スルガ銀行の今一番の問題は、シェアハウスの被害者との交渉、それと創業家岡野光喜元会長、岡野家関連企業との関係解消です。
スルガ銀行の嵯峨行介副社長と有国三知男社長が新聞のインタビューで、9月頃までに関係の解消をめざすと話しました。
またシェアハウス所有者への「負担軽減を検討している」ことも明らかにしました。インタビュ―の内容を元にお知らせします。
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スルガ銀行、岡野光喜元会長との関係解消へ
金融庁の業務停止命令を終えて、新生銀行との提携を発表、再建に向けて歩み出したスルガ銀行の最大の課題が、創業家である岡野家との関係の解消でした。
この目標は、当初から業務改善と並ぶ項目に加えられていたものの、株式の売却を含め、これまでの創業家とそのファミリー企業への不適切な融資で提供された資金の回収も加えて、一向に進む気配がありませんでした。
株主総会でも怒りの声
6月26日に行われたスルガ銀行の株主総会には、株主でもあるシェアハウス「かぼちゃの馬車」のオーナーも多数出席。
全出席株主の4割を占める200人が、文字通り声を上げた株主総会は、大荒れに荒れ、さながら問題を抱えたままのスルガ銀行を浮き彫りにすることとなりました。
スルガ銀行有国社長に「辞めろ」の声
スルガ銀行の有国社長は壇上に上がるなり、それら被害者の株主らによって、矢面に立たされました。
「有国社長、あなたは565億円の損害賠償を求める訴訟を株主から起こされている。議長席に立つ資格はない」
と真っ向から糾弾されたのです。
そして、
「他の一流企業はみな代表が謝っている。だが、去年の株主総会では当時の社長も岡野前会長も謝っていない。謝ってください」
岡野前会長は公の場で謝罪したことは一度もないため、有国社長がその場で謝罪を求められる一幕がありました。
岡野ファミリー企業との関係
「サッカーにしか興味がなかった」と陰口をたたかれる岡野前会長は、肩書こそ会長であったものの、業務は弟の喜之助副社長に任せきりだったといわれており、第三者委員会の報告書でもそれは指摘されています。
シェアハウス問題に聴取を受けた際も「最後まで殿様だった」と言われた岡野前会長、謝罪はどうでも、最大の課題はファミリー企業へ流れた資金の回収と、今後の融資の防止のために、スルガ銀行がファミリー企業、すなわち岡野一族と手を切ることです。
これまでに岡野家に流れた融資は約450億円、岡野元会長個人は69億円。
さらに、岡野家のファミリー企業3社は銀行の株式約13%をいまも保有しており、それが、今回業務提携を結んだ新生銀行や、家電量販店ノジマとの交渉に際しても大きな障壁となっていました。
事前に言われた「資本提携」には至らなかったのは、ファミリー企業の株式の問題が残っているためと言われています。
有国社長と嵯峨副社長のインタビュー
これらの問題を踏まえて、有国社長と嵯峨副社長が日経新聞のインタビューに応じ、これらの課題について語りました
インタビューの骨子は「シェアハウスと創業家の問題の解決なしにスルガ銀行の再生はない」というもので、有國社長は、スルガ銀行の創業家問題について、インタビューで次のように発言。
「スルガ銀行のパワハラやノルマなどの成績重視の企業風土の改革に当たって、「120年の歴史の中で自然と醸成された風土は社内の人間だけでは簡単に変えられない。そこで嵯峨氏を(外部から)副社長に迎えた」(日経新聞)
その嵯峨氏は
「筆頭株主が創業家だということが間違いなくスルガ銀行の評判を下げている。(9月ごろまでに)答えを見つけていきたい」(同)
とインタビューで有国社長の後に発言。副社長に外部から嵯峨氏を迎えたのがそういう目的なら、シェアハウス被害者からは、有国氏も「やめろ」の声が上がっても不思議ではありません。
有国氏が株主総会での壇上にいる限り、岡野との関係が連想に上がってしまいます。
その有国社長は、
「行政処分に対するその後の対応など、やらなければいけないことがまだ残っている。それを途中で投げ出すのは無責任だと思っている。5月に発表した業務提携の内容もしっかり議論する必要があり、引き続き責任を担うべきだと判断した」
そして、シェアハウス問題について、嵯峨氏は、
「(シェアハウス問題は)解決していない。所有者に納得してもらえる終結を迎えなければならない」(嵯峨氏)
ADRの交渉と代物弁済
スルガ銀行は、これまでシェハウス被害者とのADRによる交渉を進めてきました。
ADRの交渉を選んだ被害者もいますが、シェアハウス被害弁護団とその訴訟に加わっている被害者は「代物弁済」という方法を求めてきました。
「代物」とはシェハウスの土地や建物のことで、それをスルガ銀行に渡す代わりに、ローンを白紙に戻してほしいという要求です。
「いろいろな選択肢を検討」
嵯峨氏は「いろいろな選択肢を常に検討している」と語りましたが、「こうした問題を解決しない限りスルガ銀行の信用は戻らない」として、シェアハウス問題の解決がスルガ銀行の再建に不可欠と考えているようです。
そして、「所有者間の公平性にも考慮しながら、負担軽減につながる措置を検討していることを明らかにしている」ということなので、何らかの変化があることも期待できるかもしれません。
一方、創業家との関係の解消については、嵯峨氏は「100日」が一つのメド、「9月ごろまでに」と、時期を上げて示唆しています。
シェアハウス被害者の要求は通るのか、岡野家を切って真の再建となるか、今後の動向が注目されます。