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スルガ銀行岡野前光喜会長が特別背任罪を問われなかった理由

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スマートデイズ社運営の女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の投資者オーナーらに不正な融資をしたとして、金融庁に行政処分命令を下されたスルガ銀行が、昨年の12月27日、創業家の岡野光喜元会長ら旧経営陣を追加で提訴することとなりました。
しかし、当初は、岡野氏含めスルガ銀行の元役員らの一部も刑事責任の追及がされるといわれていました。それがなぜなくなってしまったのか。
毎日新聞のプレミア記事を元に詳しくお伝えします。

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岡野光喜元会長の刑事責任

当初は、岡野氏含めスルガ銀行の元役員らの一部も刑事責任の追及がされるといわれていました。

元東京地検検事の落合洋司氏は、スルガ銀行員らの刑事告発について、下のように語っていました。

第三者委が認定した不正行為だけでも、多くの行員が私文書偽造や詐欺、背任などの罪で刑事責任を問われる可能性がある。これから信用を回復していくには、まずは銀行が率先して責任追及する姿勢を示し、刑事告訴や告発にも踏みだすべきだ。スルガ銀が捜査に非協力的なようだと、構図が複雑なだけに事件化が難しくなるおそれがある。

役員に特別背任罪の疑い

刑事責任ということになればどんな罪になるのかというと、それには特別背任罪というものがあるそうです。

解説

特別背任罪とは
特別背任罪とは犯罪類型の一つである。背任罪の特別法として規定されたものである。組織の幹部など組織運営に重要な役割を果たしている者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は組織に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該組織に財産上の損害を加えたときに成立する。未遂も罰せられる。財産犯に分類される。

取締役の特別背任罪は会社法に規定されているそうで、会社に損害を与える目的で任務に背く行為をし、損害を与える行為をしたという時に責任を問われるものです。

10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、あるいはその両方が科せられるということですが、しかし、岡野光喜前会長には、これが認められませんでした。

故岡野喜之助副社長は背任罪に値しないのか

では、最初の第三者委員会の調査で、もっとも責任が重いとされた、副社長であり、実質的にスルガ銀行の経営者でもあった岡野光喜前会長の実弟、岡野喜之助氏の責任はどうかというと、第三委はそれを認めております。

岡野家のファミリー企業が保有株式の売却代金をスルガ銀行の借金の返済に回さず、別の借入先に返済した件がそうです。これは、明らかに意図的な行動であり、不正と認められました。

調査委員会も、最も特別背任の可能性が高いのは喜之助氏だと考えていました。
しかし、喜之助氏はすでに亡くなっており、喜之助氏に関する特別背任罪の疑いについては、調査委員会は次のように結論づけています。

「過去からの資金の流れの全容や資金使途、主観的な事情を聴取し解明することができず、刑事責任を認定することは困難である」

解説

調査委員会とは
正式名称は「取締役等責任調査委員会」であり、現旧取締役及び現旧執行役員から独立した弁護士及び当社の社外監査役(本年6月に新たに選任された2名)らで構成される。
シェアハウス関連融資など一連の問題について、現旧取締役(現旧執行役員含)において、その職務の執行につき善管注意義務違反等により当社に対する損害賠償責任を負うか否か等について、法的な側面から調査・検討を行う役割。

「調査には限界が」岡野ファミリー企業の調査の責任者

調査委員会のメンバーであり、ファミリー企業に関する調査の責任者を務めた片岡義広弁護士は記者会見で、次のように述べました。

「特別背任は目的犯なので、(違法性の認識という)主観的要件も問題になる。調査の限界があり、疑いは残るものの、それ以上の調査ができなかった」

つまり利益のために、これが違法だと知りながら行った、という認定は、その本人の供述を得ないと認められないということです。

既に亡くなってしまった人であり、その裏付けが取れないまま「背任罪」を問うことはできないし、仮に罪が認められたとしても、亡くなっていればその意味は薄いといえるでしょう。

岡野光喜前会長の特別背任罪

岡野前会長については、調査報告書は以下の通り。

「回付されてきた稟議(りんぎ)を承認したという限度で関与したのみであり、ファミリー企業の財務や資金繰りの状況について把握していたと認定するに足る根拠は見当たらなかった。資金がファミリー企業に流れていたことを認識していた疑いがないことはないが、明確に分担して喜之助氏に任せていた、ということなので、刑事責任を問うことは困難だろうと判断した。(片岡弁護士)

岡野前会長は「スルガ銀行で、主に対外活動を担当し、銀行の業務に関して喜之助氏にすべてを任せていた」とありますので、対外活動とは、外部とのつき合いや接待などに限られ、実質的な業務には関わっていなかったということです。

そして、スルガ銀行からファミリー企業への融資はもとより、「寄付」の形で融資の返済に充てていたことなどは知ってはいても、積極的に加担したということではないという意味合いです。

「明確に分担して」というのは、兄の立場でありながらも、口を挟むこともなかったのかという疑いはありますが、上記のように記されている以上、その通りであったのでしょう。

岡野前会長らが特別背任罪が問われなかった理由

特別背任罪が問われなかった理由は、何よりも当事者である岡野喜一郎氏が亡くなっていること、そして、違法性の認識は、喜一郎氏には既に問えず、岡野光喜会長には、違法性の認識どころか、業務には関わっていなかったということが、その二つが結論として挙げられます。

シェアハウス被害者弁護団の動き

シェアハウス被害者弁護団の方は、これよりも先に、5月に刑事告発に踏み切るとしていましたが、これはやはり個々の不動産業者とスルガ銀行役員であり、私文書偽造や変造の罪で刑事告発とされています。

また、被害者弁護団の目的は、あくまで、被害者の負担軽減が第一で、短期に決着をつけたい方針であり、それ以上の「罪を問う」に関しては、依頼主の利益とは一致しないものとなってしまうのでしょう。

 

いずれにしても、岡野一族が、刑事責任を問われる道はこれでなくなってしまったのです。

何とも歯がゆい結末ですが、岡野喜一郎氏が亡くなった時点で、不正なスキームの認識とそれを指示するものは居なくなってしまったということなのかもしれません。

しかし、その配下の人たちが、そのスキームを、岡野喜一郎氏の死後3年に渡って継承。散らばってしまった不正の種は増殖を続けていったのです。
それを止められる人がいなかったことが何とも残念です。

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