金融庁が26日に、2018事務年度(7月~19年6月)の金融行政方針を公表しました。
スルガ銀行の融資不正問題が発覚した不動産投資向け融資の監視、それと、最近話題になった仮想通貨交換業者への監視を強めるのが目的です。地方銀行も対象となります。
朝日新聞の報道を元にお伝えします。
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金融庁、アンケート調査へ
不動産投資向け融資では、地方銀行がアパートローンを拡大させているほか、スルガ銀行ではシェアハウス融資を増やすため、役員も関与した組織的な不正があったことが発覚している。
行政方針ではこうした問題を念頭に、各金融機関へのアンケートや検査で重点的に実態を調べるとした。融資時の審査体制や、融資の際に別のローン契約なども強いる「抱き合わせ」が行われていないかも調べる。
また、地方銀行の経営について、全体の過半数の54行が、貸し出しや手数料収入など「本業」で赤字だとし、うち52行は2期連続で赤字だとした。今後の経営戦略の実行に不安があるとして、適切なガバナンス(企業統治)体制の構築を求める。
地域金融機関の経営悪化は地域経済に大きな影響を与えるため、経営に問題がある際は早期の対応を求める。
金融庁の「地域生産性向上支援チーム」が各地域の実態を細かく把握し、その情報をもとに、地域金融機関トップに対し、地域に貢献できる事業の構築を直接求めていく。
今月20日に新たな不正流出が明らかになった仮想通貨業界については、これまでの検査で把握した問題点を踏まえ、今後の業者登録での審査を厳格化する。
市場の公正性を維持するため、上場企業のガバナンス強化も引き続き求める。
導入済みのスチュワードシップ・コード(機関投資家の行動規範)やコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の運用状況を確認。持ち合い株式の減少や、機関投資家の議決権行使結果の公表などが進んでいるかを検証していく。
役員報酬などの情報開示の充実も求めていく。
金融庁の新たな行政方針のポイント
・不動産融資の審査体制の実態を把握。融資と同時に別のローン契約や金融商品の販売を強いる不当な「抱き合わせ」がないか監視
・金融庁の特別チームが地場企業の悩みを把握し、地域金融機関との対話を強化して解決を促す
・金融とITを融合した「フィンテック」に対応した規制の見直しを検討
・仮想通貨交換業者の登録審査を厳格化
・投資信託や貯蓄性保険の運用実績の開示を推進
・企業の持ち合い株式や役員報酬に関する情報開示の充実へ関係政令を改正
・自然災害やサイバーリスクに対応する損保会社の引き受け態勢を点検
朝日新聞のニュースからは以上です。