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空き家と土地の「断捨離」のすすめ NPOつるおかランド・バンク

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総務省の2013年の調査によると、全国の空き家率は13.5%に上ります。それに伴って、これまではなかった空き家をめぐる様々な問題とその対処についてが議論されています。

前のブログ記事、朝日新聞声欄の「空き家に自治会公益費を支払うべきか」には、紙上に4件の応答の投書が寄せられました。

さらに、NPO法人つるおかランド・バンク(山形県鶴岡市)の廣瀬大治理事長の意見は、目の覚めるような明快なものでしたので、それについて記載します。

「空き家に自治会費を支払うべきか」投稿の要旨

投稿者は、築100年ほどの4軒長屋の1軒を所有しており、春まで貸していたが現在は空き家。
自治会から「自治会公益費」を払うよう請求があったが、草取りなどの清掃の必要はない場所にある。
他人三人が所有する物件で解体は難しい。売れなければ、相続する息子がずっと払うことになるが、自治会費の請求に応じるべきか。

「断捨離」のすすめ

それに対して、NPO法人つるおかランド・バンク(山形県鶴岡市)の廣瀬大治理事長が「究極の『断捨離』考えて」と呼び掛けています。

 

空き家は3年で劣化

廣瀬理事長によると、「空き家は3年で急速に劣化する」と言います。住んでいるうちはいいのですが、住まなくなるとそこから傷みがはじまります。住んでいても住んでいなくても、それほど大差はないように思いますが、その場合の問題は通気と換気です。

日本の気候は湿度が高く、しかも住宅の大半は木造住宅です。換気を怠ると、家が建っている場所によってはすぐさま影響が出ます。

「急速に劣化」というのは、経験してみないとなかなかわからないのですが、いったん空き家にして、間を開けてしまうと「こんなにひどいのか」ということがわかります。

最近では、空き家の管理をしてくれる会社というところがありますが、まずそこでもすることの第一は換気です。見回りや点検などはそのあとのことです。

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劣化した空家の影響

廣瀬さんは、劣化した空家は「必ず周囲に迷惑をかける」と力説します。「地域の住環境を悪化させ、周辺の土地の評価をも下げてしまいます「

うちの近くにも、老朽化した空き家、それから、団地の一角にさほど古くはなく現在も人が住んでいても、いわゆる「ゴミ屋敷」となっているところがあります。

庭先にも門にもゴミが積まれてあふれている状態であっては、その隣の土地を売りに出したとして、隣地を買いたいと思う人はいなくなります。隣が空き家だとなれば、買い手は必ず用心するでしょう。

解体費用は?

解体費用は、坪4万円、家財道具が別途30万円と説明されています。
40坪の家なら160万円です。以前に比べると値上がりしています。今後も上がるかもしれません。

家財道具の片付けに関しては、大きいものが幾ら、小さいものなら幾ら、袋ゴミなら一つが500円というように、今は決まっているところが多く、どこに頼んでもほぼ同じ金額となります。

 

家はあなたの土地にある粗大ゴミ

廣瀬さんは次のように言います。

土地が利益を生むのは都会でも一部に限られる時代。ご自分の持ち物です。子どもが、行政が、誰かが処分してくれるという考えは甘い。早めに手を打てば道は見つかります。究極の「断捨離」であり「終活」です。

家を相続して、こんな値段にしかならないのか。しかも解体は数百万単位。どうして、子どもの私が払わなくてはならないのか。これでは負債と同じではないか。

と、理不尽を誰かに訴えたくなりますが、「高く売れない」のはもう致し方ないのです。隣もその隣も地価と需要の条件は同じです。誰もがそうなっている時代なのです。

地価が下がったから行政が補助しろとも言いたいですが、実際問題として、寄付は受け付けませんし、震災被害でもなければ解体の補助金はありません。
逆に特定空き家に指定されれば、税金は増した上、強制的に解体、またはその費用負担をせざるを得なくなります。

自分の受け継いだ敷地に建っている家は、いわば自分のところの粗大ゴミ、人が片付けてくれることはありません。自分で何とかする他はないのです。

自治会費を支払うべきかへの答えは?

廣瀬さんの文章の中には、「自治会費を払うかどうかの直接の提言はありませんでした。そうではなくて、投稿者のいう、「築100年ほどの4軒長屋の空き家」で、誰も住む予定がないなら、解体して売却する方がいいということだろうと思います。

もし、解体後の土地が売れなかったとしても、土地だけの場合なら自治会費は必要ないでしょう。

共有持分の売却も

もし、そこが価値がある土地だった場合には、共有持分のみを売却することもできます。
名義人が4人いて、共有となっていても、自分の分1/4の権利分だけを売るという方法です。最近は扱うところも多くなってきました。

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逆に価値がない土地であれば、相続放棄しかありません。きちんと手続きをしさえすれば、相続はしないで済みます。

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まとめ

これからは空き家特措法ができたために、空き家の管理が必要になると前の記事にも書きましたが、空き家ではなく、その土地に住み続ける人にとっても、住環境は厳しくなります。

街を良くするために、自治会費など何らかの負担があり、お金を払っている人からみると、自治会費も払わず、空き家を放置している人とでは公平ではないという意識が高まることになるでしょう。

空き家特措法だけではなく、住民同士の監視も厳しくなることを覚悟しなければなりません。自分もそうでしたが、空き家を持っているということは、周囲への肩身が狭いものです。

それらの負担を少なくするには、とにかく早めに手離すことしかないのです。

良い家を手に入れるのにも頭を使わなくてはなりませんが、今では、空き家を手離すにも知恵が必要です。

持っている知識をフル動員して、思いつくものをやれるだけ試したら、あとは、欲しいとする人の出会い、運を待つだけです。

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