スマートデイズ社運営の女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」投資問題で、融資を実行したスルガ銀行の調査が進んでいます。
朝日新聞紙上では、昨日に続いてさらにスルガ銀行員の関与を示すLINEのやり取りが公表されました。
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不動産業者とスルガ銀行員とのLINEやりとり
そもそもメールやLINEのやり取りに関しては、「メールなどで字に残す行員はマヌケだ」(元スルガ銀行員)と言われる通り、消されてしまっている可能性も高く、証拠が残されるケースはあまりないとも言われています。
朝日新聞では、かねてより独自の取材を続けており、今回複数の不動産業者と行員が交わしたメールやLINEのやり取り1千件を越える分析を行いました。
そして、昨日の報道では、下の2通りの例が新聞に掲載されました。
業者「先ほど、お聞きした数字でいじると数字がズレます。レントロール(家賃収入表)を2パターン送るのでご確認お願いします。あえて2回に分けてメール送信します」
行員「明日確認します」
業者「明日午前中にカーテン行きます。終わり次第連絡するので、現地調査入れてもらっていいですか?」
行員「了解です」
さらなる新しい証拠
LINEでの打ち合わせの一方、業者からは首都圏のスルガ銀行の2支店の行員に対し、メールでも複数種類の通帳コピーや給与明細、確定申告書が送られたといいます。
そして、今日はさらに新しいLINEのやり取りも掲載されました。
投資者のボーナスが増えたように書類を改ざん
中古1棟マンション投資の不動産業者が、スルガ銀行員と行ったとされるLINEのやりとりです。
行員:「突っ込まれる可能性がある」(同程度の額のほうが)「見栄えが良い」
業者:「作りかえます?」
行員:「ですね」
行員:「それか月を逆にしても良い」
業者はその後、支給月を入れ替えてボーナスが増えたように改ざんした明細をメールで送信。ボーナス減では審査に通りにくいため、行員が改ざんを指示したと見られています。
上のやり取りは、改ざんへの指示がこれまで以上にはっきりと行われています。
氷山の一角?
上に「メールなどで字に残す行員はマヌケだ」と行員自身が語る通り、証拠となるようなものは廃棄されている恐れもあります。
第三者委員会の調査も行内資料や行員への聴取だけに頼ると、証拠をつかめず不正の実態にたどり着けないで終わるかもしれません。
業者や物件オーナーの協力も得て、問題を多角的に検証する必要があるというのが、朝日新聞の主張です。
つまり、銀行の「外」に残った不動産業者が提供する「証拠」が今回の提示されたLINEのやり取りなどです。
他の不動産投資にも水増しも
最初は問題が明らかになったのは、シェアハウスの件でした。
しかし、これは中古一棟マンションであり、貯蓄や年収を水増しして多額の融資を引き出す不正は、スルガ銀行の他の不動産投資向け融資全体に広がる可能性もあると見られます。
スルガ銀行引当金203億積み増し訂正
また昨日の報道では、スルガ銀行が決算を訂正。貸し倒れ引当金を203億円も積み増すということになりました。
シェアハウス融資で不正が発覚したスルガ銀行(静岡県沼津市)は6日、先月15日に公表済みの2018年3月期決算を訂正し、純利益は前回公表の210億円から3分の1の69億円に激減した。一連の不正で不動産投資向け融資全般で焦げ付きのリスクが高まり、貸し倒れ引当金を203億円も積み増した。決算発表から1カ月も経たないうちに訂正するのは異例だ。
まとめ
事件の一連の報道で、朝日新聞の取材にはずいぶんと助けられました。同紙の引き続きの報道を期待しています。