空き家の木の枝が伸びてきたとき、皆さんはどうされていますか? 勝手に切ってもいいものでしょうか。
隣が空き家だった場合は、様々な困りごとが予想されますね。
朝日新聞に空き家の庭木についての「迷惑な空き家、所有者が責任を」という隣人の投書がありました。
庭木の管理は空き家の所有者にとっても頭の痛いことで、どちらにしても他人事ではありません。
庭木の管理について、再度考えてみます。
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「空き家の木の枝の伐採」投書の内容
空き家の木の枝に悩む方の実例です。
投書で相談された方は、70世男性、栃木県にお住まいです。
今のお宅に引っ越して10年目、最初は良かったが、隣が空き家になってしまいました。
今は庭木が伸びてしまい、枝が自分の敷地の方に伸びてきているので困っているとの内容です。
空き家の木の枝の状況
実際、そちらの方の庭木はどの程度になっているのか。記述は続きます。
「私が今の所に引っ越した10年前、隣家は空き家でしたが、庭木はまだ低く風通しも良かったのです。
ところが、数年たち、枝が我が家のほうに越境してきました。枝を勝手に切ることもできません。」
市役所に連絡をしたが
隣の家に対して、対処法として、投書者がしたことは
・市役所に連絡→「連絡はしているが返事が無い」とのこと
・家の持ち主は年1回は来るが何もしない
ということなのです。
空き家の木の枝が越境しても伐採できない?
隣家の主は「数年たち、枝が我が家のほうに越境してきました。枝を勝手に切ることもできません」と述べていますが、このような場合、伸びてきた枝を切ってはいけないのでしょうか。
隣家の枝について民法の記載は
調べてみましたら、民法には次のようにあります。
(竹木の枝の切除及び根の切取り)
第233条
隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
基本的には、隣の敷地にはみ出したものとはいえ、それを勝手に切り取ることはできないとのことなのです。
もし勝手に伐採してしまえば、それは違法行為として、民事上・刑事上の責任を負わされてしまう可能性があるということです。
なので、面倒であっても、相手に切ってもらえるように言う、または伝えてもらうなどして、所有者自身に切ってもらうというのが、正しい手順になります。
隣に依頼しても枝を切ってもらえない場合は
しかし、相手の方が快く切ってもらえる時ばかりとは限りません。
特に空き家の雑草に関しては、放置されているところがひじょうに多いのは知られている通りです。
木の枝の伐採の許可を得る方法
枝に関しては、もし、枝を切ってもらいたいという要望を伝えても、何もしてもらえないという時は、「こちらで切ってもいいですか」という許可を得るという方法が良さそうです。
手間も費用負担もこちらで持つということなら、反対する可能性は低そうです。
枝の伐採料はこちらが負担すべき?
そうは言っても、なぜ隣の庭の木を自分で切らなくてはならないのか、あるいは、それに金銭的な負担を負わなくてはならないのかということは、誰しもが感じることでしょう。
他の手立てとしては、塀を高くするということも考えられますが、それも費用や日照の問題もあり、良い方法とも言えません。
あとは、調停や民事訴訟ということになりそうですが、難しいのは隣であるということなので、後々のトラブルも心配です。
なかなかそのような手段を取る人は少ないです。それができるくらいなら、新聞に投稿には至らないと思われます。
お隣と話し合えれば理想的
個人的な意見を言えば、程度問題ではありますが、こちらにはみ出しているところに関しては、自分で切るほかはないと思われます。
たとえば、私の家では、隣の方は、旦那さんが既におらず、奥さんも高齢なので、「ここを切ってください」といわれているので、「うちでやるからいいですよ」と返答しています。
もっとも、これが多量になった場合は、上記のようなやりとりができている場合は、「プロの方に頼みましょう」と持ち掛けてみて、料金を負担してもらうのがいいと思われます。
なかなか難しいところですが、あからさまな苦情にならずに、そのような相談ができるお隣との関係なら理想的だと思われます。
隣の庭木や雑草の行政代執行は?
上の投書の最後は
「市町村が、適切な管理がなされていない空き家の所有者に撤去を命令できる空き家対策特措法も3年前、施行されました。持ち主と行政の良心に期待し、我慢するしかありません。」
と結ばれており、空き家特措法の適用が期待されているようです。
しかし、空き家に関する行政代執行というのは、やはり、被害が広範囲であり、多数への危険が予測されること、そうなるには、建物の損壊の程度がかなり著しいものではなくてはなりません。
庭木程度で、市役所が動いたという話は、あまり聞いたことがありません。よほど程度のひどいときに限られるでしょう。
法整備が整うまでは、自力で何とか動くほか今のところは手立てがないようです。