スルガ銀行(静岡県沼津市)のシェアハウス投資向け融資で多数の不正があった問題で、同行の第三者委員会(委員長=中村直人弁護士)は7日、調査報告書を公表しました。
不正には営業担当の執行役員1人が関与し、過大な営業ノルマに追われた支店長の一部や多くの行員も関与したと認定。
辞任した創業家の岡野光喜会長兼CEOや米山明広社長他取締役ら経営陣の多くは「善管注意義務違反がある」とされましたが、その中でも、岡野会長は「最も重い経営責任がある」と認定されました。
以下は、朝日新聞の内容を要約してお伝えします。
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第三者委報告内容
不正には営業担当の執行役員1人が関与し、過大な営業ノルマに追われた支店長の一部や多くの行員も関与したと認定し、「組織的、主導的、長期間にわたる」とした。
組織的な不正の証拠
報告書では、不正は中古1棟マンションなども含め「収益不動産ローン全般に蔓延(まんえん)していた」。
スルガ銀の貸出金残高3・2兆円に 対し、不動産投資向け融資は計1・9兆円にのぼる。
その数字は、書類の改ざんと偽造によって叩き出されたものでした。
通帳の残高改ざん
もっとも多く確認されたのは、不動産融資で必要とされる自己資金がないのに、通帳などを偽造して貯蓄が多いように装う不正で、行員が水増しする額を指示したり、業者から複数の通帳コピーを受け取ったりしていた。
収入が足りない客の源泉徴収票などの改ざんも、行員が業者に依頼したり修正させたりしていた。
書類改ざんの数 確認は795軒
多くの行員が業者に改ざんの内容を具体的に指示するなど不正に加担していたとした。
2014年以降で少なくとも795件の改ざん資料があったが、全体の件数や金額は調査不可能だとしている。
フリーローンが融資の条件
さらに営業実績を上げるため、不動産融資を受ける客に、抱き合わせで金利が高いフリーローンを貸す行為も広がっていた。
定期預金や保険の契約についても抱き合わせで顧客に押しつけていたという。
業者からの賄賂はあったのか?
調査では「行員が業者から(不正の見返りに)現金を受け取っていた疑いがある」との情報もあり、疑わしい行員は14人いたが、証拠が不十分で、認定には至らなかったという。
第三者委の一問一答
――組織的な不正だと考えるか。
「組織的だと認定している。指揮命令系統を使って行われた行為は、組織的とみるべきだ。(ローンと他の金融商品をセットで売る)抱き合わせ販売は明らかに上から指示
syuuek があり、不正も黙認している。組織的な問題があると認定した」
――経営陣に責任があるのか。
「経営層は幾層にも情報の遮断があり、現場の情報が上がらない仕組みになっていた。無責任な営業推進体制を経営陣がつくってしまったのが一番の問題だ」
――不正の引き金はパワハラなのか。
「パワハラ行為を認定している。精神的な追い詰めで不正に走ることが一番多かった。企業風土を破壊した一番の要因だ」
――不正な融資は、不動産業者ではなく銀行が主導したのか。
「抱き合わせ販売は明らかに主導していた。ただ、書類の改ざんは銀行主導とは認定していない。元々、不動産業者がやっていた」
――経営陣の刑事責任は問えるか。
「取締役の委任義務違反は民事上の概念で刑事(上の責任)は関係ない。その(委任義務違反)行為で生じた損害があれば、弁償の責任は起きるということだ」
――銀行は、不正の枠組みづくりから関与していたのか。
「そういうケースはあったと思う」
――不正の規模は。
「融資金額ベースでは推計できない」
第三者委の一問一答は以上です。