スルガ銀行再建で、岡野家関連企業との関係解消はどうなったのか。その近況を伝える記事が現代ビジネスの記事に掲載されました。
内容はシェアハウス投資の元凶を「岡野家支配」とするものでした。関係解消の期限として挙げられた期限、当月9月の動向が期待されるところです。
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スルガ銀行、岡野家との関係解消へ
スルガ銀行の今後の一番の課題は、岡野家の関連企業との関係を解消すること、具体的には株式の売却などが進むかどうかです。
現在、新生銀行はもとより他の会社との資本提携を進めるのに、創業家の影響が最も大きな障害となっていることは周知の事実です。
嵯峨副社長就任の理由
7月のインタビューで、創業家との関係解消について、有国社長は、岡野家の関係者ではない、副社長を新しく迎えたことについて、
「スルガ銀行のパワハラやノルマなどの成績重視の企業風土の改革に当たって、120年の歴史の中で自然と醸成された風土は社内の人間だけでは簡単に変えられない。そこで嵯峨氏を(外部から)副社長に迎えた」(日経新聞)
嵯峨副社長は、「コスモスイニシア(旧リクルートコスモス)、イデラキャピタルマネジメント、SGホールディングス(佐川急便の親会社)などで役員を歴任したプロ経営者」ということで、実務には全く加わっていなかった岡野前社長とは対極にあるような人物像です。
9月が岡野家排除の期日
その嵯峨副社長は、スルガ銀行への岡野家の関与について
「筆頭株主が創業家だということが間違いなくスルガ銀行の評判を下げている。(9月ごろまでに)答えを見つけていきたい」(同)
と話しており、7月時点のインタビューから見て「100日以内」という期間、皆がそこで言われた「9月」という期限に注目していました。
その9月に入ったわけですが、その後はどうなっているのでしょうか。今のところはまだ伝わってきておりません。
不正融資問題は「岡野家支配」が原因
スルガ銀行の動向を探る、現代ビジネスの記事では、シェアハウス投資の「不正融資問題は、究極のところ”岡野家支配”が原因だった」と述べています。
岡野家の銀行以外の”ビジネス”の資金がすべて、スルガ銀行から出ていたために、社員に稼ぐだけ稼がせるというパワハラ体質が生まれた。
それは、スルガ銀行の業績をめざましく成長させましたが、ファミリー企業への融資総額は、一時は1200億円にも達していたのです。
数十億円のスルガ平の別荘
資金が流れた先はというと、いずれも目に見えるものとして残っているため歴然としています。
スルガ平という高級住宅街の開発。さらに、そこにある、約6万平方メートルの『ヴィラ・ジー・アール』という岡野家の別荘の贅沢さは、これまでもたびたび取り上げられてきました。
別荘を建てたのは、岡野光喜前会長の父、喜一郎氏。
雅子皇后が皇太子妃の時に泊まったことがあり、皇太子妃をもてなすにも十分なもので、宮殿風の洋館とプールなど6haの土地に複数の建物、調度品などにも贅をこらすため、約数十億円が投じられたというものです。
これを見た組合によって、当時反対運動が起きましたが、労組委員長が解雇、旧組合は解散。
当時の組合員が「その当時の組合であれば、シェアハウス投資は防げたかもしれない」と言ったという弁を読みましたが、それでも反対運動ができるだけよかったということでしょう。
その後のパワハラ支配はその時以上に徹底していたことは、第三者委の報告書につぶさに述べられています。
赤字の美術館事業へ寄付名目で
https://www.bs11.jp › education › japanese-museums
別荘は一時的な出費にとどまったでしょうが、恒常的な赤字が続いているものが他にもあります。
ビュフェ美術館をはじめとする、複数の文化施設に対する「寄付」が64億円スルガ銀行から流れており、実質的には、スルガ銀行への融資の返済に当てられました。
これについては、その資金の流れの一部が述べられていましたが、抽出すると
・17年6月27日、スルガ銀行がビュフェ美術館に5億6200万円の寄付
・ビュフェ美術館は、6月30日、イズフォトミュージアムの土地建物を3億9500万円で購入
・同日、スルガ銀行が併設された駐車場をファミリー企業から1億6700万円で購入
・ファミリー企業経費を除いた4億5000万円を銀行に返済
驚くべきお金のやりとりが、このようにずっと続いていたのでしょう。
スルガ銀行は、これまでリスクのある案件でも簡単に融資をすると言われてきましたが、この一例を見ただけでも危ういシェアハウス投資に手を染めなければならなかった理由は明白です。
利益を上げてもそれをどんどん岡野家に回さなければならない関係をこれから先も続けて居たのでは、資本提携どころか、スルガ銀行の存続それ自体も危ぶまれます。
美術館のあるクレマチスの丘とスルガ平は、「岡野家の聖地」とされ、それを岡野家はけっして手離さないと今までは言われてきました。
膨大な赤字があるのを知りながら、その維持だけのために今まで多くの人やものが犠牲になってきたわけですが、それ以上に事業として成り立たないものになぜこだわったのかが不思議です。
とにかく、期限の9月が来たわけで、この先はどうなるのか。嵯峨副社長の手腕に期待する他はありません。