今朝の新聞に、所有者がわからなくなってしまっていた土地を、公共の目的で自治体やNPO法人が活用できるようになったというニュースが出ていました。
所有者不明土地に5年程度利用権 公益事業へ活用
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所有者不明土地に5年程度利用権
国土交通省は25日、所有者が不明のまま長期にわたり空き地となっている土地に関し、5年程度の利用権を設定し、農産物の直売所など公益性のある事業目的に使えるようにする新制度を導入する方針を明らかにした。
所有者不明の土地は、所有権が壁となり地方自治体などの第三者が利用するのは難しく、空き地の増加をもたらしているとされる。このため、新制度では、直売所やイベント広場、公園、保育所、駐車場といった公益目的に限って、利用権を設定し土地を有効活用できるようにする。
利用開始後、所有者が現れて明け渡しを求めた場合は、原状回復した上で返却することを原則とする。所有者の異議がなければ期間延長もできるとした。
テレビで見た感じだと、たとえば、公共の道路などにしようと思ったところに、所有者不明の土地が一箇所でもあったとします。
すると計画が頓挫、工事も進まなくなってしまう。そのような際にも、その土地を利用できるようにしようというものらしいです。
もし、不明だった所有者が現れて明け渡しを求めた場合は、原則返却ですが、見つからない場合は、そのまま利用できます。
もし見つかっても、所有者の同意がとれれば、そのまま使用できることになるでしょう。
そもそもなぜ所収者不明の土地ができてしまうのか
全国の土地は、登記の上管理されています。しかし、登記簿に名前は載っていても、相続登記がされていないと、所有者は既に死亡ということになった場合に、そのあとの所有者がわからないということになります。
ニュース内では登記が明治時代のものだった、という例もありました。そうなると、さか上っての確認は、相続人が増えて、たいへん困難なこととなります。
増える相続人
というのは、所有者に子どもや身内がいなければ、それで土地は国のものとなりますが、配偶者と子どもが居る場合は、配偶者と子どもが相続人になります。子ども3人のうち、たとえば一人が亡くなったとすると、亡くなった人の子どもが相続人となります。
そのようにして、孫、曾孫というように、代々相続権が受け継がれていくので、年月が経つほど、代替わりして相続人が増えてしまうのです。
それが代襲相続と言われるものです。
相続人が相続の開始以前に死亡・廃除・相続欠格により相続権を失った場合、その者の直系卑属が代わって相続すること
なので、祖父祖母の土地が、子ども3人で相続したとすると、曾孫の代には、相続人が数十人に増えてしまうというようなことが起こることになります。
守られる個人の権利も
売れない土地を持っている人にとっては、所有した土地を放棄できず、代々相続することになるのが悩ましい問題になってしまっています。
しかし逆に、それだけ土地の所有権や相続権が守られているとも言えるでしょう。
相続が生じたら速やかに相続登記をする、ということが、社会的にも、個人の資産を守るためにも必要なことになります。
そして、上の法案が、これから所有者不明のみならず、所有者のある空き地、空き家の問題の解決の窓口となっていくことを期待します。