またも、西日本新聞に村八分の例が取り上げられていました。
以前書いていた例も大分県ですが、大分ではこれで2例目です。
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「村八分で提訴」 大分県の例
今回の訴訟は、大分県中部の山間部にある集落に移住した男性(73)ら家族3人が、「村八分」で、転居を余儀なくされたとして、自治区の2人や地元土地改良区を相手どり約3千万円の損害賠償を求めたというものです。
訴訟理由については、男性側は集団無視や生活用水の取水妨害などを挙げています。
村八分を受けた男性の訴状内容
訴状などによると、男性は2008年2月、集落に新居を建て大分市から、同じ大分県の山間部に引っ越しをしてきました。
発達障害のある長男(46)を施設から呼び寄せて、人の少ない山間部で親子3人で暮らそうとしたということです。
自治区を退会後「村八分」に
しかし、16年8月、集落の自治区費の決定方法などに疑問を抱き、集落の役員を辞め、自治区から退会をしました。
すると、そこから「村八分」は始まったということなのです。
「村八分」の具体的な内容としては、
・自治区からごみ集積所への搬入を禁止された
・行政広報誌の配布もなくなった
・集団無視
ということが訴えられています。
【村八分内容】水を使えず生活できない
その内でももっとも困ったことは、水が使えなくなったということでした。
悪いことに、ここは都市部にあるような水道ではなく、各家庭は、井戸または、農業用のため池というところから、生活用水をくみ上げて使っているという地域であったようです。
また、その使用には、自治区の同意が必要であったということなのです。つまり、自分の土地ではなく、地下水脈は隣近所も一緒なので、皆で共同で使うというようなものだったと思われます。
ところが、村八分と同時に、自治区が同意取り下げ書を役所に提出。そのため男性とその家族は、水を使うことができなくなってしまいました。
水源である池の水が抜かれる事態に
しかも、水の使用が禁止されたというだけではなく、池の水が抜かれて、使用できなくなったというのです。つまり実質的には、水を抜かれ、使用が禁止されたということは、そこには住めないという状況が、周囲の住民によって無理に作られてしまったということになります。
移住側弁護士「重大な人権侵害」
これについて、男性は
「同年7~8月、池の水が抜かれ取水できなくなった。土地改良区も適切な管理を怠った」
と主張。
男性側の弁護士も、これを「家族を締め出す自治区側の意図は明白。重大な人権侵害だ」と訴えているというとです。
自治区側の男性は、それに対して、
「村八分などしていない。(池の水を抜いたのは)雨が少なく農業用水として使ったため」
と主張。
土地改良区の側は
「取水できなくても異議を申し立てないという誓約書を男性は提出している。法的責任はない」
とこちらも、いくらか不自然な主張をしていますが、あるいは契約時の書類の中にそのようなものがあったのかもわかりません。
移住をあきらめて転居
結局この男性は、現在、水の使えない今の住まいには住み続けられず、県内のアパートに転居。
同居をしようとしていた、障害のある長男は、再度施設に入所するに至りました。
男性は22日に記者会見を開き
「自宅で生活できなくなる恐怖や不安を植え付けられた。長男はグループホームに入り、家族ばらばらの生活を余儀なくされている」
と訴えています。
「村八分」大分県では2例目
同県では宇佐市にUターンした男性(70)に「村八分」のような扱いをしたとして、県弁護士会が17年、自治区に是正を勧告した例があります。
こちらの男性も、昨年11月、歴代自治区長らに330万円の損害賠償を求める訴訟を起こしているということです。
「村八分」とはよく聞く言葉ですが、けっして昔の風習ではなく、今でも続いているのかと旋律を禁じ得ません。
大分県だけではなく、「田舎」ではどこでも起こり得ることだということで、損害賠償や転居とまではならない場合でも、移住される方の大きなストレスとなることは間違いありません。
村八分についての問い合わせ、相談は、NPO法人「ふるさと回帰支援センター」(東京)でも受け付けていますので、移住を考えておられる方は、前もってご相談されるのもいいと思います。
前回の村八分例