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スルガ銀岡野喜之助副社長に融資を即日中止させた内部告発の文書内容

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スルガ銀行の当時副社長だった岡野喜之助氏が、約3年前に、関連する融資をやめるように指示をしていたということを、前の記事、「スルガ銀行副社長、3年前に融資中止を指示 当時の岡野喜之助副社長」で書きました。

融資中止のきっかけとなったのは、一通の内部告発の文書で、かぼちゃの馬車の実質的経営者についての問題を指摘するというものでした。

今回、その文書の内容がどういうものだったのか、岡野副社長はどのように融資を中止するにいたったのか、詳しい内容をお伝えします。

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内部告発の文書がお客様相談センターに届く

内部告発文書は15年2月、「お取引先に関するご報告」というタイトルで、スルガ銀行のお客様相談センターにファクスで届いたといいます。

「かぼちゃの馬車」などの名称でシェアハウス事業を行っていたスマートデイズ(当時の社名はスマートライフ)の実質的なオーナーの過去と、シェアハウス事業の実態を暴露し、警告するという内容でした。

内部告発の文書内容

内容の要約は次のようなものです。

「スルガ銀行の取引先、スマートライフの実質的経営者は、90年代半ばに相次ぎ破綻した住宅金融専門会社に関連した詐欺に問われ、逮捕、起訴された。その後、不動産業をはじめ数社を経営したが、すべて会社を計画倒産させている。実質的経営者は、元妻名義で法人を設立し、スマートライフに出資し、株主となっている。会社の経営権を握っており、スルガ銀行の担当者とも直接やりとりしている」

 

内部告発文書は、続いてスマートデイズ社の事業の実態にも言及します。

「スマートライフの30年サブリース保証は、家賃相場より倍以上の設定で収益シミュレーションを行い、高額のシェアハウスを販売している。サブリースの支払いは家賃では回収できず、到底まかなえない状態」

スマートデイズ社計画倒産の疑い

この文書は先に記した通り、2015年に届いており、現在のスルガ銀行に起こったことが、ほぼそのとおり予測、というよりも、3年前の時点で既に起こっていたとも言える内容です。

衝撃的なのは、この文書は、今のスマートデイズ社の倒産が、最初はうまくいっていたが、途中から経営が破綻したという、いわゆる経営悪化によるものではなく、「計画倒産」の疑いをにじませているということです。

シェアハウス運営のガヤルド社に関しても、計画倒産だったのではないかということが言われており、スマートデイズの場合もそうであれば、スルガ銀行はそれに加担させられていたということになります。

暗に中止を警告

内部文書は次のように締めくくられています。

「以上を十分調査のうえ、スルガ銀行のコンプライアンス規定に問題がないか判断したうえで取引をしたほうが良いのではないか」

文書の内容が岡野副社長へ通達

この内部告発文書はスルガ銀行のお客様相談センターから経営企画部、審査部に報告されました。

そして、当時の審査部長が外部の調査機関の信用情報などを確認し、告発内容には信ぴょう性があると判断。

最終的に、行内の業務部門の最高責任者だった当時の岡野喜之助副社長に報告されたのです。

スマートデイズ関連の融資を停止

報告を受けた岡野副社長は即日、スマートデイズ社の物件への融資を中止することを決めたといいます。

営業部門と審査部門に文書ではなく口頭で中止を指示したと言いますから、内部告発の文書を受けての即断でした。

それがそのまま続けられていれば、2015年以降の融資とその被害はなかったことでしょう。

業者は名前を変えて取引継続

ところが、業者は名前を変えて、ダミー会社を語り、スルガ銀の担当者行員も、それを黙認。また同じように取引を続けたのです。

ガバナンスの欠如というのは、こういうことを言うのでしょうか。

岡野喜之助副社長は実質的オーナー

岡野喜之助副社長は、創業家で岡野光喜会長の実弟で、兄の岡野光喜会長以上の、スルガ銀行の実質的な経営者であったと言われますが、その岡野喜之助氏の指示すら、末端の行員には全く無視されていたことになります。

行員らはノルマの達成のため、賞与などの銀行内部の評価のため、そして、一部の行員は業者からキックバックを受け取っていたとの報告もあり、自分自身の利益のために銀行そのものをも偽って、取引を続けたということになります。

副社長の急逝

そして、岡野喜之助副社長は、翌年16年に急逝。

岡野光喜会長、米山社長他の経営陣に関しては「雲の上から下界を見ていた」と第三者委員会の報告書にある通り、岡野喜之助副社長の指示が継がれることはなかったようです。

副社長直々の口頭での融資中止。また、それを裏付ける文書がありながら、なぜ、その指示が顧みられることがなかったのか。

これらの内容は、第三者委員会の報告書にも記されているところなのですが、内部告発の文書ですから、銀行内部で、融資部門のやり方にも精通していた人間が書いたものに間違いありません。

投書の主は、今回の銀行の破綻に至る道をどのような思いで見つめていたのでしょうか。

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