西武信金が反社会的勢力団体チャイニーズドラゴンに融資を行い、支店長クラスの信金幹部が関係者に飲食接待を行っていたという問題の件で、金融庁から業務改善命令が下されました。
西武信金とチャイニーズドラゴンとの接点はどこにあったのか、また、それらの融資はどうなるのかをお伝えします。
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西武信金「信金の雄」の内実
西武信金は2010年6月に落合氏が理事長に就任して以降、業容を拡大。昨年の業績では、全国261信金中14位となって、前金融庁長官の森信親氏に”信金の雄”と褒めたたえられていました。
落合氏年収8000万円、メガバンクトップ並
西武信金トップの落合氏は、落合氏は金融庁金融審議会専門委員、経済財政諮問会議の政策コメンテーター委員会委員などの要職の名誉を得て、西武信金の職員の待遇についても「職員の給与を日本一にする」と宣言。
落合氏自身も年収8000万円前後とメガバンクトップ並みの報酬を手にしていたといいます。
しかし、スルガ銀行のシェアハウス問題をきっかけに、業者の改ざんが発覚。
“第二のスルガ銀行”ならまだよかったものの、それだけでなく、その調査中に反社会的勢力団体への融資が明らかになりました。
西武信金が融資を行ったのはチャイニーズドラゴン
西武信金が融資を行ったというのは、「チャイニーズドラゴン」だとジャパンビジネスプレスが伝えています。
中国残留孤児の2世や3世で構成され、関東連合とともに警視庁から準暴力団と認定されている反社会的勢力だということです。
反社会的勢力 幹部の妻と接触
西武信金の誰が、ドラゴンとどのような接点があったのかというと、落合前理事長と共に辞任をした、牛山淳一常勤理事の知り合いだという話が一つ。
知り合いとは、飲食店経営の女性、いわゆるスナックのママということですが、それがチャイニーズドラゴン幹部の妻だったというのです。
このスナックはチャイニーズドラゴンが跋扈しているエリアである立川市にありました。
別な話では、この女性は、落合前理事長が支店長を務めたことがある立川方面の支店取引先だったとも伝わっています。
そのため、牛山理事の他、川島博之専務理事や落合店理事長自身も足を運んでいたということです。
飲食接待の領収書は「経費」
金融庁が立ち入り検査を行った際に確認した交際費の領収書の中には、この店のものがあり、飲食代の支払いは「経費」となっていました。
この領収書について金融庁に聞かれたときに、 牛山、川島の両氏は「合併を模索していた金融機関とこの店で会っていたので言えない」と釈明したという話も伝わっています。
落合理事長に監事が忠告
当然のことに西武信金内部では 監査役の監事が、落合氏に取引停止を進言、西武信金自身が警察に女性の身分を照会したものの、女性に関しては警察の返答は「反社ではない」というものだったということなのです。
それによって、落合氏は忠告をした監査役の監事を”怒鳴りつけ”て、取引を継続に至ったと伝わっています。
暴力団関係者との取引金額は40億円
取引人数は、女性本人や女性の紹介した10人前後、融資した金額は合計で40億円。
牛山氏は、取引発覚後、立入調査に入った金融庁に「毎月きちんと返済がある」と説明。
もちろん、返済のあるなしが問題ではなく、どう説明しようとも行政処分は免れませんでした。
反社会的団体への融資は継続
反社会勢力団体への融資はその後どうなったのかというと、
「現在も当該者の関連者に対する融資残高はあります(債務者名義1人、1社で合計326百万円)」--会見時に公表されたニュースリリース
の通りに、現時点でも融資は継続されているというのです。
これらの融資は今後どうなるのでしょうか。
銀行としては、融資をしてしまったものを突然回収というわけにはいかず、しかし、この先もずっと返済がされるのかというと、十分な担保価値のある不動産ではないということなのです 。
何らかの問題が起きた場合には40億円全てとは言わないまでも、回収困難になることも予想されそうです。
そうなると、行政処分になるというリスクを冒してまでも、反社会的勢力団体に融資をする必要があったのか。
そもそも、融資をするお客が誰かよりも、なぜ十分な担保がなく、焦げ付きが予想されるところに融資を行ったのかが疑問です。
西武信金の資金流出は?
スルガ銀行の業務改善命令の時もそうでしたが、西武信金は業務停止とはなっていなくても、信用低下による資金の流出が懸念されています。
信金の場合は、信金中央金庫が資金注入をするということなので、直ちに危なくなるということはなさそうです。
しかし、大きな犠牲を払った融資の価値を、今後西武信金自らが問い直すことにならないかが引き続き懸念されるところです。