大和ハウスのアパートと戸建てに建築基準法違反に抵触する恐れのある施工不良が2078棟が見つかりました。
2016年の内部通報によって発覚し、2018年の調査までに1年以上かかったのはなぜなのか、建物の施工不備の内容と共にお知らせします。
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大和ハウス、2000棟超の建築基準法違反
大和ハウスに伝えられている今回の問題は、2000年~2013年に販売した全国30都道府県の2078棟の戸建て住宅と賃貸アパートにおいて、施工不良があったというものです。
鋼材などを工場で加工して現場で組み立てるプレハブ住宅は、国から設計方法や部材の認定をあらかじめ受け、本来ならば、1棟ごとに必要な手続きを簡略にできるそうです。
しかし、今回問題となった物件は設計段階から、認定を受けたものとは違う部材を使っていたということで、管理体制の甘さが問われています。
大和ハウスとレオパレスの業種の違い
レオパレスが賃貸アパートに施工不良があったことが発覚したばかりで、一見同じように思えますが、レオパレスは賃貸アパートを建設して運営する会社であるのに対して、大和ハウスは建築会社という違いがあります
戸建て住宅も作っているので、住宅メーカーの一つのように思われていますが、戸建てや賃貸アパートだけでなく、商業施設や店舗、ホームセンターやホテル、震災の際の仮設住宅や、ショッピングモールなどにも携わっているところです。
日経新聞では、大和ハウスを「60年前にプレハブ住宅を事業化した業界のパイオニア」としています。そこに施工の不備が出たということは、レオパレ施工不良とは別な意味で、大きな影響が出そうです。
大和ハウス社内の内部通報で発覚
ダイワハウスにある内部通報のシステムがあり、今回の施工の不備に関しては、2016年にダイワハウスのスタッフから違反行為を伝えた内部通報によってわかったということです。
レオパレスと違って全棟調査済み
ダイワハウスは対策部隊を2018年7月に設置、現在までに、戸建て住宅と賃貸合わせて22万棟の調査を行いました。
その調査の結果、2078棟の建築基準不適合の建物があるということがわかったということです。
土田専務執行役員は12日、「22万棟と多く、すぐに調査するという判断ができなかった」と説明。
内部通報から、1年半経ってからの調査で、対応の遅れに批判はあるわけですが、現時点では、レオパレス21の場合のように、まだ調査自体が進んでいないといった内容ではありません。
アパート改修費用に1億円の見込み
そのため、費用についてもレオパレスの場合のように、これから施工不良数が増えるか、あるいは費用がいくらになるかも予想できないという状況とは違ったものとなっています。
大和ハウスは、賃貸アパート 73 棟についての改修工事等の費用については、約 1 億円と試算を公表しています。
さらに、安全性に問題はないものの、基礎の仕様に不備があった戸建住宅・賃貸共同住宅についての改修工事等の費用については、引き続き調査を行い、必要があれば対応するとしています。
大和ハウスの施工不備の原因
そもそも、今回なぜ、このような施工不良が出てしまったのか。
大和ハウス側の説明では、「設計者が仕様を十分確認せずに設計していたのが原因」としています。
施工不良の内容についての説明
https://www.daiwahouse.co.jp/info/20190412.html
認定と異なる賃貸アパートの柱部分については、限られた土地に少しでも広い建物を建てるために発案されたといいます。
社内の勉強会で手法が共有され、一時は認定取得を検討していたが、最終的に認定を取得しなかったので、認定がされないままとなり、国の認定を受けないままの施工となってしまった、ということらしいです。
ダイワハウス側の説明
以下は、その箇所についての、ダイワハウス側の説明です。
型式適合認定を受けている場合、建築確認時の審査が簡略化されますが、建築確認申請を行う建物の設計内容は型式適合認定を受けた内容に合致するものでなくてはなりません。
しかしながら今回、上記の賃貸共同住宅 200 棟のうち 188 棟は、設計者が、型式適合認定を受けた仕様を十分確認せず設計し、型式適合認定と異なる仕様で施工してしまいました。
そのため、本来は特定行政庁の建築主事に対して一般的な建築確認申請の手続きを経て、建物を施工しなければなりませんが、弊社は型式適合認定を受けた仕様と誤認したうえ、一般的に用いられる建築確認申請の手続きを省略して建物を施工してしまいました。
下の図も含めて、大和ハウスのHPで説明の文書があります。誰でも見られます。
https://www.daiwahouse.com/about/release/house/pdf/release_20190412.pdf
上記についてインスペクターの意見
これについて、さくら事務所のプロのインスペクターさんが次のように意見を述べています。
さくら事務所は、不動産コンサルタント、長嶋修さんの経営する会社です。
今回の大和ハウスの件で何が怖いかって、プロが不適切な建物見たとしても見抜けない可能性が高いこと。レオパの界壁無かったよ問題は見りゃわかるんだけど。
中の人も悪意なく、むしろ善意で「こっちの方が使いやすくね?見た目よくね?」と思っていた可能性もありそう。 pic.twitter.com/JjN6cdnEGh— 田村 啓 インスペクター さくら事務所 (@inspectorKT) 2019年4月12日
「プロが不適切な建物見たとしても見抜けない」というのは、実際どの程度なのか。あるいは、この場合は認定を受けようとしたら、受けられたものなのでしょうか。
その場合は、単に順序が逆ということになりそうですが、その場合でも、安全性への疑問が残ってしまいます。
また、それは「大和ハウス」ブランドへの他の全ての建物にも波及してしまうでしょう。いわゆる風評被害というものです。大和ハウスは大きな会社ですが、ブランドイメージの低下は避けられないかもしれません。
しかし、大和ハウスで建てた家やアパートだからといって、すぐにも資産価値が低下するようなことはないと思います。私の身内でもダイワハウスに住んでいた人もいますし、同じメーカーで建てたからといって、がっかりしないでいただきたいです。
基礎部分の不備については、今後第三者の調査が行われるということで、引き続き調査結果の公表が待たれます。