ローコスト住宅、ユニテハウスの放送をきっかけに、低価格の規格住宅に注目が集まっています。一見、誰にでも建てられて魅力的ですが、あとで後悔しないか不安に思う方もいるようです。
最初に建てる時や建売の購入は割安のローコスト住宅も、長期スパンで考えた時には、メンテナンスの費用が注文住宅に比べて倍額となるという指摘を見つけました。これではいかにローコストと言えども、かえって割高になってしまいます。
ローコスト住宅や建売、規格住宅のメンテンナンスコストについて解説します。
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ローコスト住宅は初期費用が安い
先日テレビで取り上げられたばかりのユニテハウスは、基本の価格が1100万円とたいそうお得な印象です。
他のメーカーの規格住宅や、低価格の建売などもほぼ同じ仕様のものが多いですが、とにかく安く建てたいということで、低価格の家に飛びつきがちです。
確かに初期費用は安いのですが、家というのは、30年、場合によっては、改築しながら50年もの長い年月を使うものです。
ローコスト住宅はメンテナンス費用が倍額かかる
耐久性やメンテナンスコストを考えた場合には、実際はローコスト住宅の方が、良質な注文住宅よりも倍額かかるというデータを見つけました。
掲載されていたのは、『チルチン人』という注文住宅の季刊誌の中の「買う家と作る家の違い」という比較でした。
この場合の「買う家」はいわゆる規格住宅で、「作る家」というのは、大工さんなどにつくってもらった在来工法の家を差すようです。
ローコスト住宅の安い理由は”新建材”
ローコスト住宅や工程が工業化された規格住宅が安い理由は、工場生産の”新建材”と言われる材料を使っているからです。
いわゆる、木そのものではなくて、木を使ってはいるもののの、合板などを使って、家に合わせて裁断をするのではなくて、最初から寸法が決まっているものを工場で量産することで、さらにコストを抑えています。
しかし、この新建材により、初期のコストは抑えられて安く家は建てられるものの、材料の劣化を防ぐために、従来の家よりも早くメンテナンスが必要になってしまうというデメリットがあります。
ローコスト住宅と注文住宅のコスト比較
ローコスト住宅と注文住宅のメンテナンスコストを、ざっと表にまとめてみたものは下の通りです。
ローコスト住宅 | 注文住宅 | |
外壁30年目 | 200万円(葺き替え・シール打ち替え) | 30万円(補修) |
屋根30年目 | 120万円(張替え・塗装) | 45~78万円(並べ替え) |
建具30年ごと | 45万円(取り替え) | 10万円(補修) |
内壁10年ごと | 45万円(張替え) | 10~15万円(補修) |
床板10年ごと | 60万円(張替え) | 5万円(オイル塗り) |
メンテコスト総額 | 1450万円 | 600万円 |
もっともローコスト住宅と注文住宅とざっくり言っていますが、ユニテハウスは、材料は工場で作られている規格製品であるものの、家そのものは「注文住宅」とされていますし、「注文住宅」と言われるものでも、粗悪な材料を使えばこの限りではありませんので、おおざっぱなプレハブと木の家の違いというように考えればいいかと思います。
内装に関しては、いかに立派な注文住宅だろうが古びることは同じですが、長い周期の使用に耐えるかどうかということに大幅な違いがでるようです。
そして、家を買うときには、上記のような比較を元に、建設時や購入時の価格だけではなく、材質とその維持管理費用も頭に入れる必要がありそうです。
特に、これから家を買って長い年月を住む若い人にほど、覚えておいてほしいポイントでもあります。
解体時の費用は規格住宅の方が高い!
そして、驚くことは、解体した時の費用差です。
ローコスト住宅 | 自然素材の家 |
150万円前後 | 100万円前後 |
解体そのものの手間は、それほど変わりません。しかし、ローコスト住宅の場合は、費用が格段に高いのです。
ビニールクロスや石膏ボード、あるいは木ではあっても断熱材をあらかじめ吹き付けしした木材などは、すべて混合廃棄物となってしまうので、リサイクルができないというのがその理由です。
木くず、金属くずなどといった分別もできないため、全部が粗大ごみとなってしまうということで、これだと、個人的な費用の問題だけではなくて、ゆくゆくは環境問題にも発展しかねないかもしれません。
購入時は長期スパンで考えて
注文住宅がすべて良いとは限りませんし、注文住宅でも新建材の使用が皆無というわけではありません。
しかし、建売住宅や、最初からローコスト住宅を歌っているものに関しては、やはり材料そのものが、安い材料を作っており、耐久性は低いということを覚えておくべきでしょう。
洋服や家具などは、安いものを買って、破れたり壊れたりした場合は買い替えることができますが、家は、そうはいきません。
生涯住む家として購入を考えた場合は、長期のメンテナンス費用というものを心して家を選ぶ必要があるでしょう。