いらない土地を国に返すということはできるのでしょうか。
不要な土地を国に引き取ってもらおうと裁判を起こした例を朝日新聞が掲載しました。
訴えを起こしたのは司法書士の方、結果はどうなったのでしょうか。
朝日新聞「負動産時代」の事例から考えます。
要らない土地を国に返す
土地の価格が軒並み下がってしまい、売るに売れない土地を相続せざるを得ない例が全国で相次いでいます。
人口減少でこれからも土地余りとなることが予想される昨今、要らない土地を相続してしまった場合はどうしたらいいのか。
このままではいけないとして、実験的な訴訟を起こした人がいます。
要らない土地を国に返す裁判
鳥取県米子市の司法書士の鹿島さんは、父親から生前贈与された山林約 2万平方メートルを、贈与の3週間後に「放棄する」として、国が引き取るべきだとの訴えを起こしました。
今から6年前の2014年のことでした。
裁判の結果は敗訴したが
結果はというと、広島高裁の判決で、鹿島さんが山林の保有が負担になると考えて国に押し付けようとした、権利の濫用に当たるとして、請求は退けられました。
一方で、判決では「不動産の所有権放棄が一般論としては認められる」とも示されました。
鹿島さんは、司法書士の日常業務の中で、土地を自治体に寄付したいという相談をよく受けていたといいます。
そして、自らがその土地をもって、「実験的な訴訟」を起こしたのでした。
土地の所有権放棄の可能性
敗れたものの鹿島さんは、状況次第で土地が国に返せる、すなわち、土地の所有権を放棄できるかもしれないという手ごたえもつかんだといいます。
手間や費用を惜しまず、訴訟を試みた鹿島さんの姿勢には敬意を表します。
所有者不明土地の問題が優先
前の記事で書いた通り、今日本には北海道に匹敵するほどの広さの所有者不明土地があります。
所有者のいる土地はまがりなりにも管理はできていますが、所有者不明土地は、必要なら国が管理せざるを得ない土地です。
所有者のいる土地は自分で
所有者の居る土地よりも、国としては今現在放置されている土地の管理の方を優先せざるを得ないでしょう。
北海道の広さの所有者不明土地に加えて、さらに放棄の希望のある土地をも引き受けるということになってしまったら、国の方も結局放置せざるを得なくなってしまいます。
既に所有者不明土地に加えて、放棄の希望のある土地と合わせると、一体どれだけの土地が余ってしまうことになるのか、考えるだけでも気が重い問題です。
土地管理の費用は結局税金から
しかも、もう一つの問題は、個人所有の家は公金に直接には響きませんが、国の所有となると管理の財源は税金です。
鹿島さんの土地については、その山林を国が管理することになった場合の費用も示されており、柵の設置に150万円以上、そして草刈他の管理に毎年8万円の税金が使われることになるということでした
そのような費用がすべて税金から支払われるとすると、たとえば土地を所有したことのない人であっても、負担せざるを得ないという不公平が生じることになってしまいます。
仮に所有者が土地を手離すことができるようになったとしても、所有者自身の少なくはない費用負担が求められることになるだろうことも予想できます。
国が簡単に土地を引き受ける例を作れないのは、土地の管理には多額の費用が必要で、それをまかなうことが難しいからでしょう。
民法に土地の放棄の記載は?
民法には「所有者のない不動産は、国庫に帰属する」(第239条)とあり、実際に所有者のない土地はそうなっています。
しかし、今所有者のある土地を、その人の意志で手離したいという場合、どういう場合なら認められるかの基準がないのです。
自動的に国のものになる土地はあっても、希望した人が国に返すということは今の制度ではできないのです。
この記事を読むと、やはり土地の放棄は簡単には認められないという印象です。
売れない土地は業者買取で売却
結局は、いったん所有した土地については、売却をする以外に方法はありません。
最近はこのような不動産事情を元に、それを再利用しようとする新しいビジネスも生まれています。
一つは、土地を買い上げて区画を小さくし、ローコスト住宅を建てて価格を安く家を建てるというパワービルダーや、それと、リフォーム再販の手法を用いて、築年の古いぼろ屋を生まれ変わらせる、リフォーム業者たちです。
こういう業者は土地を必ず欲しがっており、手に入れた土地には、多少へき地であろうが、どんどん家を建てて販売しています。
私自身も、東京から3県も離れた北関東の既存の住宅地の実家、私道、欠陥住宅、相続登記も相続もできない悪条件の家を、業者に買取してもらって手放すことができました。
町の普通の不動産店経由では、買取は扱わないところが多いです。
ネットから直接依頼できます。