私たち夫婦は夫の定年後の住み替えを考えており、家探しの勉強の最中。先週は2軒の見学に行きました。
それでもまだ、賃貸にするか持ち家にするかが決められないでいますが、少し前の朝日新聞に、持ち家と賃貸どちらがいいかのアンケート調査の結果が掲載され、他の方の意見を読むことができました。こちらにもご紹介しながら考えてみたいと思います。
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持ち家か賃貸かの議論続く
持ち家か賃貸かは、若い人にも、また高齢化社会におけるシニアにも、依然関心の高い問題となっており、ネット上でも専門家を含めた様々な考察がなされていますが、人によってもかなりまちまちです。というのは、実際に住み替えたい人の意向も資産状況もさまざまで、どちらか一つに一様に決められないというのは、これも当然なことでしょう。
朝日新聞のアンケートでは、専門家ではなくて、あくまで、実際の町の人の声なのですが、その結果はというと、調査を行った記者にもやや意外な数字であったようです。
持ち家派が87%で圧倒
というのも、持ち家派が87%、賃貸派は13%で、圧倒的に持ち家派が多かったのです。
これでは、一人暮らしで、現在も賃貸住まいであるような特殊な家族事情を除いては、ほぼ皆が持ち家を望んでいるといってもいいようです。
「持ち家派」の理由は
その理由はというと、
- 好きに設計・改築できる 686人
- 資産になる 680人
- 老後の安心につながる 678人
というのがトップ3です。
私としては、疑問なところばかりです。ひとつずつ考えてみます。
「好きに設計・改築できる」
まず、「好きに設計・改築できる」という点ですが、シニアで、これから定年になる、それを機に住み替えたいという場合は、とにかく資金が心配です。
また、ローンを組むということは基本的にできないと考えるので、一度に多額の出費をすることとなります。その前提で考えますと、シニアの場合は設計も改築も不要です。
というのは、自由設計の家は規格住宅に比べると、割高です。そもそも、夫婦二人の場合なら、2~3LDKで十分ですので、むしろ後から考えなくてもいいように最初の時点できっちり考えて決めるべきです。
その場合「改築」でいちばん考えられるのは、バリアフリーということになるので、それも最初に考えて、それにふさわしい家を選ぶべきでしょう。老後においては、リフォームなどお金のかかることはもっての他であり、必要もありません。ただし、補修は必要になるので、補修のできるだけ最低限で済むもの、たとえば災害時にメンテの必要な屋根瓦とか、塗り替えを頻繁にしなければならない外壁材なども避けます。
よってこの意見は若い人ならではのものと考えます。夫婦二人で家を買い、あとから子どもの数が増えたというようなときには、改築ができるものが望ましいとは言えますが、もっとも賃貸なら、住み替えればそれで済みます。ある意味、どちらかというと融通性のきくほうが賃貸であると言えるかもしれません。
「資産になる」
もう一つ意外だったのは、「資産になる」と答えた人が、1位と同じくらい持ち家を持つ理由にあげていることです。これは大きな町の駅近に限られます。地方では、家は資産になりません。家は老朽化するものなので、5年過ぎれば価値はゼロ、つまり、なくなります。
そして土地は、値下がりするだけです。もっと以前なら、家の価値がなくなっても土地が売以上に値上がりをしたので、家の分もカバーしたので気づきにくかったのです。ですが、今なら、家と土地を合わせて、買った時の値段を上回るというというのは、地域によります。地方では、まず値上がりは見込めません。維持をできるのは利便性の良い駅近だけ、と思っていた方がいいです。
というより、このように答えた人たちはいったいどこにお住まいなのか、知りたい気がします。
持ち家が理想と答えたのは、「60代が29%と最多で、50代の28%、70代の23%」の割合だそうです。
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「老後の安心につながる」
共感できるのは、この3番め「老後の安心につながる」です。この後、5番目の理由として、「将来賃貸を断られるのが心配」というのがあります。
これはいわば持ち家を選んだ消極的な理由なのですが、確かに、今現在の状況だと、単身の高齢者は、賃貸の契約はしづらいと聞きます。これは賃貸ばかりでなくて、たとえば、地方都市では、70歳以上の人が家の補修でもなんでも大口の契約をする場合には、必ず子どもの同意が必要と決めているところがあります。なので、賃貸に関してだけが特別ということではないかもしれません。
しかし、高齢者の賃貸契約に関しては、楽観の見方を述べる専門家もいます。人口が減少して一番に増加する空き家は戸建てではなくて、まず賃貸です。そして、減少する年齢の分布を見てみると、減るのは若者、増えるのは高齢者なのです。これはもうきっちり今から人数が計算されています。
