前の記事に書いたコンパクトシティ構想の立地適正化計画、それについてもう少し知りたいと思い、参加団体及び当市の計画の内容等を調べてみました。
参加している市町村一覧
参加市町村は現在357団体、下のページに一覧があります。
自分の市町村が参加しているのがわかったら、各自治体のホームページにアクセスすると、概要がわかると思います。
私の住む市のホーム―ページを見てみたら、平成35年度までに整えるとのこと。今から6年後です。
当市の場合「目指すべき都市構造の実現に当たってはひじょうに長い期間を要することから、計画については、中・長期的な展望を見据えて策定することとします」なので、今すぐということではもちろんなさそうで、このあとの動向に注意していく必要はあります。
居住誘導区域はどの辺りに
概略の地図を見てみますと、県庁所在地の駅があって、その駅の周り、それからそれ以外の駅の周り。それが都市機能誘導区域、役所や病院、商店街のある範囲です。
その周りが居住誘導区域。人の住むところ。そのさらに外側が市街化区域、その外側が市街化調整区域という順番です。作り方はほぼ全国同じようになっています。
気になる今後の進展
今までもだいたい住宅地は駅の周りにあることが多いので、その周りの地価が高くなる、というのは、それほど極端なことではないかもしれません。
むしろ、計画が施行されてしまって、状況が一変してしまう心配というより、逆にそれほど進まない、変わらないのではないかという懸念もあります。
立地適正化計画に参加すると、国から補助金が出るので、それが目的で参加しているという自治体も多いのだそうです。
なので、居住誘導区域は、線引き区域39都市の内、5つの自治体、居住調整区域については66の内1つが制定したのみだそうです、これから徐々に決められていくとはいえ、うまくいくのかどうかも心配です。
立地適正化計画のできるまで
この立地適正化計画はどうやって作るのかというと、自治体がコンサルティング会社に依頼するのだとか。埼玉県毛呂山町で見積もりを取ったら、約1000万円だったのだそうです。
なので、計画をするということだけでも、その位元手がかかっているのです。当市の計画書を見ても、資料がとにかくすごい。人口分布や動向と予測、公共交通や用地の分布、地図にグラフに事細かに作られています。
外部業者に頼らず職員1人で作った毛呂山町
私の住む県は今年8月の「県都市計画セミナー」で、埼玉県毛呂山町の立地適正化計画を作成した職員を招いて講演を行ったとのことです。
埼玉県毛呂山町とはいったいどんなところなのか、見ていたらおもしろいエピソードに行き当たりました。
毛呂山町は、人口3.5万人の小さな町。計画書を外注で作成しようとしたら上記の通り高額だということで、町役場の職員がたった一人で普段の仕事が終わった後に、書類を作ったといいます。先行する大阪府箕輪市の計画書を見ていて「自力で作れるな」と思ったそうです。
結果、毛呂山町が関東甲信越地方第1号、全国町村第1号と全国的にも先駆けて計画作成を完成しました。
通常は外に依頼する計画書作成をたった一人でやろうとした理由はなんだったのか。
毛呂山町は埼玉県で空き家率ワースト19.8%、それに相対するする職員の「都市計画の担当者として何か街を改革するための貢献がしたかった」、という強いモチベーションでした。
「人口減少や税収減に耐えうる、持続可能な都市経営の実現」そして、賛否両論の議論となった「地価10%上昇」「空き家率15%」「人口密度65人/1h」という具体的な目標も立てられました。
「人口減少や税収減に耐えうる、持続可能な都市経営の実現」と読むと、町というのは、放っておいてできるものではなくて、配慮して整えていくものなのだと改めて知りました。
作成者の酒井優氏(埼玉県毛呂山町まちづくり整備課)を招いた当県も、ぜひ先行案を参考に、今後の計画を進めていってもらいたいと思います。