スマートデイズ社運営の女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」のサブリース家賃未払いで、多くの投資者オーナが困窮している問題で、オーナーに融資を行ったスルガ銀行の調査が進んでいます。
調査を行った第三委員会の今回の把握では、スルガ銀行の融資の99%が承認されていたということがわかったというニュースです。
独自の取材を続けてきた朝日新聞のニュースソース記事からお伝えします。
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ほぼ100%の融資
シェアハウス投資では、不動産業者らが長期の家賃収入を約束して会社員らをオーナーに勧誘。
業者らは預貯金の残高や年収の数字を改ざん。実際より多くあると見せかけて、1棟あたり1億円前後の融資をスルガ銀から引き出していまいした。
実際には、自己資金がゼロであったオーナーも少なくなかったといいます。
そのため、ローン返済の全額を家賃収入に頼ったため、運営会社からの家賃収入が途絶えたところで、オーナーが経済的に立ち行かなくなったのです。
融資を受けるための審査とは
そうなると、銀行もローンの返済がなされなくなることが予想されますので、融資の際には、あらかじめ融資を受けられるかどうかの「審査」で融資をするかしないかが決められることになります。
手持ち資金が少なかったり、不動産投資の場合は、物件の価値によって可否が決められ、他の銀行であれば、当然審査に通らないこともあります。
それを避けるために、改ざんが行われていたとのこれまでの報道で、当然、それなりの厳しい審査が行われていたのだろうとこれまでは思っていました。
ほぼ全部の案件が審査に通る?
しかし、何と、審査に通ったのが99%という数字になりますから、融資を受けられなかったのは、たった1%のみ。
融資の数と金額は、1258人分、2035億円といいます。
そのうち、焦げ付き、つまり返済が滞るとされるのは、シェアハウス融資だけで400億円です。
審査に落とさずに通してしまった不適切な案件や、改ざんにより通った案件も軒並みそこに含まれることになるでしょう。
先にお伝えした通り、融資の対象には元暴力団関係者なども含まれおり、審査がきわめてずさんであったことは、これまでも指摘されていました。
他では通らないが、スルガ銀行では通る」とも言われていましたが、ほとんど全部の案件に対して、審査とは名ばかりの無節操な融資が行われていたことになります。
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審査部は何をしていたのか?
そもそも融資の際の案件には、融資条件とした8%前後の高利回りを満たすため、家賃が高すぎるなど、無謀な収支計画になっていました。
書類を調べてそれらがわからなかったのかというと、それも、前から言われている通り、目先の収益を優先した営業部門の幹部が審査部門を恫喝(どうかつ)するなどし、不正を黙認して融資するよう仕向けていた、そのようなことがまかり通っていたそうです。
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相場より5割増しの物件?
また今回の記事の中で気になったのは、次の箇所です。
物件の多くは業者らが数千万円単位の利益を得るため、相場より5割以上高く売られた。多額の融資を引き出すため、契約書上の価格はさらに水増しされた。
相場より5割高いということになれば、運営が破綻したシェアハウスをオーナーが売ったとしても、到底ローンを清算には満たないことになります。
また、通帳の預金高の改ざんが示す通り、自己資金がゼロのオーナーもおり、その場合、自己資金でのローン返済も難しいでしょう。
銀行の審査の必要性
銀行が審査をするのは、オーナーのためではなくて、銀行自らの利益のためであるのは間違いありませんが、もし、これらの審査がちゃんと行われていれば、多くのオーナーの苦境も避けられたと思われます。
「オーナーの自己責任」という意見はこれまでも聞かれましたが、もちろん、それだけの問題ではありません。
銀行自体が成り立たなくなるような融資が行われていた、また、銀行が顧客の利益に無関心どころか、それに反する業務を行っていたということは、それとは別の問題なのです。
第三者委員会の調査の進み具合
問題を調べる第三者委員会(委員長=中村直人弁護士)は4月から立ち入り調査を続けていましたが、行内の電子データの分析や経営陣を含む関係者らへの聞き取りをほぼ済ませ、近く調査結果を公表するとしています。
上記の事実を元に、ずさんな融資を許した経営責任を追及することになりそうです。
おそらく、業務改善命令や業務停止命令などの行政処分が今後検討されていくことになるでしょう。