが、今の「なごみの郷鹿島」です。
そして、「なごみの郷鹿島」の特徴は、単なる移住としての土地というだけではなく、CCRCの一つということです。
CCRC構想とは
CCRCというのは、アメリカで始まった住宅構想で、「Continuing Care Retirement Community」の略です。
どういうことかというと、仕事をリタイアした人が元気なうちに地方に移住して活動的に暮らし、介護や医療が必要になっても同所で継続的にケアを受けられる拠点施設のことを指します。
発祥の米国では現在約2千カ所の施設に計75万人余が暮らすとされ、日本では2015年6月に政府が「生涯活躍のまち」を目指す「日本版CCRC構想」を掲げて以降、各地で拠点作りが始まりました。
この「なごみの郷鹿島」はその一つなのです。なので、単なる移住者の町とは少し違い、高齢者に行き届いたサービスと物件の整備と街づくりが同時に行われています。
「なごみの郷鹿島」CCRCのコンセプト
このエリアの物件を販売しているのは、大和ハウジングという会社で、そこが「なごみの郷鹿島」を次のように紹介しています。
なごみの郷鹿嶋は「移住者の、移住者による、移住者のための」相互扶助組織です。 「生活サポーター」と称する移住者ボランティアが、高齢者の生活上の困りごとに対応。いつまでも安心安全に暮らせる鹿嶋づくりに向けて活動しています。
相互扶助を盛り込んだコミュニティー
具体的にはどういうことかというと、生活サポーターという人がいて、車がない方に同行し、病院や買い物に付き添い、体力的に衰えた方に代わり、庭の草刈りや剪定などを請け負うという活動を行っているということです。
生活サポーターには、移住をした人でもなることができ、いわば助け合い、相互扶助のできるコミュニティーとなっているわけです。
娯楽や医療もサポート
さらには、生活の扶助だけではなく、娯楽面ではカルチャーセンターが同じく住民同士の提供によって行われます。
高齢者の住まいで一番大切なものは医療ですが、もちろん地元の病院も協賛企業として、銀行や自動車販売店、老人ホームなどと一緒に、CCRCとしての街づくりに協力しているというのが、この町の特徴です。
また、高齢者の暮らしに欠かせないiphoneの講習会や、ITセンサーを駆使した「見守りサポート」など、とにかく高齢の移住者が安心してそこに住める環境が整えられた上で、物件を販売しようという、先駆的な試みです。
もし、この「なごみの郷鹿島」が今後も機能し続ければ、CCRCの成功例として、千葉や茨城は移住のしやすい町となることに違いありません。
これからも「チバラキ」エリアには注目が集まっていくことを期待します。