シェアハウス投資問題で、投資者オーナに融資を行っていたスルガ銀行に第三委員会の調査が進行中ですが、スルガ銀行が資料開示の求めに応じない例があるとわかり、真相解明に非協力的であることが指摘されています。
スポンサーリンク
オーナーが融資資料の開示を要求
スルガ銀をめぐっては、スマートデイズ運営の女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の購入資金として融資をしたスルガ銀行で、融資を審査する際の提出書類に投資者であるオーナーらの貯蓄や年収を水増ししていたことが今年2月にわかりました。
4月には中古1棟マンション投資でも同様の不正が明らかになり、借金を返せないオーナーがますます増えることとなりました。
オーナーの一部はスマートデイズ社を集団提訴。また提訴に加わっていないオーナーも一連の報道を受け、自分の融資資料が改ざんされていないか確かめるため、オーナーが融資資料の開示を求めるケースが増えました。
改ざんされたかを知りたいオーナーも
多くのオーナーは預金通帳などの融資資料を不動産業者に預けて手続きを任せ、実際に審査で使われた資料は見ていません。
そのため、問題が発覚したのも返済に窮したオーナーが猶予を求めるなどの目的で銀行を訪れて初めて判明したのです。
他にも融資を受けたオーナーが、自分の書類はどうなっていたのかを知りたい、あるいは改ざんされていたのではないか確認したいという要求は当然と思われます。
スルガ銀「できなくなった」6月以降は開示せず
ところが6月下旬以降、複数のオーナーがスルガ銀の担当者から資料開示について「できなくなった」と通告されました。
同行関係者によると、「無用なトラブルを避けるため」だとして、第三者委調査が終わるまで資料開示しないよう、行内で指示が出たのだということです。
訴訟に使用われるのを警戒か
今年初めまではオーナーの求めに応じて資料が開示され、不正発覚のきっかけになったと言いますが、改ざん資料を開示した岡山県のオーナーからは、大阪地裁に賠償請求訴訟を起こされたことも報道されました。
これについてはスルガ銀行は、「詐欺師が被害者に対し詐欺に気づかないのが悪いと開きなおるようなもの」と主張、銀行が被害者との立場を強調しており、今後同様のケースが続出することを懸念したためとも思われます。
裁判はあくまで個々のケースであり、またすべてのオーナーが同じ行動をとるとも言えませんが、一括して融資資料を開示しなければ、既に確認したもの以外、今後、オーナーが改ざんの有無を確かめることはできなくなります。
開示の拒否が続くようなら、この方向から不正を追及するのは難しくなるでしょう。
携帯の履歴を削除する行員
一方、第三者委調査を受ける行員が、事前に携帯端末の履歴を削除した例があることもわかりました。
以前から朝日新聞が取材及び懸念していたことですが、メールの記録はもとより残っておらず、携帯のメール、それとLINEでも業者とのやり取りがあったことが判明しています。
もちろん、自分の使用する端末の履歴は容易に削除することができますし、ラインのアカウントも削除が可能です。
おそらく既に消されたものも含め、携帯を使ってどのようなやり取りが行われていたのかの、把握は難しいとも予想されます。
スルガ銀は取材に「資料開示などの対応は今も検討中だ」「不正を隠そうとする事実はなく、通信端末の履歴削除は行わないよう通達した」と回答しているそうです。
まとめ
第三者委員会は8月末までに調査結果をまとめる見通しとなっていますが、第三委が入ろうが、端末等の証拠保全の難しさは元より言われていたことです。
一方、訴訟を恐れて業者側にも協力の動きがみられるとも言われており、加藤博太郎弁護士は「全容解明ができるよう、被告の方々には協力してもらいたい」とも呼び掛けています。
あるいは銀行側からでなく、業者側の方からの情報提供で今後の解明が進むことも期待できそうです。