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「お金のモメごと解決します」介護をしたのに「特別受益」で遺産が減った次女

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昨夜7月20日夜フジテレビの番組「お金のモメごと解決します。今すぐ使えるHOW TO マネー」で、親の介護をした相続の例が放映されましたので、それについてご紹介します。

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介護分を要求した次女

 

ユキコさんは長男、長女の三人兄弟の次女。独身の時に育った実家にそのまま同居。その後相次いで父母の介護をして、まず父が亡くなり、そのあとに母も亡くなりました。

介護で苦労をしていたユキコさん、母親が亡くなった後の遺産分割の話し合いで、思い切って兄と姉に次のように相談を持ちかけました。

「お母さんの遺産を私が多くもらってもいいだろうか。兄さんと姉さんは結婚して出て行ったが、私は15年間ずっとお母さんの世話をしてきて今でも独身のまま。
なので、介護の分を考慮してもらって遺産を多めにもらいたい」

提案した分配方法

遺産相続,寄与分,割合親の面倒,世話,介護しなかった,みない

その際のユキコさんの提案した分配方法は次のようなものでした。

母の遺産4500万円からまず900万円を由紀子さんがもらい、残りの分を三等分する。

すると兄と姉が1200万円ずつ、由紀子さんは2100万円となります。

 

兄の言い分

 

それを聞いたお兄さんは、後日ユキコさんが、相続するに妥当な金額は1100万円だと返答しました。

親の土地に居住


理由は、由紀子さんは親の土地に建てた離れに住んでいましたが、それは親から土地の使用する権利を母からもらっていたことになる。

その金額は土地の評価額の2割の600万円だというのです。

そうなると、母の遺産は預貯金4500万円に加えて、由紀子さんの使用分600万円を足したものとなり、母の遺産額は5100万円となる。

それを3等分した1700万円がそれぞれの相続分となるため、既に土地を使用したユキコさんだけが、土地の分の600万円を引き、相続する額は1100万円となるというのが、兄の主張でした。

関連記事:遺産の特別受益には結納金の他嫁入り道具・留学費用や開業資金も

敷地内同居は特別受益に当たる?

番組に出演してた佐藤大和弁護士は、は相続分の前渡しをお母さんがユキコさんにしていたと説明しました。

特別受益とは遺産の前渡しに相当し、母親の土地に「離れ」を建て土地の使用権利を母からもらっていたので特、別受益の前渡しをされていたと考えられるといいます。

寄与分は認められないのか?

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では介護をした寄与分についてはなぜ認められないのか、ということが当然疑問になりますが、それについては次のような説明がありました。

介護をしたという主張が認められるには寄与分とは言わず、「特別貢献」というものが必要とされるそうです。

「特別貢献」とは通常期待される以上の貢献のことで、介護を受ける親の状態によって、扶養義務以上の介護が必要だったかがポイントとなる。

お母さんが一人で生活できる間は、介護する必要性が高くなかったということになるので、同居ならまだしも、敷地内の同居の時にはお母さんの状態が軽く見積もられてしまうので要注意ということです。

結局このケースは 弁護士が入ったそうですが、ユキコさんは15年間母の介護をしていたにかかわらず、逆に母の土地を使用していたということで、遺産の取り分は兄姉に比べて少なくなったということで、兄の主張の方が認められたといいます。

裁判となると認められるのは数パーセント

また番組内に同席した弁護士からは、それなりに介護が必要な方のケースでも認められるのは数パーセントということでした。

なぜかというと、やはり親のその時の状態、そして個々の貢献がどのようなものだったかが、きちんと記録として残されたりなど、証明できる形で残っていないと、ただ漠然と「介護をした」というだけでは主張の根拠とはならないということです。

母は遺言を残すべきだった

自筆遺言書 公正証書遺言
また、他の弁護士からの助言としては母が遺言を残すべきだったということです。

さらに、ファイナンシャルプランナーの飯村久美氏は 公正証書遺言を残しておいた方がいいと助言しています。

なぜかというと自筆遺言書では有効にならない事例が多いからだそうです。

なお、ユキコさんは弁護士をつけなかったので、もし弁護士に依頼しておけば、裁判になる前に交渉が行われることになるので、由紀子さんに有利になった可能性もあるということでした。

特別受益を主張するに必要なものは?

介護の貢献度に応じた遺産を受け取るなら、次のようにする必要があります

・自分がどれだけ介護に貢献したのか、どれだけ大変だったのか、どのように介護が必要な状態だったのかを、きちんと記録に残して証拠とする必要がある
・日記や領収書、明細なども証拠となるため、保管しておく
・被介護者である親に遺言書を書いてもらう
・介護時から他の兄弟にも様子を話しておく

まとめ

番組の出演者皆が、結果に憤慨していましたが、介護というものが負担が大きいにもかかわらず、いかに対外的には評価がされにくいものかということがはっきりわかる例でした。

私自身の場合も、弟とは結局、介護の分も主張しないでしまいましたし、祖父と障害のある姉の面倒をみた叔母の場合も、自分はまったく無収入でした。

介護は、金銭には換算されにくい、また、したことがない相手には苦労が伝わりにくいので、遺産分割の時には、介護の貢献の主張というものは極めて通りにくいということは、あらためて覚えておいた方がよさそうです。

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