4月の末に夫の父が92歳で亡くなりました。数年前から施設に入っていたこともあり、葬儀の方法については、家族葬にするということで、両親が決めていました。
ところが、葬儀が済み、納骨も済ませて、近隣と親類に連絡したあと、母が誰も弔問に訪れないと言って、驚いて嘆きながら電話をかけて来るという事態になりました。
この点もあらかじめ母によく伝えておけばよかったと思います。
一体、家族葬の時というのは、弔問や香典を期待するべきなのかどうかを考えてみます。
実家の家族葬の流れ
家族構成について先に記しますと、亡くなった父は92歳、母は82歳。
父はお店をしていたため、商店街の一角に母が今も一人で住んでいます。
生前の話し合いで新聞の訃報欄にも掲載は依頼しない、所にも親類にも知らせないということで、話が決まっていたようです。
なお、夫は次男、兄には知らせたものの、あいにく九州の病院に脚部の骨折で、遠距離の移動はできない状態でした。
亡くなった後にしたこと
4月31日に父が亡くなり、まずはかねてより探しておいた家族葬の事務所に連絡をしました。亡くなったのは病院でしたので、そこからまず遺体の搬送を依頼。
家屋が店舗で住居が二階にあるため、二階にあげられないため、遺体は葬儀社の建物内の安置所に置かせてもらうということになりました。
したがっていわゆるお通夜というものもありませんでした。
兄の家族が来るのも断る
問題はそこからです。
九州で入院中の兄に連絡。兄の家は東京都内にあります。そこで、都内の家に住んでいる、兄嫁と子供たちが実家に来るべきなのですが、母がそれを「次男が忙しいし、そちらに子供もいるので、来なくてもいい」という理由で断ってしまいました。
ある意味、物わかりの良い姑なのかもしれませんが、私からすると不思議な話です。
なお、姑とお嫁さんと仲が悪いというようなことはありません。孫のことも両親とも可愛がっていました。
なので、お通夜はせずにそのまま過ぎて、どこにも知らせませんので弔問客もありませんでした。
火葬の参列は私たち弟夫婦のみ
2日後に火葬のみを火葬場に行って済ませましたが、来たのは母と夫と私と、夫の息子のみの4名でした。
兄嫁の両親が参列したいと言ったものの、兄嫁が来ないわけですから、それも断ることになりました。
葬儀に代わる灰葬法要で顔合わせ
そのあとで、墓を契約。それもなぜかわからないのですが、すぐにお骨を寺に置いてきたいというのです。そして、お骨を預けに行った日に、葬儀に代わる灰葬法要を行いました。
その頃になると、治った兄が東京に帰宅したので、参加したのは、兄夫婦と3人の子どものうち1人だけ。母と私たち夫婦のみでした。
つまり父が亡くなって2週間も過ぎてから、初めて顔合わせをしたというわけなのです。
そして、5月の12日、亡くなってから一月と2週間後に、契約を済ませた新しい墓に納骨ということになりました。
この時は、兄嫁の両親が当家ではない身内から、お客さんといえばお客として参列してくださいました。
近所も親戚も通知は2か月後
それが、すべて終わってから、母は父の兄弟とその子ども、母の兄弟とに亡くなったことを連絡したようです。近隣には、町内に配る回覧板を制作して持参。その時点では、亡くなってからやく2か月近く過ぎていたわけです。
そしては、母は、弔問客のためにお菓子を買って、きっと忙しくなるであろうと待機をしていました。ところが誰も来なかったといって、電話がかかってきたのです。
「誰それさんも誰それさんも、あんなに仲良くして、身内にの誰それにも、いろいろ良くしてあげたのに」ということなのです。
通常の葬儀の決まり
家族葬の場合は、弔問や香典はどう考えたらいいのかということですが、葬儀というのは、そもそも、日時を定めなければ、皆がてんで勝手にばらばらに来ることになり、数日は家にいてそれを待つようになってしまいます。
さらに、香典を持ってきてくれた方に、お礼やお茶を差し上げようにも、ひとりずつ50名が来るとなったら、接待が大変なことになってしまいます。
お通夜や葬儀というのは、葬儀を出す方もきちんと身なりや支度を整えて、来てくださった人のために飲食のおもてなしや、お返しなどの用意をして、そのように待っているから、何時に来てくださいということなのです。
来る方も、他にどのような用事があろうとも、まず時間通りに駆けつけることになっています。
まだ新しい家族葬
家族葬にするということは、家族以外にそのような対外的なやり取りをしないという意思表明でもあるわけですから、弔問や香典は期待できないと思います。
というより、香典が欲しいくらいなら通常の葬儀にすればいいのです。葬儀には呼ばないが、後々家の方に香典だけ届けてくれと言うわけにはいきませんし、そう言われて来る人もいないでしょう。
それでもわざわざ弔問に家を訪れるという場合は、よほどの付き合いのあった相手に限られると思います。親しい身内の場合は亡くなったらすぐ知らせるのが礼儀です。
今回の母の場合は、葬式だといっても、誰は来なくてよい、誰は来なくてはならないと、ひとり勝手に考えたようですが、葬儀に関しては、まずお通夜に行く、それから葬儀に行く、そのどちらかに香典を持参するというのが決まっています。
当家だけは、そうでないやり方をするので、別な日に来てくれと言っても無理があります。そして、人が亡くなったという知らせを受けた時には、誰であれ行くべきなのであって、そこを一度お断りした相手が後で来るなどということは考えられません。
気を悪くした身内
特に父の兄弟には亡くなったことを知らせたのも、1か月以上経ってからということなので、「なぜ知らせなかったのか」と言われたそうです。
当家の場合は、要するに兄弟仲が悪かったということなので、通常ならそのようなことはあり得ないと思います。
しかし、一般的に言っても、家族葬だからといって、知らせないでいることが儀礼を欠く場合もありそうで、ここは注意をするべきところだと思います。
家族葬とはいっても、誰にも知らせないでいいということではありません。それと便宜上「家族葬」と呼ばれていますが、一家族に限ったことではなく、絶縁しているのでない限り、血縁の身内には知らせるのが普通です。
その上で、家族葬のメリットデメリットを書き出してみますと
家族葬のメリット
・故人とゆっくりお別れができる
・葬儀の日に外部との対応が要らない
家族葬のデメリット
・自宅で弔問の対応が必要になることもある
・身内に故人の遺志で家族葬にすると事前に説明する必要がある
まとめ
家族葬を選ぶという時には、通常の葬儀とどこが違うのかをよく知った上で選ぶ方がいいと思います。
私は夫の実家のことなので口出しはしませんが、火葬の時に、参列したのが自分を含めてたった4人というのは、手間は少ないとはいえ、とてもさびしいものでした。
両親は、もう自分たちが高齢なので人の手を煩わせたくないと思ったのかもしれませんが、そういうことではありません。
亡くなったときくらい人に来てもらったとしても罰は当たるものではないと思います。そもそも、後から知らせるくらいなら、父の兄弟には来てもらうべきではなかったでしょうか。
兄夫婦は介護にまったく参加もしませんでしたが、せめて、火葬のときには、嫁と孫には立ち会って欲しかったと思います。
私自身は、夫とは入籍しておらず、名前が違うその立場で5年間、父のために出来ることはやったので思い残すことはありません。
灰葬法要の時には、父を思い出して涙ぐんでいるのは、血縁ではない私一人だけだったことも思い出します。まだまだ長生きしてもらいたかったと思います。