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自治体の破綻は防げたが節約し過ぎの緊縮財政で職員負担増や住民流出も

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全国的な人口の減少で、税収が減り、自治体の財政の苦しさが以前から言われています。

最悪の破綻を避けようと、緊縮財政、つまり、節約をして支出を切り詰めるわけですが、それによって、今度は住みにくくなった住民が、外に出ていってしまうという悪循環が起きているのだそうです。

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自治体で破綻したのは夕張市のみ

財政健全化法ができたのは2008年。今年で10年になります。

2007年の夕張市の財政破綻のような例を防ぐためでした。

夕張市「命にかかわること以外はすべて削った」

夕張市の人口は現在8千人。破綻の原因は観光産業への過剰投資でした。

今は緊縮財政のため、町のあちこちに不備が目立ちます。
市役所の玄関は雨漏り用のバケツが並んでいます。修理に費用がかけられないためです。
市営住宅の窓ガラスは割れたまま、傾いた電柱もそのままだそうです。

小中学校は11校が2校に統廃合。図書館は廃止。
市職員の月給も3割減だそうです。市長の給与は年間250万円と報告されています。

破綻の窮地を脱した自治体たち

このような報告を受けて「早期健全化基準以上」と言われた自治体が2008年には21市町村ありましたが、今は一つもなくなったと言います。

つまり対策をとれば破綻は避けられるという例証がなされたわけです。実際に、健全化を目指すために、どのような工夫がされたのでしょうか。

その一つは、今ではおなじみになった、ふるさと納税です。

ふるさと納税で歳入増

大阪府泉佐野市と鹿児島県大崎町の例

各自治体がどのように対策したかというと、大阪府泉佐野市は、職員を減らし借金を圧縮、歳入増にはふるさと納税が全国8位の34億台。

同じく、鹿児島県大崎町もふるさと納税が、歳入総額の4分の1だそうです。

ゆるきゃらしんじょう君 高知県須崎市

また高知県須崎市は、地方創生交付金の活用と、ゆるキャラの二ホンカワウソの「しんじょう君」が、ゆるきゃらグランプリで1位に。

人気が上がると同時に、収入も得られるようになり、15年度決算をもって、財政を回復、窮地を脱しました。

破綻を避けるための緊縮財政の弊害も

しかし一方で、急激な緊縮財政は、それなりの弊害ももたらしました。

その主なものが、職員の負担が増えてしまったことと、意外にも、これまで以上に人口の減少を招いてしまったことです。

職員の負担増

市職員の数が減らされるというのは、真っ先に必ず行われる施策ですが、ひずみが大きく、官製ワーキングプアと言われる非正規職員の問題や、現職員の勤務過剰などが弊害として浮上しました。

自治体を豊かにするはずが、豊かにはなりつつあるものの、「歌を忘れたカナリア」とたとえられる通り、逆に生活が厳しくなってしまってもいるのです。
そして、その影響は住民自身にも及ぶものです。

かえって人口減が

千葉県銚子市は、小学校の統廃合他の市民負担の増加で、住みにく差を感じた住民が他市に転居。

人口は10年前に比べて14%減ってしまいました。

財政は豊かになっても、さまざまなサービスを削ったために、市民には住みにくい町になってしまったのです。

市民サービスの復旧

同じく、冒頭の夕張市も、人口は3割減となったところで、見直しの動きとなり、図書室や多目的ホールなどの市民サービスにも心を砕くようになりました。

「切るだけでは健全化しない」ということがわかってきたのです。

その反省から子供の医療費補助を今度は18歳まで広げるなど、新しい方法を模索しています。

まとめ

もっとも悪い「破綻」という状況を避けるために、さまざまな工夫がなされ、まず、破綻を回避できたということに、少なからず安心の念を覚えます。

かといって、人口が減らないわけではありません。

住む人あっての自治体ですので、財政が健全化するめどがついたら、住みたい町、住みやすい町とあるような工夫にシフトをしていく努力が必要だということもよくわかったと思います。

自治体任せにばかりしないで、時によっては、われわれ市民の理解のみならず、協力も必要になってくるかもしれません。

破綻を避け、豊かな街を目指すには、自治体と市民の双方向的な一致が不可欠といえます。

地方自治体財政健全化法とは

08年4月に一部施行、09年4月に本格施行。実質公債費比率、実質赤字比率など四つの指標の公開が自治体に義務づけられた。早期健全化基準以上になると財政健全化団体になり、歳出削減を柱に計画の策定が必要になる。さらに悪化して財政再生団体になると、国の管理下で行政サービスの大幅な見直しを迫られる。

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