賃貸大手のレオパレス21が、アパートの施工不良を指摘されて約1月、 第三委員会による中間報告が行われ、一部の施工不良である外壁に不適切な素材を使われたのは、レオパレスの創業者である、元社長の指示だったことが分かりました。
そんな中、レオパレス21と国交省との対応についての興味深い記事を見つけました。その中で、触れられていたのは、改正建築基準法のことで、新しい法律では「界壁はなくてもいい」となるということなのですが、これは本当なのでしょうか。日経ビジネスより要約してお伝えします。
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レオパレスに早期対応を迫る国交省
ニュースの元の記事の記事内容は、賃貸アパートでレオパレス21の物件で施工不良が見つかった問題で、国土交通省が対応に頭を痛めているというものです。
そもそもレオパレス21は、施工不良に関する責任の意識が弱いとされています。
レオパレスが釈明した通り、外部の業者によって意図しない施工不良が生じてしまったというのならともかく、最初から社長の指示であったという以上、皆が承知で組織的に「施工不良」による利を追求した可能性があります。
なので、積極的に事態を打開しようとする意欲に欠けても当然でしょう。
レオパレス第三者委員会の調査は国交省が促し
今回の第三者委員会による調査にしても、レオパレスの自発的なものではなく、国交省がレオパレス側に求めたものでした。
レオパレス側はそもそも 第三者委員会の設置に反対はしないまでも非協力的であったとされ、国交省がなんとか設置を促して第三者委員会が発足したということであったようです。
また設置からわずか半年余りの3月18日に、速やかな中間報告が行われたということも、国交省が早期の報告を強く求めたからだと言われています。
全棟調査と改修も「夏まで」とレオパレスに
レオパレスのアパートの全棟調査に関しても、 調査は数年前から言われていたことなのですが、ここにいたってレオパレスが重い腰を上げ10月までに改修工事を完了させると発表。
しかし国交省がそれでは遅すぎるとして6月までに全物件の調査と、夏までに改修を終えるようレオパレスに求めています。
国交省がレオパレス問題の解決を急ぐ理由
このように、レオパレス問題のここまでの進展は、国交省の最速によって何とか進んでいるという感じがあります。
そして、 国交省がなぜそのように対応を急いでいるのかと言うと、改正建築基準法が、 今年の夏までに全面施行される予定であるからだと日経ビジネスは書いています。
空き家問題に向けて建築基準法を改正
何のために建築基準法が改正されるのかと言うと、これも実は日本の空き家問題とも大いに関係があります。
国交省の意図は、既存建物を低予算で速やかに改修し、再利用ができるようこれまでの建築基準法に「規制緩和」を加えるというものです。
「それによって改修しやすくし、全国で増え続ける空き家問題を少しでも解消しようというのが狙い」とあるように、建築基準法改正の最終的な目的は、所有者が自分で住むためのものではなくて、所有する空き家物件を、賃貸として活用しやすくするというものです。
つまりゆくゆくは、アパートを新築するのではなくて、既存の空き家住宅を賃貸物件として利用しようという目的です。
改正建築基準法での界壁の規定の変化
そして、改正された建築基準法の部分は、次のようなものになることがわかっています
改正前と改正後比較
改正後:
長屋又は共同住宅の各戸の界壁に関する規制緩和等(法30条)
長屋又は共同住宅の天井の構造が、遮音性能に関して政令で定める技術的基準に適合する場合、各戸の界壁を小屋裏又は天井裏に達するものとしなくてもよい
改正前:
この部分がこれまでの建築基準法ではどうなっていたかと言うと
建築基準法施行令第114条【建築物の界壁、間仕切壁及び隔壁】
第1項:長屋又は共同住宅(マンション・アパート)の各戸の界壁は、準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。
レオパレスアパートの改修前に法改正されたとすると
もちろん、レオパレスが界壁がないアパートを建築したのは、改正前のことであり、その場合は「界壁は…小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない」 の通りにしなければなりません。
もし、今のままレオパレスが 界壁の設置の補修をせずに、この法律が施行されてしまうと、既に規制緩和されている建物部分に関して、以前の法律に対する違反で補修が求められるという矛盾した事態が起こってしまいます。
実際、野党議員が「レオパレス問題を放置したままで、同社の法令違反を追認するような規制緩和は認められない」と発言。
そのために、国交省が第三者委員会の設置を強く促して事態を進めているという事情があったようです。
今後のアパートの天井裏の界壁はなくてもいい
もちろん法律が改正されたからといって、図面に書いてあったものが、実際の建物にはないということは、まずあり得ないことで、それによってレオパレスの責任が回避されるということではありません。
また、単に界壁の有無だけではなく上記の114条には、「天井の構造が、遮音性能に関して政令で定める技術的基準に適合する場合」 という但し書きがあって、界壁がなくても良いというものですので、 そもそも天井の構造や材質が基準を満たしていなければ、直ちに回壁がなくてもいいというものでありません。
しかし、これから建てるアパートについては、天井裏の界壁はなくてもいい。それならば逆に、法律の通りにやれば、手間もコストも削減できるということになるわけで、レオパレスの界壁問題が、法律の改正後であったならどうだったかを考えると、やはり、今のような強い批判を浴びることはなかったかもしれないと思います。
界壁未設置はどこまで重大なのか
そうなってくると、一般的な家屋ならなくてもいいが、賃貸にのみ必要な界壁がないというのは、実際のところ建築の欠陥として、どこまで重大な問題だったのでしょうか。
これについて複雑な思いを持つのは、やはりアパートの所有者であるオーナーさん達でしょう。
建築の安全性に関しては、専門家でないのでわからないのでこれ以上言いようがありませんが、天井裏の界壁が「なくてはならない」というのと、 条件付きではあるが「なくてもいい」というのとでは大きな差があります。
安全性か居住の質の問題か
遮音性という条件だけを満たしていれば界壁がなくてもいいと言うのであれば、界壁の目的は、安全性よりも、アパートを利用者の居住の質の問題となります。
仮に問題が、遮音性の点だけなのであれば、補修はしなくても、居住者に対して家賃を安くするなどで対応することもできたかもしれません。実際レオパレスのアパートは安いので入ったという利用者の声も多く聞かれています。様々なニーズの人が居ますので、それでもいいという人も居るわけです。
対象となる物件の家賃収入がアパートオーナーのローン支払いを支えていたという点から考えた場合は、界壁の有無はそこまで重大な問題だったのか…
この問題がここまで大きくなってしまったことを、残念に思うのは私だけではないはずです。
とはいえ、建築に関しては、素人では正確にはわかりませんので、引き続き今後の調査や専門家のコメントを待ちたいと思います。
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