ノジマがスルガ銀行と資本提携が決まったのは、昨年6月。ノジマの社長がスルガ銀行の副会長に就任したものの、現在は資本提携解消の話が出ています。
スルガ銀行の再建が期待される中、なぜノジマとの協力が進まなかったのでしょうか。ノジマの提携解消の理由を各紙からまとめます。
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ノジマがスルガ銀行と資本提携解消の報
経営再建中のスルガ銀行と資本提携の上、業務を進めるとされてきた、家電大手のノジマが、スルガ銀行と提携を解消するという話が少し前から出ていました。
スルガ銀行は、6月29日に株主総会を行いましたが、その時にはノジマの件の報告等はなかったとされています。
社外取締役副会長に就任した野島廣司ノジマ社長が経営に参画するはずだったがスルガ銀と対立。株主総会を待たずに6月1日付けで副会長を辞任している。この件も嵯峨社長は言及しなかった。
ノジマとスルガ銀行のこれまで
スルガ銀行の岡野光喜元会長と岡野家関連企業の所有していたスルガ銀行の全株式を、家電量販大手のノジマが買い取ると報じられたのが、’19年5月のことでした。
当初から、ノジマの見込んでいたのは、「家電量販での金融サービス、クレジットカード事業との相乗効果」をはかるフィンテック事業というものです。
用語解説
シェアハウス問題を受けて、不動産投資ローンから、個人向け金融に方向転換をするスルガ銀行は、良いパートナーとして事業を進められるとの判断でした。
スルガ銀行の提携先は一時は、銀行が望ましいと言われたもののなかなか決まらず、ノジマの提携が決まった時は、ひとまず安心を覚えた人は少なくなかったと思います。
ノジマ社長がスルガ銀行の副会長を退任
しかし、5月末になって、ノジマが、スルガ銀行の提携解消を進めるとしたニュースが入りました。
その前に、ノジマ社長はスルガ銀行の副会長を退任するということとなったのです。
スルガ銀行は5月27日、資本・業務提携している家電量販大手「ノジマ」の野島広司社長(70)が、6月末に同行の副会長を退く人事を発表した。野島氏は取締役も外れる。ノジマは同行の株式18.5%を保有する筆頭株主だ。ノジマと同行は今後、提携解消に向けた協議を進めるという。
スルガ銀行とノジマはなぜ提携解消に
スルガ銀行とノジマ、提携先として名乗りを上げたノジマですが、なぜ提携解消に至ってしまったのか。
上に記した通り、ノジマ側は、以前からスルガ銀行のシステムや店舗を活用して、「金融と小売りを融合する共同事業」を始めたいという考えで、フィンテック事業が提携の意義だったのです。
”共同事業”に進めなかったスルガ銀
しかし、経営再建とシェアハウス投資者たちの対応に現在も追われているスルガ銀行は、まだまだ共同事業を始めるという体制ではなかったようです。
ノジマ側はスルガ銀の店舗網をフルに活用して共同事業を進めたい考えだった。スルガは法令順守を徹底させて不動産融資を含めた業務を再開している。その営業活動に拍車をかけ、それをテコに具体的な提携策を実現しようというのだ。ところが、不正融資の後始末に追われるスルガ銀側は、ノジマの要求に応えられなかったという。―毎日新聞 https://mainichi.jp/premier/business/articles/20210531/biz/00m/020/001000c
この間、スルガ銀行側が、ノジマとの提携に関してしたことと言えば、「実現したのは、スルガ銀行の顧客への郵送物にノジマ店舗の割引チラシを入れるぐらい」という程度の「相互送客」だといいます。
新事業が始まるより以前に、「経営再建や連携の方針をめぐる考え方が一致しなかった」(東洋経済)、「両者の意思疎通がまるで見受けられない」(同)状態に陥ったとの記載で、当初から大きなすれ違いがあったことが推察できます。
ノジマが提案した取締役を拒否
ノジマの方は、そこで社長候補となる人物を推薦、トップをノジマ側に置いて具体的に事業を進めようとしたと思われますが、これをスルガ銀行は拒否したということで、話は全く物別れに終わった感があります。
結果、ノジマが提携を解消を進めるという結末となりました。
ノジマがスルガ銀行の株を売却か
ノジマは現在スルガ銀の株を約18・5%を保有する筆頭株主となっていますが、これもいずれ売却するとみられています。
6月末の株主総会でもスルガ銀側からの正式な発表はありませんが、各紙がこれを報じており、さらに、提携解消後の、新たなスルガ銀行の提携先を案じるコメントも出ています。
スルガ銀行をめぐる不正融資問題も、借金の帳消しが報じられたものの、新たな団体が交渉を進めるという話も浮上しており、その状態でさらなる提携先が見つかるかどうか。ノジマの持つ株式の行方が注目されます。