賃貸も入居者の確保が必要ですから、高齢者を忌避するということはなくなるという予想です。これも地域によって差があると思うので、一概には言えませんが、少なくても5年後には今のような門前払いはなくなっていくかもしれません。時期や地域はともかく、傾向としては間違いないということです。
「相続できる」
4位の賃貸料がふくらむというコスト面については、また別の記事で述べることにして、そのあとの「相続できる」。
ううむ、これはどの年代の方が言うのでしょうか。私たち夫婦が住んでいるのは人口30万の県庁所在地です。そして同じ市内に2つ家があり、同じ県内に戸建てとマンションがあって、どれも相続したくないものばかりです。
つまり、相続しようと思えば、4つ、ほぼ無料でももらえるものがある。にもかかわらず、4つの物件どれにも今後の居住は難しいのです。土地は二つあるので、どちらかをもらって、安い家を建てようと思えば、1千万円の出費で済みます。
が、それはできないよ、というのが、私の意見です。家を建てるというのは一種の投資です。そして、家というのは、土地とは切り離しては考えられません。
例えば、家を建てて何かの都合で、5年か10年経ってそこを手離すとします。その場合は、1千万円の家であっても、土地が売れなければタダ同然です。土地が駄目なところに家を建てるということはまったく勧められません。
駄目だとわかっている会社の株を買って、お金をさらにつぎ込むようなことは誰もしません。値下がりするとわかっている土地の場合は、家を建てても資産としてはまったく無益です。
もちろん、今の土地が、自分の持ち物ならそれでもいいですが、親の名義のものです。負債をあえて引き受けるより、ここはやはり、惜しいようでも売った方がいいのです。
消極的選択としての持ち家派
というわけで、私自身は賃貸派、夫は持ち家派なのですが、賃貸派に関していうと、その場合の賃料のコストというところで、誰もが悩むところであるようです。
それらの意見をあげてみます。
「高齢者も賃借しやすくなっていると言われるが、まだ限定的。経済力や地域による格差はますます拡大していくと思う」(東京、65歳男性)
「年金生活で家賃負担は大変」(三重、78歳男性)
なので、賃貸もいいが、やむを得ず持ち家という人も、かなりの数がその87%の中に含まれていそうです。
それから、既に持ち家に住んでいる人、これはどう考えても、地方においては高齢者は持ち家が大半です。その人たちは、わざわざ家を売り払ってまで賃貸に住もうとも思わないでしょう。
ならば、アンケートの答えにも「持ち家の良いところ」を見出して応えようとする、そのような回答が、「老後の安心につながる」や「拠点を持ちたい」というところにあるのではないか。これから家を持つか賃貸にするかではなくて、その答えをする時に、今現在どこに住んでいるかが問題です。
他の意見も上げてみます。
持ち家であってもコストがかかるという意見
「築15年になり、外壁やIHコンロなどに不具合が出てすべて更新。かなりの出費で家計の負担が増した」(滋賀、75歳男性)
「マンションの修繕積立金の負担が増えている」(大阪、53歳女性)
資産化できない悩み
「転勤で所有マンションを貸していたが、今は借り手もなく税や管理費負担が大きく、退職後に住む頃には老朽化しているだろう。大きすぎるお荷物状態」(埼玉、58歳女性)
「家を売って息子の近所に引っ越そうと考えていたが、購入時の4分の1で売れればいい方。目算が違ってきた」(岐阜、78歳男性)
「築50年の建て売りの持ち家があるが、遺言を書いた際、娘には『マンションがあるからいらない』、息子には『譲るなら古いものを捨てる費用も用意して』と言われた。持ち家が財産どころか、かえって迷惑な遺産になりそうだ」(京都、88歳男性)
災害時の心配
「揺れても心配ないと言われて建った近所の家は、東日本大震災で周囲より大きく揺れ、瓦は落ちて家財はめちゃくちゃに散乱。修繕費がばかにならなかったと聞き、持ち家を選ぶ難しさを感じた」(茨城、72歳男性)
「若い頃は賃料がもったいないと思い、早く家を購入したかったが、今はメンテナンスや災害を考えると、気軽に転居できる賃貸が良いと思う」(神奈川、59歳女性)
まとめ
これはあくまで事実を問うものではなくて、各自の意向を示す結果です。たとえば、地方ならアパート住まいの人にアンケートをしたら、ほぼ100%が「家を持ちたい持ち家」の方に解答することでしょう。
なので、アンケートの結果とはいってもかなりランダムなものですから、これを決定打とするのではなくて、それを見ながら各自が自分のライフプランに合わせて、方針を決めるのに役立てるのがいいと思います。
持ち家か賃貸かは、今後も引き続き考えて行こうと思っています。ああ、それにしても、今ある家が高く売れれば、住み替えも簡単なのですが…結局問題はそこに集約されそうですね。
相続できる家が4軒あっても、住み替えかと思うと、返す返すも残念ですが、くじけずに前に進みましょう。