積水ハウス(大阪市)が東京都品川区の土地取引をめぐり約55億円をだまし取られた事件、地主に成り済ます「地面師」詐欺を立案したのはカミンスカス操容疑者ではなく、別件で服役中の男とみられることが17日、捜査関係者らへの取材で分かりました。
2016年秋ごろに計画したといい、警視庁捜査2課は男が事件に関与した可能性が高いとみて、慎重に調べているといいます。
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カミンスカス操容疑者はフィリピンへ逃亡
当初は海外に逃亡しているカミンスカス操容疑者他が主導かとも思われていましたが、どうやらそうではないようです。
カミンスカス操容疑者は、積水ハウスへの実質の売却額55億のうち、「7億しか受け取らなかった」ことを不満だと述べていたという情報もあり、金額からいっても首謀者ではないようです。
主導者は杉並区の地面師事件の男か
現在警察が取り調べをしている男とは、2015年11月に、杉並区の土地取引をめぐる地面師事件の主犯だということです。
年齢は65歳。過去にも同様の地面師事件で服役したことのある、名うての地面師です。
杉並区の地面師事件とは
2015年の事件で被告らは東京都杉並区にある約800平方メートルの土地を勝手に売却。登記が却下された今回の五反田の旅館跡地の場合と違って、移転登記が完了まで進みましたが、半年後に土地所有者は移転登記を抹消され、所有権を取り戻しています。
地面師のやり方
杉並区の土地は駐車場であったようですが、詐欺の方法は今回の事件とほぼ同じやり方です。
地面師はグループを組む
主犯のAらは杉並区の土地に目を付けると、その売却に向けてチームを組みました。地面師は役が分かれるため、たとえば同じ顔の人が偽の売り主と不動産業者を同時に演じることはできません。そのため10人くらいでチームを組んで行動します。
一つの案件でタッグを組みますが、それまでは面識はなく、終わればそこでつながりは切れて、「足がつく」ということを避けるためまた同じグループで活動することはないようです。
なりすまし役は面接までして選ぶ
杉並区の事件では、地面師Aらは、神奈川県横浜市の不動産会社「K」社に、「土地を売却したい」と持ち掛け、土地の所有者と年齢や体形が似た「ニセの地主役」の男を探して、その役をさせました。
その時の、なりすまし役は、面接をしてまで、適した相手を選んだと言われています。今回の羽毛田容疑者と同じ役回りです。報酬は数百万円くらい、と他の役回りよりは低いのですが、かなり慎重に選ばれるようです。
女性は、話が上手で度胸もひつようなため、元芸者や接客業などの人が選ばれると言います。
パスポートなど偽造書類は中国で調達
そして、偽造された土地所有者名義の運転免許証、印鑑登録証、土地の権利証などを手渡した。パスポートについては、これは中国で台紙を売っているところがあり、そのルートで手に入るため、名前や住所を印字して写真を貼れば出来上がるというわけです。
日本のパスポートには約20種の偽変造防止技術が使用されており、見る角度によって色が変化するパール印刷、見る角度によって色や画像が変化するホログラム、
指紋隠しに指にマニュキアを
そしてニセ地主は土地所有者に成り済まし、J社を通じてK社に売却。契約の場には、ニセ地主も同席し、土地所有者のフリをして同席。
被告らは、書類に指紋を残さないよう指にマニキュアを塗って取引に臨んだというプロの仕事ぶりでした。
後日、K社から土地の購入代金である12億5000万円分の預金小切手が振り出され、この時は、書類に不備はなく、移転登記が成立したようです。
しかし、土地所有者は再々すぐに気づき、そこで、この案件がAらの詐欺であることが発覚したといいます。
積水ハウスの55億のうち30億円は誰が?
積水ハウスが、土地代金として支払った55億のうち、現金の大半は十数口座に分散送金された上で引き出されていました。
口座間ではなく現金でやり取りすることで、記録が残らないようにしたようです。
海外や営業実態が不透明な会社の口座もあり、警視庁が金の流れを調べています。
そのうち、カミンスカス容疑者が7億、他が8億受け取ったという情報も流れていますが、残りの30億円がどうなったのかが未だ不明だということです。
国外に出国したカミンスカス操容疑者には逮捕状が出ており、捕まるまでにそれほど日数はかからないのではないかと思われます