母が公正証書遺言を書くにあたって、2つの司法書士事務所を訪ねました。
一つは私がネットで探したところ、既に遺言書に関しての説明がサイトにあり、ここは大変良く応対してくださいました。
しかし、もうひとつ別な司法書士事務所は、専門家でありながら、役に立たなかったどころか、有害と言えるようなところでした。この記事では、土地の相談をするときに、遠回りにならないようにするにはどうしたらいいかをお伝えしておきます。
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土地の相続と遺言について司法書士に相談
父が既に亡くなっているうちの場合は、母が亡くなったら、子どもは弟と私の弟二人。ですが、弟がこちらの連絡には電話も手紙もまったく応答しない、いわゆる音信不通の状態です。
なので、「公正証書遺言を作りたい」という件で、母が最寄りの司法書士を訪ねて、事情を説明しました。
遺言書は司法書士が書いたことを書き写す?
ところが、司法書士は、驚いたことに、「私が、文面を作りますから、あなたがそれを写して、それを手元に持っていなさい」と言ったそうです。
それでは、せっかく司法書士を訪ねているのに自筆遺言書ということになってしまいます。わざわざ司法書士を訪ねている意味がありません。というより、そういう司法書士さんがいることにも驚くほかありませんでした。
相続に自筆遺言書が役に立たない場合
自筆遺言書は、うちのように音信不通の相続人がいる場合には、何の役にも立ちません。たとえ遺言書があっても、それをもって相続の手続きを進めることはできないのです。
自筆遺言書は、それを裁判所に持って行って、検認という手続きを取らなくてはならず、検認を行う日時の知らせは音信不通の相続人にも連絡が行きます。
相手が来なくても、通常通り行われますが、相手に遺言書の内容は伝わりません。
その上で相続人全員の同意がなければ、預貯金は下せないし、不動産の名義も書き換えることはできないのです。
検認は遺言書の有効性を証明しない
さらに、検認は、相続人にその遺言の内容通りするよう促すようなものではまったくなく、その遺言書が有効かどうかを証明するものでもないのです。
あくまで、遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための目的で行われるものです。
自筆遺言書は通常ならあるいは、相続人同士の話し合いの糸口にはなるかもしれませんが、連絡の取れない相続人であれば、遺言書の内容を知らせようもない以上、話を進めること自体が不可能です。
上記の場合、専門職の司法書士の人が、なぜそれがわからなかったのかは不明ですが、母がその勧めに従っていれば、料金を支払って役に立たない遺言書が手元に残ったことでしょう。
相続や土地の売却についてはよく知る人に相談しよう
さらにもうひとつ困った例は、母が相談した知人の例です。
土地の売却と相続について「弁護士に相談したら」
さらに困ったのは、母が、土地売却と相続の件を近隣の友人や知人に話すと、間違った返答が返ってくるばかりだったことです。
相続人同士で連絡が取れない、そのため相続登記ができず、土地が売れない、というと、安易に「弁護士に相談するといいよ」という助言が返ってくるわけなのですが、弁護士は相続人同士の交渉はしません。
業務として文書を送るなどということはしますし、時には電話もするかもしれませんが、必要事項の伝達をするだけのことです。よく勘違いしがちですが、そのような交渉が仕事の内容ではないのです。弁護士はあくまで法律的なサポートです。
相続した土地の分割の場合に弁護士が請け負うのは「共有物分割請求」という裁判になります。よく「弁護士は何もしてくれなかった」ということを聞くわけですが、それは依頼の内容や、期待することが間違っていることが多いです。
田舎の土地の売却なのに「土地なら売れるよ」
母は比較的東京の近くに住んでいて、友人の一人は23区内に家を持っていました。それを売りに出したら、それほど待たずとも、ほどなく売れたわけです。
それを聞いて、うちが接道が私道の件で娘が困っていると母が漏らすと
「私道のところは全国にたくさんある。売れるからだいじょうぶ」
と事もなげに言うわけですが、それはあくまで東京のような都市部での話です。地方はまず土地が売れないということが前提です。
そして山の上のような広さのあるところを切り開いて作った大型分譲地の団地内に、私道があるはずはないのです。
地域の不動産状況が把握できていない素人のいうことを聞くのが問題なのですが、母がそれをいちいち私に伝えてくるので、たいへん困りました。
「売れるから大丈夫よ」の励ましもx
友人の場合は励ますつもりもあって、「売れるから大丈夫よ」と善意で言うこともあります。そういったからと言って、その人が買ってくれるわけではありません。
相談した方は、土地が売れるかどうか不安であり、そう思うと不安が解消されるので自分の都合の良いように考えようとします。
地方においては、売れるか売れないかなどは、専門家だろうが、誰にもわかりません。「まず売れない」が鉄則です。冷静になって考えましょう。
土地の相続の相談は詳しい専門家に
もう一つだいじなことは、専門家であっても、信頼できる人を探すことです。
今は多くの弁護士事務所も司法書士もホームページを持っています。やみくもに出かけて行くより自分のケースに適した相手、その案件に特化した弁護士や司法書士を選んで、そこに相談に行くのが最短の道です。
近くだからという理由で安易に選ばない。また弁護士にしても司法書士にしても、扱っている得意な分野が違うこともあります。
私の場合も東京まで往復4時間をかけて行きました。まったく知らない町なので、道を尋ね尋ねして行きました。
その弁護士さんは1時間以上相談にかけてくださり、そして帰るときは玄関で見送ってくださいました。
そういう弁護士さんなら、訪ねる甲斐も十分あります。だいじょうぶだと確信できたら、遠くても労を惜しまず出かけてみましょう。