スマートデイズ社運営の女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」が発端で、不正な融資の責任を問われているスルガ銀行、第三委員会の調査の公表に先立っての概要が報道されています。
昨日までで岡野光喜会長(73)のほか米山明広社長(52)と白井稔彦専務(64)の3名が辞任の見通しとなりました。
今日は、現在調査結果が待たれている第三委員会が、スルガ銀行員の不正関与を認めたというニュースです。
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不正に行員も関与 第三委認める
地方銀行のスルガ銀行(静岡県沼津市)のシェアハウス融資で多くの不正があった問題で、同行が設置した第三者委員会(委員長=中村直人弁護士)が、不正には不動産業者だけでなく行員も関与したと認定する方向となったことがわかりました。
米山社長5月会見時「わからない」
スルガ銀は5月の会見で、業者が不正を行ったということは認めましたが、行員の関与に関しては米山社長が「わからない」と解答。
その後は、第三者委に詳しい調査を任せていました。
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第三者委が電子データを分析
第三者委が行内の電子データなどを詳細に分析したところ、改ざんに多くの行員も関わっていたことが確認されたといいます。
第三者委は、行員が不正に加担しながら実現性の低い投資案件に積極融資した点を問題視しています。
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役員辞任の異例の事態
問題の責任を取り、創業家出身の岡野光喜会長兼CEO(最高経営責任者、73)、米山明広社長(52)と白井稔彦専務(64)は辞任する見通しです。
代表権を持つ役員3人がすべて辞任するというのは、異例の事態であり、辞任時期は第三者委の報告やその後の金融庁の処分を受けて検討されます。
また、他の行内の「責任者」に当たる社員を含め、これからも辞任は広がる見通しです。
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スルガ銀この先も財政悪化
スルガ銀の約2千億円のシェアハウス融資に対し、少なくとも400億円超の焦げ付きが懸念されています。
スルガ銀は中古1棟マンション投資向け融資でも行員が不正に関与した疑いがあり、不正が拡大すればさらに財務が悪化する可能性もあります。
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投資者オーナー シェアハウス被害の調査
一方で、スルガ銀行に融資を受けた、投資者オーナーについての調査の一部が被害者弁護団によって公開されました。
オーナーは30~50代の会社員
オーナー約180人へのアンケートによると、オーナーの大半は30~50代の会社員。
40代が37%と最多で、30代や50代と合わせると計96%。
職業は78%が会社員、医師や学校関係者、公務員も複数いたとされています。
物件と借入額は
物件はほぼすべてが東京都区内。
オーナーは全国にまたがり、都内在住が43%と最多でした。
購入棟数は半数以上が1棟のみでしたが、複数棟の購入も多くあり、2棟が58人(34%)、3棟も8人(5%)いた。借入額は1棟につき平均1・3億円にのぼるといいます。
物件の価格は1棟あたり7980万円
弁護団がシェアハウス運営会社スマートデイズ(東京)の内部資料を分析したところ、物件の土地の仕入れ値と建築費を合わせた平均価格は、1棟あたり7980万円だったといいます。
一方、平均融資額は1億3130万円で、利益を大幅に上乗せした高値で販売していたことになります。
既に指摘がされていたことですが、正確な数字が出たのは初めてです。
スルガ銀へのこれからの交渉は?
スルガ銀は返済が困難なオーナーの金利減額や一部返済猶予などをしているが、河合弘之弁護団長は、それでは不十分であると次のように批判。
「不動産を返して残債をチャラにする抜本解決をしないと、(オーナーは)銀行に生殺与奪の権利を握られたまま一生を過ごすことになる」
また、スルガ銀の創業家出身の岡野光喜会長兼CEO(最高経営責任者)は引責辞任する見込みだが、「謝罪は要求したが、辞任は要求していない。抜本解決してから辞めるべきだ」と話しています。
スルガ銀行に対しては、このあとの第三者委調査の公表と共に、業務改善命令や業務停止命令など厳しい行政処分が予想されています。
第三者の詳しい調査結果は、まもなく公表される見通しです。