スマートデイズ社運営の女性専用シェアハウスの不正融資問題で、スルガ銀行に対する第三者委員会の調査報告が7日に終わりました。
スルガ銀行の岡野光喜会長は、問題が明らかになって以後、株主総会以外には一度も公の場に姿を見せておらず、被害者オーナーらが不信を一層強めることになりました。
一体なぜ、岡野会長は、一般的にも行われる謝罪会見のようなことを行わなかったのか、毎日新聞のプレミア記事を元に考えてみます。
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会見に岡野会長は姿を見せず
スルガ銀行の最初の会見は5月、今は辞任した米山明広社長(53)他が行いましたが、岡野会長は姿を見せませんでした。
その後、6月の定時株主総会で株主を前に岡野氏が初めて謝罪したが、経営責任については「第三者委員会の調査と金融庁の検査に協力し、結果を踏まえて厳しく考えたい」と述べただけにとどまりました。
さらに、第三者委員会の調査報告書公表後も、スルガ銀行は9月7日静岡県沼津市にある本店近くのホテルで記者会見を開きました。
会見の2時間前、報告書公表と同時に、岡野光喜会長(73)、米山明広社長(53)ら常務以上の取締役5人の引責辞任を発表されました。その日は、記者会見に集まった多数の報道関係者は、岡野会長が姿を現すと思い、怠りなく準備をしていたようですが、結局岡野会長は姿を現さず、「報道陣は肩透かしを食らった」といいます。
第三者委員会での調査報告では、岡野氏は「最も重い経営責任がある」と厳しく指摘されました。記者会見に、銀行を代表して謝罪し、事態の経緯を説明すべきだったと思われます。
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有国三知男社長の弁明
今は、そのような立場は新任の有国三知男社長が行っていますが、有国氏は責任を果たすべき岡野会長の「謝罪」を含めて、次のように話しています。
「岡野会長は本日付で銀行の一切の役職から退任した。報告書を受けて、会長、社長といった役付取締役5人全員が交代するなかで、新しいスルガ銀行の船出をするためには、新しい体制で臨んだほうがいいという判断だ。ご理解いただければと思う」
岡野会長の経歴他
岡野氏はスルガ銀行の創業者岡野喜太郎氏のひ孫にあたり、1945年生まれ、現在73歳です。
慶応幼稚舎から慶応大学経済学部、アメリカ留学後、1969年に富士銀行(現みずほ銀行)に入行。
ロンドン勤務などを経て、1975年にスルガ銀行に入行し、1985年に40歳の若さでスルガ銀行の社長に就任。
以後、2016年には会長となり、33年間トップに君臨していました。
自宅は都内の家賃150万円とも言われるマンションの最上階だそうです。
一方、静岡県沼津市には、敷地面積約220坪の屋敷が自宅となっていますが、岡野氏名義ではなくて、親族の関連会社の所有となっています。
岡野会長が会見を避ける理由
毎日新聞のプレミア記事においては、岡野会長が記者会見に姿を現さないのは、岡野一族の関連企業への多額な融資のため、記者会見の際にそれに対しての質問が出ることを避けているとのが理由だといいます。
取り上げたのは金融庁
では、「岡野一族の関連企業への多額な融資」という話はどこから出たのかというと、関連企業への融資に関しては、第三者委員会の報告書には記載がありません。
問題になったのは、第三者委員会の調査報告書が公表されるより前8月30日頃で、金融庁の立ち入り検査の方で判明したようです。
そのため、第三者委員会の公表の方が、約2週間の遅れを見せました。
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関連企業への融資は数百億か
創業家の一族の関係企業に融資した金額は、当初、数十億と報道されていました。
しかし、今の毎日新聞の記事では、その金額は1倍以上の、数百億円と言われています。
さらに、その企業の中には、実体のない企業があるということです。
では、その数百億円はどこに流れたのか、これについては現在も追及が続いていると思われます。
有国社長の返答は
記者会見では「創業家に近い企業に不適切な融資が行われていると報道されている」といった質問が出ましたが、有国社長は「それについては金融庁が調べているので回答を差し控える」と回答したということです。
不明金の行方と今後の処分は
多額というには、あまりにも膨大な不明金の中には、当然ながら岡野会長に私的に流用された分もあるとみられています。
こちらについては、ガバナンスの、経営責任のといった問題ではもやはありませんで、当事者としての関与ということになり、判明すれば刑事責任を問われる可能性もあります。
また、不明金については、判明時点から「全額の返済」と報道されていますので、数百億の行方が判明するよう、手を尽くしていただきたいです。
まとめ
被害者オーナーの方々にとっては、「謝罪」が期待されるところかもしれませんが、それ以上に不明金がどれだけあるのかの方が、今後に関わる重要な事項となるかもしれません。
まずは精査を進めていただきたく、引き続きの報道を待ちたいと思います。