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地面師事件初の判決 地主の女将役羽毛田被告他に懲役4年の実刑

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積水ハウス地面師事件の公判で、旅館のおかみの地主に成りすました女将役の羽毛田正美被告ら3名に、懲役4年の判決が下されました。

地面師事件最初の裁判で、判決もこれが最初、しかも全員に実刑判決という重い刑となりました。

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積水ハウス地面師事件の判決下る

カミンカス操ら地面師と呼ばれる詐欺グループが所有者になりすまして、建築大手積水ハウスに土地を転売、55億円をだまし取った積水ハウス地面師事件の初公判が5月8日に行われ、なりすまし役の羽毛田正美被告ら3名が詐欺罪を認めていました。

積水ハウス地面師事件は、土地の所有者になりすました「地面師」グループが、2017年に積水ハウスから約55億円の売却代金をだまし取ったとされる事件です。

今日その判決が下され、羽毛田正美被告以下4名に、懲役4年を超える判決が下されました。

10人が起訴された事件で、判決はこれが初めてです。

地面師ら羽毛田正美他のに懲役4年

判決内容は以下の通り

羽毛田(はけた)正美(64)懲役4年

常世田(とこよだ)吉弘被告(68)懲役4年6カ月

秋葉紘子(こうこ)(75) 懲役4年

判決内容 要旨

東京地裁(石田寿一裁判長)は、計画を立てる上位者、なりすまし役、手配役など、多くの役割分担をした「組織性の高い犯行」「多数の役割が分担され、極めて巧妙。被害会社も甚大な被害を受けたが、弁償はされていない」と指摘。

犯行に使われた偽造パスポートなどは専門家も見破れないほど精巧で、「不動産登記制度への信用を損なった点も看過できない」と批判しました。

羽毛田被告については、「従属的だが、犯行完遂に不可欠な役を担った」。

常世田被告については、羽毛田被告に演じ方や不動産情報を教えたほか、内縁の夫役として契約に立ち会うなどして報酬400万円を得ており、「犯行実現に向けた役割を積極的に果たした」と批判。

その上で、3被告についてはグループ内で従属的な立場だったとしつつ、「刑事責任は相応に重い」として実刑判決を言い渡したとされます。

積水ハウス地面師事件とは

3被告は2017年、網走刑務所内に収監されていた”地面師のドン”内田マイク被告(66)が立案したとされる積水ハウス相手の土地取引詐欺に共謀しました。

虚偽の取引を持ち掛けて、積水ハウスから55億円をだまし取ったのです。

積水ハウスが虚偽の契約

 

その際、積水ハウスに売買を持ち掛けられた土地は、東京品川区五反田の駅から数分の立地の良い旅館跡地の600坪、坪1千万円と言われる地価の高いところです。

旅館は廃業して、所有者は亡くなっており、売却が期待される土地であり、そこに地面師が目をつけたのです。

地面師に狙われやすいのは、このような所有者が不在の土地です。

”地面師のドン”内田マイクが立案

 

内田マイク被告が、連絡役の地面師メンバーを通じて、カミンスカス操被告らに指示したとされています。

関わった地面師らは全部で数十人はいるとされています。

羽毛田正美被告は地主のおかみ役に

 

今回判決が下った、羽毛田正美被告に、もう一人懲役4年を下された秋葉紘子被告が、地主である旅館の女将役になるよう斡旋。

羽毛田被告は元生命保険の外交員をしていたとされますが、本人の述べる動機「子どもの病気」などで、金銭に困り、地面師事件に加担したようです。生保の元外交員であり、話が上手であると見込まれて、地面師からの声がかかったとみえます。

そして、もう一人懲役4年6か月を下された常世田被告が、羽毛田被告の内縁の夫役に選ばれ、羽毛田被告に演技指導などを施し、カミンスカス操被告と共に、女将のふりをして、土地代金70億円の取引である積水ハウスとの契約に赴きました。

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カミンスカス操被告が同席

 

しかし、それまでも羽毛田被告は、生年月日とつながる干支を間違えたり、積水ハウスとの話で誤った返答をした上、土地の謄本がないなど不審な点があるにかかわらず、同席した手慣れた地面師、カミンスカス操被告の手助けなどもあり、積水ハウス側は契約を遂行。

本物からの連絡を無視した積水ハウス

途中で、本物の地主から積水ハウスに「偽物である」との忠告の連絡が再々入ったのですが、積水ハウスは耳を貸さなかったこともあり、後に、あまりにも無防備で性な契約に批判を受ることとなり、会社内での内紛も起こりました。

カミンスカス被告は、この後、フィリピンへ逃亡。

羽毛田被告他は国内にいて、真っ先に逮捕、起訴となり、関与を否定する他の地面師たちとは違って、詐欺罪を認め今回の判決に至ったというものです。

なお、該当の土地は、地面師らの追跡と逮捕に時間がかかっている間に、本物の所有者が、旭化成レジデンスに売却をしています。

 

最終的な取引の価格は不明ですが、不動産関係者も建設会社誰もが「のどから手が出るほど」欲しい土地だったということです。

もし積水ハウスの取引をしていたのが、偽の地主である地面師でなく、本物の地主であったらと、判決が下されても関係者は臍を噛む思いではないでしょうか。

地面師に渡った55億円の行方は未だ判明していないのです。

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