「フラット35」を不動産投資に使う不正が見つかった問題で、ローンを扱う住宅金融支援機構がこの後本格的な調査に乗り出すことが公表されました。
融資件数1位のアルヒは、いまだ不正は見つかっていないとコメントしています。
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フラット35不正、機構が本格調査へ
住宅ローン「フラット35」が不動産投資に不正利用された問題で、ローンを扱う住宅金融支援機構は7日、実態を本格調査する方針を固めました。
フラット35は1%ほどの固定金利で、最長35年間借りられる居住用住宅融資。
住宅金融支援機構の証券化支援事業をもとに、取り扱い先の民間金融機関と共同で提供する長期固定金利の住宅ローン商品の名称。旧名称の金融公庫。
機構は国土交通省所管の独立行政法人で、理事長は国交省OB。
フラット35の不正とは
フラット35の正式名称は「住宅金融支援機構」、旧住宅金融公庫のことで、家を買う時に1%程度の低い固定低金利で最長35年借りられるというものです。
ただし、同じ家を買うのであっても、買った人が居住するという目的で利用されることを前提としており、投資用の住宅への利用は禁止されています。
フラット35を投資用に違法利用
今回の不正に関しては、違法であることを承知しながら、不動産販売会社の社員が顧客や、「仲間」と呼ぶ業者と共に、投資用の中古マンションを居住用と偽って、低金利の住宅ローンであるフラット35を使って金融機関から融資を引き出したというものです。
業界では「なんちゃって」という隠語で呼ばれており、あるいは、これまでも同様の方法で融資を受けた投資物件が埋もれているケースもあるかもわかりません。
住宅金融支援機構が住宅ローン全融資を調査
そこで、フラット35を扱う「住宅金融支援機構」が、本格的な調査に乗り出すこととなりましした。
今回、すでに通報を受けた不正分だけでなく、全融資から投資の疑いがあるものを抜き出し、居住実態や利用目的を今月から調べるということです。
フラット不正の摘発の調査項目
調査対象として挙がっている項目は、以下の3点です。
・ローンを借りている債務者が居住しているかどうかの事実関係
・投資目的の有無
・実際の住宅購入価格
フラット35 これまでの利用状況
「2017年度で、1件あたり平均3千万円ほどが年9万件弱貸し出されている」ということです。
膨大な利用数ですので、調査となるとある程度の日数が予想されます。また、今後の融資の審査も、同様の不正を防ぐために一層厳しくなると思われます。
投資利用の判明時は一括返済
機構はこれまで不正利用を防ぐ対策を進めてきておりましたが、今回のように悪質なものが埋もれている可能性があるということがわかりました。
過去の不正事例などをもとに、疑わしい融資案件の抽出にも新たに手を広げ、不正が確認された場合は、一括で返済を求めるとのことです。
石井国交相がコメント
石井啓一国交相は7日の会見で、機構に実態解明を指示したと明らかにし、
「本来の目的を逸脱し、不動産投資目的に利用されていたとすれば遺憾。再発防止に向けて指導していく」
と述べました。
フラット35は年300億円弱の補助金を国から受け、一部ローンの金利引き下げの財源などに充てているということです。
融資件数1位アルヒも調査開始
フラット35は、住宅ローン専門会社が力を入れており、融資件数でシェア(占有率)1位のアルヒ(東京都)は、19年初めから調査に着手。
現時点では同社が主体となって関与する案件で不正は見つかっていないといいます。
今後の調査では、アルヒが住宅金融支援機構と連携して不正な融資の申請を見逃した事例がないかどうかを調べる方針です。
アルヒのコメント
「過去の融資で不正な申請が持ち込まれ、意図せず実行した可能性について機構と調査を実施している」
アルヒは2019年春から審査を厳しく
アルヒは2019年春から、新規に案件を仲介する不動産会社に対して業者と直接面談して顧客を管理する体制などを確認するようにしたほか、同年初頭からフラット35を手掛ける住宅金融支援機構と組んで融資の調査に乗り出した。
アルヒは、住宅金融支援機構と民間企業が提携して提供するフラット35を通じた住宅ローン融資では最大手。不正な融資申請がないかを改めて調べるほか、さらに対策をする必要があると判断した。
新規に取引をする不動産会社との面談では、企業の運営実態を営業部門が直接確認。投資用不動産と住宅ローンの顧客を分けられる体制が整っているかどうかを調べる。情報共有なども強化しているという。
―日経新聞より
アルヒの株価2割下落
アルヒ社の7日の株価は10連休前の4月26日の終値と比べ、2割近く下落しました。
フラット35不正関連の本日のニュースは以上です。
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